【完結】浮気された私は貴方の子どもを内緒で育てます  時々番外編

たろ

文字の大きさ
上 下
59 / 94

★高等部2年生⑦

しおりを挟む
伯母様は、プルプル震えながら持っていた鞄を床に投げつけた。
「貴方達子どもが何を言っても大人は誰もまともに取り合わないわ、退きなさい!」

伯母様は、逃げるように去って行こうとした。

アランは伯母様の腕を掴んだ。

「アラン、貴方はこんなことする子ではないわ、手を離しなさい」
伯母様はアランを愛おしそうに見て言った。

「ハノン様、残念ですが貴方には容疑がかかっております」
殿下の言葉に
「え?」とわたしは驚いた。
伯母様もワナワナと体を震わせていた。
それは罪を肯定しているのか驚いているのかわからなかったが不機嫌になり片足を床にダンダン!と踏みつけ怒鳴り始めた。

「貴方、いい加減にしなさい。殿下とは言えたかが17歳の子が何を大人に向かって言っているの!」

「ハディッド伯爵夫人を連れて行け!」

カイル殿下の怖い顔を初めてみた。

部屋の外で控えていた兵士達が伯母様を連れていった。
伯母様は何か色々と叫んでいたが兵士は黙って引きずって連れていった。

わたしとシャーリーは呆然としていた。

アランと殿下は伯母様の後を見つめていた。

「ふう、エイミー達は何も知らないから事情を説明しないといけないね。その前にまだ全てはわかっていないんだ、詳しい説明はもう少しだけ時間が欲しい」

殿下から「ごめんね」と、謝られた。

「君とミシェルの婚約はないことだけは確かだ」
と言われた。

わたしは未だにどうなって伯母様が捕まったのかよくわからなくて、ミシェルと婚約しなくていいと言われても反応出来なかった。

「……は、はぁ…」
と、間抜けな返事をした。

「エイミー、君面白い顔になってるよ」
アランがわたしの顔を見て笑った。

ムッとして
「アランは本当に失礼ね!」
と、怒ったら
「あ、やっといつものエイミーに戻った」
と、アランはホッとした顔をして、氷水で濡らしたハンカチを渡された。
「頬が真っ赤だよ、少しでも冷やさないと」

「あ、ありがとう」
わたしは叩かれて頬がヒリヒリ痛むことを思い出した。
鏡を見ていないが結構腫れているみたい。

生まれて初めて人に叩かれたが結構痛いものだ。
避けようと思えば簡単に避けれたけど、態とに叩かれた。
伯母様を怒らせて本心を聞きたかったからだ。
本心はわたしをミシェルと結婚させて伯爵家の仕事をわたしに丸投げする予定だった、それだけの理由だった。

わたしを叩いたくらいで捕まる訳もなく、他にも理由があるみたいだ。

殿下は嘘は吐かない。だから、もう少し待ったら事情は教えてくれるみたいなので詮索はしないようにした。
わたしの夜会はあっという間に終わった。

本当はシャノン様にお会いして女医として妻として母親としてどんな風に過ごしているのかお話してみたかった。

またそんな機会があれば是非お会いしてみたい。

わたしも、ミシェルではなく好きな人と結婚してみたいと思った。……いつか。


◇ ◇ ◇

シャーリーと邸に帰り、侍女達が大騒ぎになった。
わたしはすぐにドレスを脱がされて、頬を冷やされた。
まだ頬の腫れが治らず、鏡で見ると自分でも変な顔なので、ちょっと笑ってしまった。
「エイミー様、笑い事ではありますん、嫁入り前の顔に後でも残ったらどうするのですか?」

侍女が心配して怒ってくれた。
横からシャーリーが、笑いながら言った。

「あら?大丈夫よ、カイル殿下が貰ってくれるわ」

「ええ?殿下が可哀想だわ。余り物なんか貰ったら」
わたしは殿下が気の毒になってしまった。







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます

冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。 そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。 しかも相手は妹のレナ。 最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。 夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。 最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。 それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。 「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」 確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。 言われるがままに、隣国へ向かった私。 その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。 ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。 ※ざまぁパートは第16話〜です

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

冤罪を受けたため、隣国へ亡命します

しろねこ。
恋愛
「お父様が投獄?!」 呼び出されたレナンとミューズは驚きに顔を真っ青にする。 「冤罪よ。でも事は一刻も争うわ。申し訳ないけど、今すぐ荷づくりをして頂戴。すぐにこの国を出るわ」 突如母から言われたのは生活を一変させる言葉だった。 友人、婚約者、国、屋敷、それまでの生活をすべて捨て、令嬢達は手を差し伸べてくれた隣国へと逃げる。 冤罪を晴らすため、奮闘していく。 同名主人公にて様々な話を書いています。 立場やシチュエーションを変えたりしていますが、他作品とリンクする場所も多々あります。 サブキャラについてはスピンオフ的に書いた話もあったりします。 変わった作風かと思いますが、楽しんで頂けたらと思います。 ハピエンが好きなので、最後は必ずそこに繋げます! 小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿中。

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめる事にしました 〜once again〜

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【アゼリア亡き後、残された人々のその後の物語】 白血病で僅か20歳でこの世を去った前作のヒロイン、アゼリア。彼女を大切に思っていた人々のその後の物語 ※他サイトでも投稿中

交換された花嫁

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」 お姉さんなんだから…お姉さんなんだから… 我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。 「お姉様の婚約者頂戴」 妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。 「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」 流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。 結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。 そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。

もう一度あなたと?

キムラましゅろう
恋愛
アデリオール王国魔法省で魔法書士として 働くわたしに、ある日王命が下った。 かつて魅了に囚われ、婚約破棄を言い渡してきた相手、 ワルター=ブライスと再び婚約を結ぶようにと。 「え?もう一度あなたと?」 国王は王太子に巻き込まれる形で魅了に掛けられた者達への 救済措置のつもりだろうけど、はっきり言って迷惑だ。 だって魅了に掛けられなくても、 あの人はわたしになんて興味はなかったもの。 しかもわたしは聞いてしまった。 とりあえずは王命に従って、頃合いを見て再び婚約解消をすればいいと、彼が仲間と話している所を……。 OK、そう言う事ならこちらにも考えがある。 どうせ再びフラれるとわかっているなら、この状況、利用させてもらいましょう。 完全ご都合主義、ノーリアリティ展開で進行します。 生暖かい目で見ていただけると幸いです。 小説家になろうさんの方でも投稿しています。

この度、双子の妹が私になりすまして旦那様と初夜を済ませてしまったので、 私は妹として生きる事になりました

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
*レンタル配信されました。 レンタルだけの番外編ssもあるので、お読み頂けたら嬉しいです。 【伯爵令嬢のアンネリーゼは侯爵令息のオスカーと結婚をした。籍を入れたその夜、初夜を迎える筈だったが急激な睡魔に襲われて意識を手放してしまった。そして、朝目を覚ますと双子の妹であるアンナマリーが自分になり代わり旦那のオスカーと初夜を済ませてしまっていた。しかも両親は「見た目は同じなんだし、済ませてしまったなら仕方ないわ。アンネリーゼ、貴女は今日からアンナマリーとして過ごしなさい」と告げた。 そして妹として過ごす事になったアンネリーゼは妹の代わりに学院に通う事となり……更にそこで最悪な事態に見舞われて……?】

あなたの愛が正しいわ

来須みかん
恋愛
旧題:あなたの愛が正しいわ~夫が私の悪口を言っていたので理想の妻になってあげたのに、どうしてそんな顔をするの?~  夫と一緒に訪れた夜会で、夫が男友達に私の悪口を言っているのを聞いてしまった。そのことをきっかけに、私は夫の理想の妻になることを決める。それまで夫を心の底から愛して尽くしていたけど、それがうっとうしかったそうだ。夫に付きまとうのをやめた私は、生まれ変わったように清々しい気分になっていた。  一方、夫は妻の変化に戸惑い、誤解があったことに気がつき、自分の今までの酷い態度を謝ったが、妻は美しい笑みを浮かべてこういった。 「いいえ、間違っていたのは私のほう。あなたの愛が正しいわ」

処理中です...