【完結】浮気された私は貴方の子どもを内緒で育てます  時々番外編

たろ

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★高等部2年生②

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昼休み、いつものように殿下とイザベラとシャーリーと最近はクレインも加わり食堂へ向かった。

「みんなは今度の夜会には出席するの?」
シャーリーが聞いてきた。

「わたしは出席する予定よ、エスコートは婚約者のコリンにお願いしているわ」
イザベラは答えた。

「僕は今回アンブライト公爵家の夜会だから行くよ。マリアンナ叔母様からのご招待だからね」

陛下の妹であるマリアンナ様の嫁ぎ先がアンブライト公爵家だった。

「わたしは……悩み中なの」
わたしは夜会に行くことを悩んでいた。

「どうして?」

「わたし、一度はボガード家でデビューしたじゃない。でも、もしかしたらハディッド家に戻るかもしれないし、お母様次第ではグランデになるかもしれないわ。ま、これはないとは思うのだけど。ころころ名前を変えて夜会や舞踏会に出るのも…ね、気が引けるわ」

「エイミー、君が気にすることではないと思うよ。大人の都合に振り回されているだけで君には関係ないよ」
殿下が言ってくれた。

「俺、よく分からないけどエイミーは悩まないでしっかり学生してたらいいんじゃない?」
クレインは、今年から留学生でやってきた隣国の貴族の子で、今は寮に住んでいる。

「クレインこそ夜会に招待はされていないの?」
シャーリーが聞いた。

クレインは頭を掻きながら言った。
「俺、面倒なの苦手だし、この国のことまだよく分からないから悩み中」

「あら、クレイン、わたしのこと言えないじゃない」

「うん?君とクレインでは理由が違うと思うよ」
殿下が笑いながら言った。

「ええ、そうね。夜会に出るならたぶん今回は従兄のミシェルにエスコートされて出ることになると思うの。ラオール義兄様は婚約者が出来たから一緒には行けないでしょう」

「ミシェルって、ハノン伯母様の息子だったわよね?」
シャーリーが言った。

「うん、そうなの。子どもの時から遊びに来てたから仲がよかったんだけど最近……婚約?の話が出ていて……」

「「「婚約?」」」
クレイン以外が驚いていた。

うん、確かにわたしには似合わないよね、わたしもそう思う。

「‥…そうなの……」
わたしはもちろん乗り気ではない。
ミシェルが嫌いなわけではないが、全く好きではない。
「名前のことだけではなかったのね」
イザベラが納得した。

「うーん、まあね。わたしは王宮の図書館の司書官になって図書館に住むのが夢なの」

「え?住むの?…ゴホッ」
クレインが食べている途中で咽せた。

「クレイン、汚いわ、早く口を拭いてちょうだい」
シャーリーが慌ててハンカチを渡した。

「わたしの夢は司書官になって図書館の隅に部屋を作ってもらって死ぬまでに図書館の本を読み尽くすのが夢なの」

「それ、一生叶わない夢だね。だって本って新しいものがどんどん出てくるよね?」

「だから、死ぬまでかかるんじゃない、結婚なんてする暇はわたしにはないのよ」

「ふうん、エイミーは結婚しないの」

「そうなの、花嫁姿は義妹のメイに任せたから大丈夫なんだけど、ハノン伯母様がしつこいのよね」
わたしは溜息を吐いた。

クレインは、コソッとシャーリーに聞いていた。
「ねえ、この子頭大丈夫?義妹に花嫁姿を任せるって何?」
「うん、エイミーだからいいの」
とシャーリーは答えていた。

「わたし、断ったのよ、結婚はしませんって。なのにミシェルったらしつこいの、ほんと嫌になる」

「エイミー、君は好きな人はいないの?」
殿下に聞かれた。

「好きな人?うーん、シャーリーもイザベラも好きよ。最近はクレインも好きよ。でも1番はやっぱりカイル殿下よ!」

「……うん、ありがとう……」
殿下は、少し困った顔をしながらもお礼を言ってくれた。
「殿下、お気の毒……」
何か言っている小さな声が聞こえた気がするが……

「だから夜会は行きたくないのね?」

「そうなの、名前が変わるかもしれないのは本当。さらにミシェルにエスコートされて婚約者だとみんなに勘違いされたくないの。わたしは否定するけど、絶対ミシェルはしないわ。だって伯母様の言うことはいつも絶対なの」

「ふうん、絶対なんだね」
殿下が聞いてきたので、
「ええ、そうよ。伯爵家では伯母様が絶対なの」

殿下は顎に手をやり考え込んでいた。




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