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言葉は一滴の毒のように ③(ハノン編)
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わたしはトムと結婚した。
トムは優しい。
侯爵家の三男坊でおっとり育っている。
わたしの言うことをよく聞いてくれるし、侯爵の後ろ盾のお陰で、伯爵家の農産物の商売も上手く行っている。
愛はないけど穏やかすぎる生活をしている。
そんな時、メアリーから相談されたのがラウルの子の妊娠だった。
わたしは学生の時、ラウルと遊んでいた時期があった。レオと付き合う前だ。
レオより一つ年上のラウルは、とてもかっこよかった。
まだ、ラウルには婚約者もいなかったしわたしも本気で好きになっていた。
でもラウルは来るもの拒まずで、一定の恋人を作ることはしなかった。
優しいけど誰か一人を愛することはない人だった。
わたしは、わたしだけに夢中になってくれる人が良かったので諦めた。そして、レオと付き合ったのだ。
でも、レオとも上手くいかずトムと結婚した。
メアリーからの相談は、昔の恋心を思い出しイライラした。
何故、この女がレオと付き合い、ラウルと付き合い、妊娠するの?
わたしは特に好きでもないトムの子を妊娠してもうすぐ出産すると言うのに!
メアリーに対して腹が立った。
「メアリー辛いわね。でもね、ラウル様には言わない方が絶対にいいと思うわ。だって離縁されて公爵も辞めて今は何もない人よ。それよりも昔付き合ってたレオ、覚えている?彼はね、わたしの妹と結婚したの。でもなかなか子宝に恵まれないらしいの……レオはとても欲しがっているのにね」
と話した。
そして、レオがよく行くと聞いていた酒場の名前を教えた。
「レオったら、子どもが出来なくて寂しいのかよく仕事の帰りに酒場へ行くのよ」
何気ない会話にレオのことを伝える。
さあ、単純なメアリーがどう動くかたのしみ!
◇ ◇ ◇
ルディアがレオの浮気で侯爵家を出たと聞いた。
メアリーが子どもが出来たとレオの邸に怒鳴り込んで行ったと聞いた時にはびっくりした。
まさか、こんなに上手く行くなんて思ってもいなかった。
わたしは一人微笑んだ。
どうしてラウルに子どものこと教えないのかって?
それはわたしが唯一本気で愛した人だったから。
彼は結婚してアイリスに破滅させられた。
ラウルが一人だけを愛したと聞いた時、わたしは嫉妬で狂いそうになったが、シャノンと離縁した。
そして公爵当主を父親に返して、一から出直している。
わたしはラウルの復活をとても楽しみにしているの。
彼はとても優秀な人。必ず社交界に戻って来てまた輝く人なの。
メアリーなんかに邪魔はさせないわ。
どうせ邪魔するならレオとルディアの仲を邪魔したらいいのよ!
レオが、メアリーに嵌められたと言ってきて、わたしは協力する約束をした。
すぐにメアリーに連絡を取り、証拠と証言を隠すことにした。
酒場のオーナーにお金を積んで店を辞めさせた。そして、ホテルは買収してすぐに売りにだし従業員を総替えした。
レオの同僚は変えることは出来ないのでとりあえず真実を隠しておいた。
生まれた子どもは、ラウルとメアリー、どちらにも似ていた。
全くレオに似ていなかった。
これではレオの子ではないとすぐにバレるので、半年間メアリーは部屋から出ないで子どもをレオ達に見せないようにして時間稼ぎをしていた。
メアリーの作戦は破茶滅茶だが、上手くいっていた。
メアリーは、レオと離縁するのを嫌がり侯爵夫人で居続けたいと言って相談してきた。
わたしは流石に無理だと思い、アドバイスはしなかったが、
「貴族なんて醜聞には弱いものよ、レオのお父様は特に人に弱みは見せない方よ」
とだけ伝えた。
これがどんな風に動くかはメアリー次第。
とても楽しみだった。
そしてわたしはレオとトムと一緒にメアリーの真実を見つけ出した。
まあ、知っていることを、時間をズラしてレオに報告しただけなんだけどね。
『レオの同僚がメアリーと共謀して罠にかけた』
弁護士にはレオの同僚だけを訴えさせた。
メアリーは子どもを産んだばかりだし子どもから母親を引き離せない、絶対に二人の関係がなかったとはいえないなどとこじつけさせて、メアリーだけは守った。
だってメアリーがいれば色々掻き回してくれるから退屈しのぎになるじゃない?
トムは優しい。
侯爵家の三男坊でおっとり育っている。
わたしの言うことをよく聞いてくれるし、侯爵の後ろ盾のお陰で、伯爵家の農産物の商売も上手く行っている。
愛はないけど穏やかすぎる生活をしている。
そんな時、メアリーから相談されたのがラウルの子の妊娠だった。
わたしは学生の時、ラウルと遊んでいた時期があった。レオと付き合う前だ。
レオより一つ年上のラウルは、とてもかっこよかった。
まだ、ラウルには婚約者もいなかったしわたしも本気で好きになっていた。
でもラウルは来るもの拒まずで、一定の恋人を作ることはしなかった。
優しいけど誰か一人を愛することはない人だった。
わたしは、わたしだけに夢中になってくれる人が良かったので諦めた。そして、レオと付き合ったのだ。
でも、レオとも上手くいかずトムと結婚した。
メアリーからの相談は、昔の恋心を思い出しイライラした。
何故、この女がレオと付き合い、ラウルと付き合い、妊娠するの?
わたしは特に好きでもないトムの子を妊娠してもうすぐ出産すると言うのに!
メアリーに対して腹が立った。
「メアリー辛いわね。でもね、ラウル様には言わない方が絶対にいいと思うわ。だって離縁されて公爵も辞めて今は何もない人よ。それよりも昔付き合ってたレオ、覚えている?彼はね、わたしの妹と結婚したの。でもなかなか子宝に恵まれないらしいの……レオはとても欲しがっているのにね」
と話した。
そして、レオがよく行くと聞いていた酒場の名前を教えた。
「レオったら、子どもが出来なくて寂しいのかよく仕事の帰りに酒場へ行くのよ」
何気ない会話にレオのことを伝える。
さあ、単純なメアリーがどう動くかたのしみ!
◇ ◇ ◇
ルディアがレオの浮気で侯爵家を出たと聞いた。
メアリーが子どもが出来たとレオの邸に怒鳴り込んで行ったと聞いた時にはびっくりした。
まさか、こんなに上手く行くなんて思ってもいなかった。
わたしは一人微笑んだ。
どうしてラウルに子どものこと教えないのかって?
それはわたしが唯一本気で愛した人だったから。
彼は結婚してアイリスに破滅させられた。
ラウルが一人だけを愛したと聞いた時、わたしは嫉妬で狂いそうになったが、シャノンと離縁した。
そして公爵当主を父親に返して、一から出直している。
わたしはラウルの復活をとても楽しみにしているの。
彼はとても優秀な人。必ず社交界に戻って来てまた輝く人なの。
メアリーなんかに邪魔はさせないわ。
どうせ邪魔するならレオとルディアの仲を邪魔したらいいのよ!
レオが、メアリーに嵌められたと言ってきて、わたしは協力する約束をした。
すぐにメアリーに連絡を取り、証拠と証言を隠すことにした。
酒場のオーナーにお金を積んで店を辞めさせた。そして、ホテルは買収してすぐに売りにだし従業員を総替えした。
レオの同僚は変えることは出来ないのでとりあえず真実を隠しておいた。
生まれた子どもは、ラウルとメアリー、どちらにも似ていた。
全くレオに似ていなかった。
これではレオの子ではないとすぐにバレるので、半年間メアリーは部屋から出ないで子どもをレオ達に見せないようにして時間稼ぎをしていた。
メアリーの作戦は破茶滅茶だが、上手くいっていた。
メアリーは、レオと離縁するのを嫌がり侯爵夫人で居続けたいと言って相談してきた。
わたしは流石に無理だと思い、アドバイスはしなかったが、
「貴族なんて醜聞には弱いものよ、レオのお父様は特に人に弱みは見せない方よ」
とだけ伝えた。
これがどんな風に動くかはメアリー次第。
とても楽しみだった。
そしてわたしはレオとトムと一緒にメアリーの真実を見つけ出した。
まあ、知っていることを、時間をズラしてレオに報告しただけなんだけどね。
『レオの同僚がメアリーと共謀して罠にかけた』
弁護士にはレオの同僚だけを訴えさせた。
メアリーは子どもを産んだばかりだし子どもから母親を引き離せない、絶対に二人の関係がなかったとはいえないなどとこじつけさせて、メアリーだけは守った。
だってメアリーがいれば色々掻き回してくれるから退屈しのぎになるじゃない?
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