上 下
45 / 94

言葉は一滴の毒のように (ハノン編)

しおりを挟む
わたしは生まれた時から美しく頭も良かった。

3歳年下のルディアは「お姉ちゃま」とわたしを慕いついて回った。
とっても可愛くて、わたしの言うことをよく聞く妹だった。

幼馴染の2歳上のレオと1歳下のレヴィン、ルディアと四人でよく遊んだ。
わたし達の母親同士が友人だったので良く顔を合わせていた。

レオはプラチナゴールドの髪がとても綺麗でつい目がいってしまうが、顔立ちは鼻筋が通っていてとても綺麗な顔をしていた。
もちろんレヴィンもかっこいいのだが、レオの顔立ちと優しい性格、そして侯爵家の跡取りなので女の子にモテていた。

そんなレオを独り占めできるわたしはとても優越感に浸れるので、いつもレオのそばにいた。

レヴィンは、わたしよりルディアと仲が良かった。でも、レオはわたしにだけでなくルディアにも優しい。

小さいので歩くのが遅いルディアを抱っこしてあげたり、手を繋いで歩いたり、おやつの時間にこぼしたら口を拭いてあげたりするのだ。
わたしだけを見て欲しいのに!

ルディアは小さいながらにレオが大好きだった。
「レオ兄ちゃま、大好き」と言う笑顔がわたしはなんだか腹が立って、いつもレオに言っていた。
「ルディアは貴方の妹みたいね」
「ルディアって妹みたいに可愛いでしょう?」

そう、レオにとってルディアは妹。
言葉は一滴の毒のように染み込んでいくの。

「レオ、わたしは貴方を愛しているわ」
いつも笑顔でレオの耳元で囁く。
恥ずかしそうにはにかみながら……
レオの心に少しずつわたしの言葉を染み込ませるの。

わたしだけを見つめるように……

なのに恋人関係は上手くいかなかった。
レオは侯爵家嫡男で跡継ぎだ。
わたしは伯爵家の長女で婿を取らないといけない。
それにわたしはお姑とかお舅めとかに気を使うのも嫌だったし、嫁として嫁いで自由にお金が使えないのも好きに出来ないことも嫌だった。
ましてやルディアに伯爵当主の地位を譲るなんて許せなかった。

どうしてわたしが人に頭を下げないといけないの。みんなわたしに頭を下げるべきなのに!

わたしには侯爵夫人になり他人に気を使うより、伯爵の跡取りとして好き勝手にした方が性に合っていた。

そして結婚して、わたしの婿になって欲しいとレオに頼んだが嫌がった。
レオは侯爵嫡男として、わたしに嫁に来て欲しいと言うのだ。
わたし達は喧嘩ばかりしていた。
そんな時、トム・バラード侯爵三男20歳と、夜会で知り合い仲良くなった。
彼は優しくて穏やかな人だった。
三男なので結婚して婿に入ってくれると言ってくれた。優しくてわたしの言うことを聞いてくれるトム。
わたしはトムを婿にしてレオとは恋人として付き合っていきたいと思っていたのに、レオは別れると言い出した。

レオのことだからわたしと離れることなんて出来ないと高を括っていた。

なのに、わたしとトムが婚約したら、すぐにレオとルディアの婚約が結ばれた。

わたしはルディアにレオを盗られたことが許せなかった。

「レオ、貴方と別れたけど、わたしが愛しているのは貴方だけなの、家のためにトムとは婚約したのよ、妹でしかないルディアと婚約して可哀想ね。わたしはまだ貴方を愛しているの」

レオは、ルディアと婚約したのでわたしとはもう会わないと言った。
わたしが呼び出しても来てくれなくなった。

それでも、ルディアに会いに我が家に来た時は
彼にお茶を出しながら
「レオ、をよろしくね、わたしの可愛いなの」

「レオ、はまだ幼いのだから手を出さないでね」

「レオ、を本気で愛せるの?なのよ」

わたしはレオに語りかけるの。
レオ、ルディアは貴方のみたいなもの……なのよ…………






しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます

冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。 そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。 しかも相手は妹のレナ。 最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。 夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。 最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。 それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。 「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」 確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。 言われるがままに、隣国へ向かった私。 その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。 ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。 ※ざまぁパートは第16話〜です

【完結】婚約者は自称サバサバ系の幼馴染に随分とご執心らしい

冬月光輝
恋愛
「ジーナとはそんな関係じゃないから、昔から男友達と同じ感覚で付き合ってるんだ」 婚約者で侯爵家の嫡男であるニッグには幼馴染のジーナがいる。 ジーナとニッグは私の前でも仲睦まじく、肩を組んだり、お互いにボディタッチをしたり、していたので私はそれに苦言を呈していた。 しかし、ニッグは彼女とは仲は良いがあくまでも友人で同性の友人と同じ感覚だと譲らない。 「あはは、私とニッグ? ないない、それはないわよ。私もこんな性格だから女として見られてなくて」 ジーナもジーナでニッグとの関係を否定しており、全ては私の邪推だと笑われてしまった。 しかし、ある日のこと見てしまう。 二人がキスをしているところを。 そのとき、私の中で何かが壊れた……。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

ごめんなさい、お姉様の旦那様と結婚します

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
しがない伯爵令嬢のエーファには、三つ歳の離れた姉がいる。姉のブリュンヒルデは、女神と比喩される程美しく完璧な女性だった。端麗な顔立ちに陶器の様に白い肌。ミルクティー色のふわふわな長い髪。立ち居振る舞い、勉学、ダンスから演奏と全てが完璧で、非の打ち所がない。正に淑女の鑑と呼ぶに相応しく誰もが憧れ一目置くそんな人だ。  一方で妹のエーファは、一言で言えば普通。容姿も頭も、芸術的センスもなく秀でたものはない。無論両親は、エーファが物心ついた時から姉を溺愛しエーファには全く関心はなかった。周囲も姉とエーファを比較しては笑いの種にしていた。  そんな姉は公爵令息であるマンフレットと結婚をした。彼もまた姉と同様眉目秀麗、文武両道と完璧な人物だった。また周囲からは冷笑の貴公子などとも呼ばれているが、令嬢等からはかなり人気がある。かく言うエーファも彼が初恋の人だった。ただ姉と婚約し結婚した事で彼への想いは断念をした。だが、姉が結婚して二年後。姉が事故に遭い急死をした。社交界ではおしどり夫婦、愛妻家として有名だった夫のマンフレットは憔悴しているらしくーーその僅か半年後、何故か妹のエーファが後妻としてマンフレットに嫁ぐ事が決まってしまう。そして迎えた初夜、彼からは「私は君を愛さない」と冷たく突き放され、彼が家督を継ぐ一年後に離縁すると告げられた。

【完】夫に売られて、売られた先の旦那様に溺愛されています。

112
恋愛
夫に売られた。他所に女を作り、売人から受け取った銀貨の入った小袋を懐に入れて、出ていった。呆気ない別れだった。  ローズ・クローは、元々公爵令嬢だった。夫、だった人物は男爵の三男。到底釣合うはずがなく、手に手を取って家を出た。いわゆる駆け落ち婚だった。  ローズは夫を信じ切っていた。金が尽き、宝石を差し出しても、夫は自分を愛していると信じて疑わなかった。 ※完結しました。ありがとうございました。

愛されないはずの契約花嫁は、なぜか今宵も溺愛されています!

香取鞠里
恋愛
マリアは子爵家の長女。 ある日、父親から 「すまないが、二人のどちらかにウインド公爵家に嫁いでもらう必要がある」 と告げられる。 伯爵家でありながら家は貧しく、父親が事業に失敗してしまった。 その借金返済をウインド公爵家に伯爵家の借金返済を肩代わりしてもらったことから、 伯爵家の姉妹のうちどちらかを公爵家の一人息子、ライアンの嫁にほしいと要求されたのだそうだ。 親に溺愛されるワガママな妹、デイジーが心底嫌がったことから、姉のマリアは必然的に自分が嫁ぐことに決まってしまう。 ライアンは、冷酷と噂されている。 さらには、借金返済の肩代わりをしてもらったことから決まった契約結婚だ。 決して愛されることはないと思っていたのに、なぜか溺愛されて──!? そして、ライアンのマリアへの待遇が羨ましくなった妹のデイジーがライアンに突如アプローチをはじめて──!?

五歳の時から、側にいた

田尾風香
恋愛
五歳。グレースは初めて国王の長男のグリフィンと出会った。 それからというもの、お互いにいがみ合いながらもグレースはグリフィンの側にいた。十六歳に婚約し、十九歳で結婚した。 グリフィンは、初めてグレースと会ってからずっとその姿を追い続けた。十九歳で結婚し、三十二歳で亡くして初めて、グリフィンはグレースへの想いに気付く。 前編グレース視点、後編グリフィン視点です。全二話。後編は来週木曜31日に投稿します。

もう一度あなたと?

キムラましゅろう
恋愛
アデリオール王国魔法省で魔法書士として 働くわたしに、ある日王命が下った。 かつて魅了に囚われ、婚約破棄を言い渡してきた相手、 ワルター=ブライスと再び婚約を結ぶようにと。 「え?もう一度あなたと?」 国王は王太子に巻き込まれる形で魅了に掛けられた者達への 救済措置のつもりだろうけど、はっきり言って迷惑だ。 だって魅了に掛けられなくても、 あの人はわたしになんて興味はなかったもの。 しかもわたしは聞いてしまった。 とりあえずは王命に従って、頃合いを見て再び婚約解消をすればいいと、彼が仲間と話している所を……。 OK、そう言う事ならこちらにも考えがある。 どうせ再びフラれるとわかっているなら、この状況、利用させてもらいましょう。 完全ご都合主義、ノーリアリティ展開で進行します。 生暖かい目で見ていただけると幸いです。 小説家になろうさんの方でも投稿しています。

処理中です...