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★話し合い ④
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わたしは、脱線した話を戻した。
「お母様、もう嘆くのも一人で苦しむのも終わりにしましょう。
レオ様は結婚するまでは屑だったみたいですが、結婚してからはメアリー様に騙されただけで、浮気はしていなかったみたいです。
殿下に報告書を見せていただいたのですが、レオ様はメアリー様とは暮らしておらず時折アラン様に会いに行って父親をしていただけらしいです」
「………わたしは……屑…………」
レオ様が呆然としていたがわたしはそちらを見ることもしなかった。
お祖父様がお母様に話しかけた。
「ルディア、ハノンとレオナルドがまさか恋人だったなんて知らなかった。知っていたらお前達を婚約させなかった。いくら侯爵家からの話でも断っていた。すまなかった」
「ルディア、ごめんなさい。わたしは知っていたのに反対しなかったの。貴方がレオナルド様を好いていたから……」
お祖母様も謝った。
前グランデ侯爵は、ルディアを見て頭を下げた。
「わたしの判断ミスだった。
君がショックを受けて邸を出たことを聞いて会いに行ったが冷静に話し合える状態ではないし、君自身別れたいとしか言わない状態だった。我が家も跡継ぎが出来たことのほうが大事だった。君にとっても良いと思いレオナルドと別れさせたのはわたしの一存だった。産まれてみれば、侯爵家と全く似ていない孫だった。何度別れさせようとしたか。その度にメアリーの執拗な反撃に悔しい思いをしてきたが、アランは16年も孫として接してきたんだ。わたしにとっては可愛い孫だ」
「あ、あの、前侯爵様、執拗な反撃とはどう言うものか教えてほしいのです」
わたしが訪ねると、遠くを見て思い出しながら話し出した。
「レオナルドを騙して妻になったのだろうということは、調べがついていた。だがメアリーは、産まれたばかりのアランをわたし達から隠した。だから中々会えず本当にレオナルドの子かどうかの最終確認が出来なかった。会おうとすると部屋の中で喚き散らし開けたら死んでやるとかアランと一緒に死ぬとか、脅してくるんだ。赤子がいるだけに手が出せなかった。」
悔しそうな顔をしていた。
「なんとか顔を見られたのは半年後だった。レオナルドに全く似ていなかった。だから、離縁を言い渡したが屋敷から出て行かず、また、死んでやる!とかアランを窓から捨ててやる!とか脅し始めるんだ。邸が別だったのも悪い方に進んだ。我々が来ることが分かるとアランを連れ部屋に閉じ籠り泣き叫ぶ。さすがに無理矢理離縁させて、そのあとメアリーが社交界で何を言って回るか考えるとしばらくはこのままにしておこうとなった、もちろんその間もメアリーには監視はつけていた。」
「5年経ってそろそろメアリーとの離縁をもう一度しようと動いたら今度は君たちルディア親子に有る事無い事言って回ると脅したんだよ。精神的に追い詰められているルディアに対して
『レオの前の奥さん、婚約したばかりの時にも私とレオのベッドでの話を聞かせたことあったわ。プルプル震えて泣いていたわ!今度は泣くだけかしら?もしかしたら死んでしまうかもね、子どもと一緒に!子どもは、うちのアランだけで十分よ。殺したら楽しそうね。わたしが離縁されたら、わたし、何しちゃうかわかんないわ』と言いだしたんだ」
「……酷いわ」
お母様はショックを受けていた。
「それでもわたし達は離縁は簡単にさせられる。そして彼女を捕らえればいいと思ったが、メアリーは用意周到で捕まらないように保険をかけていたんだよ」
「保険?」
「ああ、メアリーは自分が捕まったら男たちにルディアとメアリーを襲わせるように金を渡しているんだ。我々が調べたところ組織に頼んでいる、メアリーが捕まればいつ誰がどこで二人を襲うか分からない。いくら護衛をつけても万全ではない。組織を探し出すまでは何があっても離縁は出来なかった。それにアランはいい子だ。あんな母親でも慕っていたし、侯爵家の跡取りになるために人並み以上の努力をしていた。そんなアランが不憫でアランには絶対レオナルドと血が繋がっていないことは隠していたんだ。もう知ってしまっていたみたいだが……」
「アラン、すまなかった。わたし達は最初から間違えていたんだ。貴族としての見栄や体裁、醜聞にならないように動いた。君たちを不幸にしてしまった。アラン、エイミー、すまなかった」
静かだと思った。
いつの間にか喚き散らすメアリー様は、隣の部屋へ連れて行かれていた。
「あ、あの、組織?それって小説…ではなくて?」
わたしが質問するとアランが言った。
「母上は碌でもない奴らと連んでいるよ、あの人は自分の為ならどんなことも平気でやる人だ、人が苦しめば苦しむほど喜ぶんだ……」
「もしかして、アランも何かされたの?」
わたしの問いに一瞬だけビクッとした。
「……何もされていな…「ちょっと腕見せて!」
本人は隠していたつもりだったが、剣術の時によく左腕を庇いながら鍛錬をしていたことを思い出した。
癖かと思っていたが、左腕の袖をめくると、ナイフで切られた古傷が沢山ありアザが出来ていた。
足も見ようとズボンの裾を持ち上げようとしたら、殿下に止められた。
「エイミー、それは如何なものかな、君はレディだよ」
「あ、すみません、殿下が見てください」
わたしは慌てて横を向いた。
アランは観念して殿下の前に立っていた。
「アラン、いつから?」
アランは答えなかった。
レオ様はアランのそばに駆け寄り傷の確認をして、アランを抱きしめていた。
「すまなかった、メアリーと君を引き離すことが出来なくて。もっと早くに動いていればこんな酷い目に合うことはなかったのに、わたしが育てることが出来なかったばかりにすまないアラン」
アランは、ぶっきらぼうに
「父上、大丈夫です。母上は酔っ払った時だけしかしないので、上手に逃げるコツも覚えました」
前侯爵様は、アランを見て震えていた。
「わたし達大人の都合に君たちを巻き込んで本当にすまなかった。陛下が動いてくれたおかげで、組織を壊滅させることが出来た。これで少しの憂いもなくお前達も過ごせる。アラン、頼むからこれ以上我慢しないでくれ。痛い時は痛いと言わないとわからないんだ、我慢などしないでくれ」
前侯爵様の話だと、今までも少しずつ組織を潰してきてはいたそうだ。だが、一人二人捕まえたり一箇所のアジトを潰してもまたどこからともなく復活して完全に壊滅出来なかったそうだ。今回、陛下が動いたことで一掃出来たらしい。
王様のチカラ、さすが!
動かす人数が違う………
これでメアリー様との離縁は成立するだろう。
「お母様、もう嘆くのも一人で苦しむのも終わりにしましょう。
レオ様は結婚するまでは屑だったみたいですが、結婚してからはメアリー様に騙されただけで、浮気はしていなかったみたいです。
殿下に報告書を見せていただいたのですが、レオ様はメアリー様とは暮らしておらず時折アラン様に会いに行って父親をしていただけらしいです」
「………わたしは……屑…………」
レオ様が呆然としていたがわたしはそちらを見ることもしなかった。
お祖父様がお母様に話しかけた。
「ルディア、ハノンとレオナルドがまさか恋人だったなんて知らなかった。知っていたらお前達を婚約させなかった。いくら侯爵家からの話でも断っていた。すまなかった」
「ルディア、ごめんなさい。わたしは知っていたのに反対しなかったの。貴方がレオナルド様を好いていたから……」
お祖母様も謝った。
前グランデ侯爵は、ルディアを見て頭を下げた。
「わたしの判断ミスだった。
君がショックを受けて邸を出たことを聞いて会いに行ったが冷静に話し合える状態ではないし、君自身別れたいとしか言わない状態だった。我が家も跡継ぎが出来たことのほうが大事だった。君にとっても良いと思いレオナルドと別れさせたのはわたしの一存だった。産まれてみれば、侯爵家と全く似ていない孫だった。何度別れさせようとしたか。その度にメアリーの執拗な反撃に悔しい思いをしてきたが、アランは16年も孫として接してきたんだ。わたしにとっては可愛い孫だ」
「あ、あの、前侯爵様、執拗な反撃とはどう言うものか教えてほしいのです」
わたしが訪ねると、遠くを見て思い出しながら話し出した。
「レオナルドを騙して妻になったのだろうということは、調べがついていた。だがメアリーは、産まれたばかりのアランをわたし達から隠した。だから中々会えず本当にレオナルドの子かどうかの最終確認が出来なかった。会おうとすると部屋の中で喚き散らし開けたら死んでやるとかアランと一緒に死ぬとか、脅してくるんだ。赤子がいるだけに手が出せなかった。」
悔しそうな顔をしていた。
「なんとか顔を見られたのは半年後だった。レオナルドに全く似ていなかった。だから、離縁を言い渡したが屋敷から出て行かず、また、死んでやる!とかアランを窓から捨ててやる!とか脅し始めるんだ。邸が別だったのも悪い方に進んだ。我々が来ることが分かるとアランを連れ部屋に閉じ籠り泣き叫ぶ。さすがに無理矢理離縁させて、そのあとメアリーが社交界で何を言って回るか考えるとしばらくはこのままにしておこうとなった、もちろんその間もメアリーには監視はつけていた。」
「5年経ってそろそろメアリーとの離縁をもう一度しようと動いたら今度は君たちルディア親子に有る事無い事言って回ると脅したんだよ。精神的に追い詰められているルディアに対して
『レオの前の奥さん、婚約したばかりの時にも私とレオのベッドでの話を聞かせたことあったわ。プルプル震えて泣いていたわ!今度は泣くだけかしら?もしかしたら死んでしまうかもね、子どもと一緒に!子どもは、うちのアランだけで十分よ。殺したら楽しそうね。わたしが離縁されたら、わたし、何しちゃうかわかんないわ』と言いだしたんだ」
「……酷いわ」
お母様はショックを受けていた。
「それでもわたし達は離縁は簡単にさせられる。そして彼女を捕らえればいいと思ったが、メアリーは用意周到で捕まらないように保険をかけていたんだよ」
「保険?」
「ああ、メアリーは自分が捕まったら男たちにルディアとメアリーを襲わせるように金を渡しているんだ。我々が調べたところ組織に頼んでいる、メアリーが捕まればいつ誰がどこで二人を襲うか分からない。いくら護衛をつけても万全ではない。組織を探し出すまでは何があっても離縁は出来なかった。それにアランはいい子だ。あんな母親でも慕っていたし、侯爵家の跡取りになるために人並み以上の努力をしていた。そんなアランが不憫でアランには絶対レオナルドと血が繋がっていないことは隠していたんだ。もう知ってしまっていたみたいだが……」
「アラン、すまなかった。わたし達は最初から間違えていたんだ。貴族としての見栄や体裁、醜聞にならないように動いた。君たちを不幸にしてしまった。アラン、エイミー、すまなかった」
静かだと思った。
いつの間にか喚き散らすメアリー様は、隣の部屋へ連れて行かれていた。
「あ、あの、組織?それって小説…ではなくて?」
わたしが質問するとアランが言った。
「母上は碌でもない奴らと連んでいるよ、あの人は自分の為ならどんなことも平気でやる人だ、人が苦しめば苦しむほど喜ぶんだ……」
「もしかして、アランも何かされたの?」
わたしの問いに一瞬だけビクッとした。
「……何もされていな…「ちょっと腕見せて!」
本人は隠していたつもりだったが、剣術の時によく左腕を庇いながら鍛錬をしていたことを思い出した。
癖かと思っていたが、左腕の袖をめくると、ナイフで切られた古傷が沢山ありアザが出来ていた。
足も見ようとズボンの裾を持ち上げようとしたら、殿下に止められた。
「エイミー、それは如何なものかな、君はレディだよ」
「あ、すみません、殿下が見てください」
わたしは慌てて横を向いた。
アランは観念して殿下の前に立っていた。
「アラン、いつから?」
アランは答えなかった。
レオ様はアランのそばに駆け寄り傷の確認をして、アランを抱きしめていた。
「すまなかった、メアリーと君を引き離すことが出来なくて。もっと早くに動いていればこんな酷い目に合うことはなかったのに、わたしが育てることが出来なかったばかりにすまないアラン」
アランは、ぶっきらぼうに
「父上、大丈夫です。母上は酔っ払った時だけしかしないので、上手に逃げるコツも覚えました」
前侯爵様は、アランを見て震えていた。
「わたし達大人の都合に君たちを巻き込んで本当にすまなかった。陛下が動いてくれたおかげで、組織を壊滅させることが出来た。これで少しの憂いもなくお前達も過ごせる。アラン、頼むからこれ以上我慢しないでくれ。痛い時は痛いと言わないとわからないんだ、我慢などしないでくれ」
前侯爵様の話だと、今までも少しずつ組織を潰してきてはいたそうだ。だが、一人二人捕まえたり一箇所のアジトを潰してもまたどこからともなく復活して完全に壊滅出来なかったそうだ。今回、陛下が動いたことで一掃出来たらしい。
王様のチカラ、さすが!
動かす人数が違う………
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