【完結】浮気された私は貴方の子どもを内緒で育てます  時々番外編

たろ

文字の大きさ
上 下
37 / 94

★高等部1年生⑮

しおりを挟む
馬車が着くとわたし達は陛下がいる部屋に通された。

そこには、お母様、ハノン伯母様、レオ様、メアリー様、お義父様、お義母様、お祖父様、お祖母様、レオ様のお父様(前侯爵様)、そしてラウル様(アランの実のお父様)が勢揃いしていた。

ラウル様のことは実は陛下が調べた中でアランの父親だと分かり呼び出したと聞いていた。
さすが陛下!
これで全員揃ったわ。


◇ ◇ ◇

図書館での読書が終わり二人でお茶をしている時にお祖父様の話しになった。

「エイミーのお祖父様は、わたしの師匠なんだよ」

「ええ?お祖父様がですか?」

「ああ、若い時はかなり鍛えられたよ。何度逃げ出そうかと思ったよ。あれは鬼か悪魔だね」

「ふふふ。お祖父様は教え始めるとつい夢中になって我を忘れます。確かに鬼かも」

「君はハディッド領で育ったんだよね」

「はい、とても綺麗なところです。緑が多くて空がとても青くて空気がとっても美味しいんです」

「うん、あそこはいい所だよね」

「陛下もご存知なのですか?」

「わたしもあそこには幼い頃何度か遊びに行ったよ。君の母であるルディアとも遊んでたんだ。と言ってもルディアは小さくてよくわたしの後をついて回る可愛い子だったけどね」

「お母様を知っているのですね」

「ルディアにはこの前の舞踏会で久しぶりに会った。年月が経っても美しさは変わらなかったが、あの明るかったルディアがとても暗く感じたよ。やはりレオナルドとのことが今も尾を引いているのかな」

「お母様は、離縁してわたしが出来たことに気づいてとても悩んだと言ってました。死にたかったと言ってました。
なかなか子どもが出来なくて悩んでいたのにレオ様は浮気してメアリー様に子どもが出来たと聞いた時はすごく辛かったみたいです。なのに離縁してからわたしがお腹にいることがわかって、神様を恨んだと言ってました。それでもわたしを産んで育ててくれました。わたしはお母様が大好きです」

「陛下、わたしはまだ人を愛するという気持ちがわかりません。初恋を知らないんです。あ!カイル殿下との熱い友情は知っていますが!」

「うん、君たちの熱い友情ね」
陛下はクスクス笑って聞いてくれた。

「はい、だからわたし大人の人達の気持ちがよくわからないのです。どうして今もレオ様の話を聞くとパニックになるのかしら?離縁したんだからもう他人なのに。
レオ様はお母様を今だに愛しているらしいのです。なのにメアリー様に脅されて離縁が出来ないそうなんです」

「脅されてとは?」

「あ!陛下。これ以上は言えません。陛下は殿下ではなかったんだわ。つい殿下とお話しているつもりでいたわ」

わたしは陛下の前でお口を閉じた。

「エイミー、わたしも昔は殿下だったんだよ。だから大丈夫だ」

「いえ、それは違いますよね⁉︎」

そしてわたしは陛下に全てを話してしまったのだ。
いや、言わされたのだ。

それから数日後、陛下とのお茶の時間に聞かれた。

「エイミーは、大人の今の問題をどうするべきだと考えているのかい?」

「わたしですか?聞いているとみんな少しずつ誤解や勘違いからすれ違って歯車が狂ってきているのだと思います。
わたしならみんなに突撃して全員の前で文句言ってやります!我慢して何も言わないから相手の気持ちがわからないんです。メアリー様にももしかしたら何か理由があるのかもしれないし話を聞いてみたいと思います」

「ほお、突撃か…全員の前で文句を言うのか…面白そうだな。………うん、うん、そうしよう。エイミー、全員集めることにしよう」

「ええ!本当に集めてくださるのですか⁈」

「ああ、少し待っていてくれ。事実確認をしてから集める。もちろん君とアランも呼ぶからね」

「陛下、ありがとうございます。少しでも良い方向に行くように頑張ります!」




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます

冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。 そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。 しかも相手は妹のレナ。 最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。 夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。 最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。 それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。 「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」 確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。 言われるがままに、隣国へ向かった私。 その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。 ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。 ※ざまぁパートは第16話〜です

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

冤罪を受けたため、隣国へ亡命します

しろねこ。
恋愛
「お父様が投獄?!」 呼び出されたレナンとミューズは驚きに顔を真っ青にする。 「冤罪よ。でも事は一刻も争うわ。申し訳ないけど、今すぐ荷づくりをして頂戴。すぐにこの国を出るわ」 突如母から言われたのは生活を一変させる言葉だった。 友人、婚約者、国、屋敷、それまでの生活をすべて捨て、令嬢達は手を差し伸べてくれた隣国へと逃げる。 冤罪を晴らすため、奮闘していく。 同名主人公にて様々な話を書いています。 立場やシチュエーションを変えたりしていますが、他作品とリンクする場所も多々あります。 サブキャラについてはスピンオフ的に書いた話もあったりします。 変わった作風かと思いますが、楽しんで頂けたらと思います。 ハピエンが好きなので、最後は必ずそこに繋げます! 小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿中。

交換された花嫁

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」 お姉さんなんだから…お姉さんなんだから… 我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。 「お姉様の婚約者頂戴」 妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。 「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」 流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。 結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。 そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。

もう一度あなたと?

キムラましゅろう
恋愛
アデリオール王国魔法省で魔法書士として 働くわたしに、ある日王命が下った。 かつて魅了に囚われ、婚約破棄を言い渡してきた相手、 ワルター=ブライスと再び婚約を結ぶようにと。 「え?もう一度あなたと?」 国王は王太子に巻き込まれる形で魅了に掛けられた者達への 救済措置のつもりだろうけど、はっきり言って迷惑だ。 だって魅了に掛けられなくても、 あの人はわたしになんて興味はなかったもの。 しかもわたしは聞いてしまった。 とりあえずは王命に従って、頃合いを見て再び婚約解消をすればいいと、彼が仲間と話している所を……。 OK、そう言う事ならこちらにも考えがある。 どうせ再びフラれるとわかっているなら、この状況、利用させてもらいましょう。 完全ご都合主義、ノーリアリティ展開で進行します。 生暖かい目で見ていただけると幸いです。 小説家になろうさんの方でも投稿しています。

この度、双子の妹が私になりすまして旦那様と初夜を済ませてしまったので、 私は妹として生きる事になりました

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
*レンタル配信されました。 レンタルだけの番外編ssもあるので、お読み頂けたら嬉しいです。 【伯爵令嬢のアンネリーゼは侯爵令息のオスカーと結婚をした。籍を入れたその夜、初夜を迎える筈だったが急激な睡魔に襲われて意識を手放してしまった。そして、朝目を覚ますと双子の妹であるアンナマリーが自分になり代わり旦那のオスカーと初夜を済ませてしまっていた。しかも両親は「見た目は同じなんだし、済ませてしまったなら仕方ないわ。アンネリーゼ、貴女は今日からアンナマリーとして過ごしなさい」と告げた。 そして妹として過ごす事になったアンネリーゼは妹の代わりに学院に通う事となり……更にそこで最悪な事態に見舞われて……?】

あなたの愛が正しいわ

来須みかん
恋愛
旧題:あなたの愛が正しいわ~夫が私の悪口を言っていたので理想の妻になってあげたのに、どうしてそんな顔をするの?~  夫と一緒に訪れた夜会で、夫が男友達に私の悪口を言っているのを聞いてしまった。そのことをきっかけに、私は夫の理想の妻になることを決める。それまで夫を心の底から愛して尽くしていたけど、それがうっとうしかったそうだ。夫に付きまとうのをやめた私は、生まれ変わったように清々しい気分になっていた。  一方、夫は妻の変化に戸惑い、誤解があったことに気がつき、自分の今までの酷い態度を謝ったが、妻は美しい笑みを浮かべてこういった。 「いいえ、間違っていたのは私のほう。あなたの愛が正しいわ」

絶望?いえいえ、余裕です! 10年にも及ぶ婚約を解消されても化物令嬢はモフモフに夢中ですので

ハートリオ
恋愛
伯爵令嬢ステラは6才の時に隣国の公爵令息ディングに見初められて婚約し、10才から婚約者ディングの公爵邸の別邸で暮らしていた。 しかし、ステラを呼び寄せてすぐにディングは婚約を後悔し、ステラを放置する事となる。 異様な姿で異臭を放つ『化物令嬢』となったステラを嫌った為だ。 異国の公爵邸の別邸で一人放置される事となった10才の少女ステラだが。 公爵邸別邸は森の中にあり、その森には白いモフモフがいたので。 『ツン』だけど優しい白クマさんがいたので耐えられた。 更にある事件をきっかけに自分を取り戻した後は、ディングの執事カロンと共に公爵家の仕事をこなすなどして暮らして来た。 だがステラが16才、王立高等学校卒業一ヶ月前にとうとう婚約解消され、ステラは公爵邸を出て行く。 ステラを厄介払い出来たはずの公爵令息ディングはなぜかモヤモヤする。 モヤモヤの理由が分からないまま、ステラが出て行った後の公爵邸では次々と不具合が起こり始めて―― 奇跡的に出会い、優しい時を過ごして愛を育んだ一人と一頭(?)の愛の物語です。 異世界、魔法のある世界です。 色々ゆるゆるです。

処理中です...