【完結】浮気された私は貴方の子どもを内緒で育てます  時々番外編

たろ

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ずるい奴

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俺は生まれた時から、いつも一人だった。

母上と二人の屋敷に住んでいるのに、母上は気が向いた時しか現れなかった。

侍女が着替えも食事も湯浴みも全て手伝ってくれた。
いつもそばには侍女達がいてくれた。

たまに母上が来て相手にしてくれる。

「アラン、わたしの可愛い息子。ふふふ。貴方はわたしの天使よ」
そう言ってニヤッと笑いながら俺を抱きしめてくれた。
機嫌がいい時は一緒に食事をしてくれる。

父上は、月に一度顔を出す。
「元気にしているかい?」
と言って遊んでくれる。
たまに買い物に行こうと連れ出してくれたり公園に行ったり、乗馬をしたり、父上が来てくれるのが唯一の楽しみだった。

そして、俺が12歳の時に現実を知った。

俺は侯爵家嫡男なので、父上の跡を継ぐ為に剣の鍛錬、勉学と努力してきた。

ある日のこと、いつものように気紛れに母上が顔を出した。
母上は、いつも厚い化粧と派手な服、香水を身体中に纏い、知らない男の人にべったりくっついて会いに来た。

「アラン、貴方は真面目ね。そんなに頑張っても無駄なのに」
とニヤッと笑った。
母上は昼間からお酒を飲んでかなり酔っていた。

「母上、何を言ってるのですか?」

「貴方はレオの子じゃないのよ、ふふふふふ。
レオを騙して離縁させてわたしと結婚したのよ。アラン、貴方はわたしとラウル・ベルアートの子なの!
もう騎士も辞めて、公爵当主も辞めて今は領地で必死で働いているわ。
あの人は奥さんが大好きすぎて抱けなくて他の女を抱いていたの。わたしは愛されていると思っていたのに、彼はわたしに言ったの。
『俺が愛しているのは妻だけだ。お前はただの性欲を満たすだけの女だ』ってね。
男なんてみんなそんな奴ばっかりよ!レオも婚約者がいながらわたしを抱いて捨てたから、わたしが今度はレオを騙してあげたの!男なんてみんな勝手よ!」

母上はふらつきながら俺を見た。
「いい!レオはルディアという婚約者がいながらわたしと付き合ってわたしを抱いて捨てたの。あんたの本当の父親もわたしを抱いて、性欲を満たすだけの女だと言って捨てたの!
わたしは妊娠してどうすることも出来なくてレオを酔い潰して浮気したと思い込ませて奥さんと離縁させてあたしと結婚したの!ザマアミロよ!少し早くアンタが産まれたけど誤魔化したのに、産んだ後、全部バレちゃったの。
だから、わたしとアンタは別の邸に住むことになったのよ。でも、離縁はしないわ。
離縁するなら死んでやる!アランを殺してやる!レオの本当の娘を殺してやる!元妻のルディアを殺してやる!って脅しているの!ふふふ。
口だけだから捕まらない。いい気味よ。わたしを弄んだ男達への復讐よ!ラウルだって今は落ちぶれてずっと使用人まがいのことしかしていないらしいわ。いい気味よ!レオもあたしを捨てたんだから罰を受け続ければいいのよ!」

俺は呆然としていた。

この人は何を言っているのだろうと思った。

俺の父親は別にいる?
父上は、母上にはめられて結婚して今も脅されている?

「わたしはレオもラウルも愛したのに捨てられたの」
聞こえないくらい小さな声で呟いたあと母上は、見知らぬ男と何処かへ行ってしまった。

俺は誰にも聞けず誰にも話せずにいた。

父上には本当の娘がいる。それが誰なのかわからない。
俺がしてきた努力は何も意味がなかった。
だが、たまに会える父上の優しさに答えたくて俺は今も努力を続ける。
たとえ血が繋がらなくとも俺にとっての親は父上のみなのだから。
ラウルとか言う人なんか関係ない。


◆ ◆ ◆

ラウル・ベルアートとは・・・

『愛してました、たぶん』の中で出てきた主人公の元夫です。

読んだことある方はここに出るの?と思われているかも知れませんが、最初から設定でラウルの屑さをここに出す予定でした。
メアリーの心を壊したのはレオとラウルでした。でもだからと言って他の人を不幸にするメアリーは許せませんが!( *`ω´)













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