【完結】浮気された私は貴方の子どもを内緒で育てます  時々番外編

たろ

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冷静に。

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姉様は、悲しそうにわたしを見ていた。

わたしは、少し気持ちが落ち着いてきた。

「お茶を淹れるわ」

「ありが…と…う」
わたしは、温かい紅茶を飲んで少しずつ落ち着きを取り戻した。

「貴方に何度も話そうとしたけど、貴方は聞く耳を持たなかったの…話そうとするとパニックになって……」

わたしを見てハノン姉様は、溜息を吐いた。

「あの頃は、わたしもレオも若かったの。お互い好きだから付き合って、でもお互いが長子で継ぐ家があったから、いつも喧嘩ばかりだったの。
そして別れたばかりの時にトムと知り合ったわ。トムは何度断っても諦めずに告白するの。次第にわたしも彼を好きになったの。
だからお互い別れていたのよ。結婚前に会ったのは、わたしは彼に最後に謝りたかったからなの。別れたとはいえわたしはすぐにトムを選んだわ。『幸せになってくれたらいい』と言ってくれたわ。
今はルディアを愛していると言ってたの。月日がお互いの気持ちを変えたのよ。
わたしはトムを愛しているし、レオもルディアを妹のように思っていたのが愛に変わっていったんだと思うの」

「わたしを愛していた?嘘だわ。だって彼はわたしと婚約した後もいつも恋人がいたわ」

お姉様は言いにくそうに話してくれた。
「ルディアは知っていたのね。
レオとルディアは5歳違うのよ。最初はレオにとってルディアは妹のような関係だったのよ、だから、レオは婚約しても他の女性と付き合っていたのだと思うわ。わたしと別れて少し自暴自棄になっていたのかもしれない」
溜め息を吐いて続けた。

「結婚前からレオは貴方を愛していたわ。なのに、メアリーとレオが浮気したのを聞いた時わたしはレオを責めたわ。そしたら、レオは朝起きたら裸で彼女といたけど、抱いた記憶はないというの。いくら考えても覚えていないし、飲んだけど記憶がなくなるほど酔っていないはずだと言ったのよ。レオはルディアに知られたくなくて何も言わなかった。なかった事にしたかったみたいでそのままにしていたらしいの」

「レオはわたしに否定しなかったわ!認めたのよ!」

「ええ、そうね。レオが現実から目を反らさなければあんな事にならなかったと思うわ。彼がしたことはずるいことよ。メアリーが来た時は本人も身に覚えがあるから何も言えなかったと言ってたわ。
そのあと、わたしとレオとトムで調べたわ。そしたらレオの同僚がメアリーと組んでレオにお酒を飲ませて酔っぱらわせて薬で眠らせていたの。そしてメアリーは朝裸でレオといたらしいの、完全にヤラセね」

「嘘!嘘だわ!レオが嘘をついているのよ!」

「嘘ではないわ。きちんと調書も取ったし弁護士も交えて話し合いもしたわ。同僚のことも訴えたの」

「でもね、全ての事実がわかった時は遅かった。ルディアとは別れていたし無理矢理メアリーと再婚させられていたし、子どもも産まれていたの。
ただ全く似ていないから、レオの子どもではないと断定されたわ。
何度もレオはメアリーと別れようとしたけど、彼女はその度に『死んでやる!』と叫んで手首を切ったり睡眠薬を大量に飲んだりするらしいの。
レオは別れることを諦めてずっと別居しているの」

「別居?」

「そうよ。あの夫婦は無理やり結婚させられたけど全く一緒に住んでいないわ。籍は入っているけどレオは本当は別れたいのよ。ただ、メアリーは強かなの。レオと結婚さえしていれば自由にお金を使えるし遊んで暮らせるでしょう?自殺すると脅しているの。それに離縁するならアランを殺してやると脅しているの」

「アラン様を?」

「ええ。本当に何かをした訳ではないから捕まえることも出来ないし無理やり離縁して自殺されると侯爵家の醜聞になるし、彼女は狡猾なの。
他にも……エイミーに危害を加えてやるとかルディアに会いに行って、有る事無い事言ってやるとか、とにかくその場凌ぎでいろんなことを言い出すの。だから、レオも何も手を出せないでいるの。弁護士とは話し合っていていつも貴方達のことも定期的に報告を受けているの」

「どうして姉様は知っているの?」

「トムも協力してメアリーの事常に見張っているのよ。貴方達のことが心配だから…王都に遊びに来るように言ったときも、レオには伝えておいたの。
舞踏会は、ルディアはすぐに帰るから絶対に二人に接触しないで欲しいと、お願いしていたの。なのにレオは我慢できなくて貴方に接触してしまったわ。わたしが浅はかだったわ、ごめんなさい」

「姉様、ごめんなさい。わたし、まだいろいろ頭が回っていないわ。整理がつかないの、少し考えさせて欲しい」

「そうね、初めて聞く事ばかりだもの。でもやっと貴方がわたし達の声を聞いてくれて良かった。このまま聞き入れてもらえなかったらエイミーが可哀想」

「わたし、エイミーにとって酷い母親ね。自分のことだけがかわいくて可哀想だと思ってた」

わたしはエイミーにどんな顔をして会えばいいのだろう。


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