【完結】浮気された私は貴方の子どもを内緒で育てます  時々番外編

たろ

文字の大きさ
上 下
14 / 94

ルディア、久々の王都

しおりを挟む
母と王都に向かった。
途中、ボガード侯爵邸に立ち寄り数日泊まった。
エイミーの楽しくも恥ずかしい話をたくさん聞いた。
エイミーが過ごした最初の5か月間、庭で鬼ごっこをして噴水に落ちてびしょ濡れになったとか、屋敷の中でかくれんぼや鬼ごっこをして花瓶を割ったとか、刺繍をしていておとなしく刺していると思ったら寝ていたとか、お腹が空いたからと言って近くの森に勝手に一人で野いちごを摘みに行って邸中居なくなったと大騒ぎになったとか、聞いているだけでも穴があったら入りたい気分になった。

大自然のハディッド領で育ったエイミーは、令嬢らしくなくいつも近所の男の子達と走り回り伸び伸びと過ごしていた。

王都の貴族社会と似た学園で過ごすのはエイミーにとっては窮屈で仕方がないだろうと思ってしまう。

活発な一面がありながらも聡明で人を惹きつけてやまないエイミーは、どんな風に成長しているのか楽しみでもある。
2年振りの再会を楽しみにわたしはハディッド伯爵家へ向かっている。



◇ ◇ ◇

ハノンお姉様と会うのも3年振りになる。
「ルディア久しぶり」
お姉様は、わたしを抱きしめた。
「お母様、体調は如何ですか?遠い道のりで疲れたでしょう?」
お姉様は、母をすぐに部屋に通してくれた。

わたしが通されたのは、昔この家に住んでいた頃のわたしの部屋だった。

母達もこちらの邸に、母たちが以前使っていた部屋を残して貰っていていつ帰って来てもいいようにいつも掃除がされていた。

「懐かしいわ」
わたしが結婚する時に出て行ったままだった。

あの頃のわたしは幼馴染のレオとの結婚に夢を見ていた。

レオは年上でいつも優しくてわたしの初恋の人だった。

結婚してからは朝晩必ず「愛してる」と伝えてくれた。
年が離れていて、わたしを妹のように思っていたレオがわたしを愛してくれるようになったのは、姉のハノンが結婚をして恋を終わらせてからだと思う。
ハノンお姉様はわたしの3歳年上で知的で美しい人だった。レオとは2歳しか年が離れていなかったので二人は幼い頃から仲が良かった。

我が家は女の子二人だったので姉が伯爵家を継ぐことになっていた。そのため婿をもらう必要がありトム・バラード侯爵三男20歳と17歳の時に婚約した。

レオの一つ年上のトム義兄様は、姉に一目惚れして何度も交際を申し込んで姉が受け入れたらしい。
レオと姉が好きあっていたのはわたしは知っていたが二人の間になにが有ったのかはわからないが姉はレオとではなくトムを選んだ。

レオは侯爵家の嫡男だったが、3歳下に弟のレヴィン様がいたし、伯爵家の我が家もいざとなればわたしが継いで婿をとればよかったのだから、レオと姉が結ばれてもよかったはずだった。

ただ姉の結婚式の数日前、姉とレオが二人っきりで深刻な話しをているのを見た。その時、レオの恋は終わったのだとわたしは思った。

二人の間になにがあったのかは今も聞くことはない。

姉の婚約後、わたしはレオと婚約した。
レオにとって、5歳も離れた14歳のわたしには恋愛感情は持てなかったみたいだ。
レオは隠していたけど、時々女の人といるところを見たことがあった。
派手な化粧をしてレオの腕に絡まりキスをしている姿を見たことがあった。
今思い返せば彼女がメアリーだったんだと思う。

他にも髪が長くて目鼻立ちがハッキリした背の高い美女を連れて歩く姿も見た。

その度にわたしの心は傷ついたが幼すぎるわたしでは恋人としては見れないし満足できないのはわかっていたので黙って耐えるしかないと思っていた。
いつかわたしを見てくれると思い、淡い恋心をずっと失わないでいた。

わたしが18歳、レオが23歳の時に結婚した。
レオはわたしを妻として受け入れてくれた。
初夜も責任を果たしてくれたし、それなりに彼と閨を共にしたと思う。

寝室も同じベッドで寝ていたし、朝食は必ず一緒に食べるようにしていた。

夕食は彼の仕事柄飲んで帰ることも多く一緒には食べれなくとも時間がある時はわたしと共に過ごしてくれた。

そこに愛はあると思っていた。














しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます

冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。 そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。 しかも相手は妹のレナ。 最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。 夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。 最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。 それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。 「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」 確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。 言われるがままに、隣国へ向かった私。 その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。 ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。 ※ざまぁパートは第16話〜です

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

冤罪を受けたため、隣国へ亡命します

しろねこ。
恋愛
「お父様が投獄?!」 呼び出されたレナンとミューズは驚きに顔を真っ青にする。 「冤罪よ。でも事は一刻も争うわ。申し訳ないけど、今すぐ荷づくりをして頂戴。すぐにこの国を出るわ」 突如母から言われたのは生活を一変させる言葉だった。 友人、婚約者、国、屋敷、それまでの生活をすべて捨て、令嬢達は手を差し伸べてくれた隣国へと逃げる。 冤罪を晴らすため、奮闘していく。 同名主人公にて様々な話を書いています。 立場やシチュエーションを変えたりしていますが、他作品とリンクする場所も多々あります。 サブキャラについてはスピンオフ的に書いた話もあったりします。 変わった作風かと思いますが、楽しんで頂けたらと思います。 ハピエンが好きなので、最後は必ずそこに繋げます! 小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿中。

交換された花嫁

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」 お姉さんなんだから…お姉さんなんだから… 我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。 「お姉様の婚約者頂戴」 妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。 「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」 流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。 結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。 そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。

もう一度あなたと?

キムラましゅろう
恋愛
アデリオール王国魔法省で魔法書士として 働くわたしに、ある日王命が下った。 かつて魅了に囚われ、婚約破棄を言い渡してきた相手、 ワルター=ブライスと再び婚約を結ぶようにと。 「え?もう一度あなたと?」 国王は王太子に巻き込まれる形で魅了に掛けられた者達への 救済措置のつもりだろうけど、はっきり言って迷惑だ。 だって魅了に掛けられなくても、 あの人はわたしになんて興味はなかったもの。 しかもわたしは聞いてしまった。 とりあえずは王命に従って、頃合いを見て再び婚約解消をすればいいと、彼が仲間と話している所を……。 OK、そう言う事ならこちらにも考えがある。 どうせ再びフラれるとわかっているなら、この状況、利用させてもらいましょう。 完全ご都合主義、ノーリアリティ展開で進行します。 生暖かい目で見ていただけると幸いです。 小説家になろうさんの方でも投稿しています。

この度、双子の妹が私になりすまして旦那様と初夜を済ませてしまったので、 私は妹として生きる事になりました

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
*レンタル配信されました。 レンタルだけの番外編ssもあるので、お読み頂けたら嬉しいです。 【伯爵令嬢のアンネリーゼは侯爵令息のオスカーと結婚をした。籍を入れたその夜、初夜を迎える筈だったが急激な睡魔に襲われて意識を手放してしまった。そして、朝目を覚ますと双子の妹であるアンナマリーが自分になり代わり旦那のオスカーと初夜を済ませてしまっていた。しかも両親は「見た目は同じなんだし、済ませてしまったなら仕方ないわ。アンネリーゼ、貴女は今日からアンナマリーとして過ごしなさい」と告げた。 そして妹として過ごす事になったアンネリーゼは妹の代わりに学院に通う事となり……更にそこで最悪な事態に見舞われて……?】

あなたの愛が正しいわ

来須みかん
恋愛
旧題:あなたの愛が正しいわ~夫が私の悪口を言っていたので理想の妻になってあげたのに、どうしてそんな顔をするの?~  夫と一緒に訪れた夜会で、夫が男友達に私の悪口を言っているのを聞いてしまった。そのことをきっかけに、私は夫の理想の妻になることを決める。それまで夫を心の底から愛して尽くしていたけど、それがうっとうしかったそうだ。夫に付きまとうのをやめた私は、生まれ変わったように清々しい気分になっていた。  一方、夫は妻の変化に戸惑い、誤解があったことに気がつき、自分の今までの酷い態度を謝ったが、妻は美しい笑みを浮かべてこういった。 「いいえ、間違っていたのは私のほう。あなたの愛が正しいわ」

絶望?いえいえ、余裕です! 10年にも及ぶ婚約を解消されても化物令嬢はモフモフに夢中ですので

ハートリオ
恋愛
伯爵令嬢ステラは6才の時に隣国の公爵令息ディングに見初められて婚約し、10才から婚約者ディングの公爵邸の別邸で暮らしていた。 しかし、ステラを呼び寄せてすぐにディングは婚約を後悔し、ステラを放置する事となる。 異様な姿で異臭を放つ『化物令嬢』となったステラを嫌った為だ。 異国の公爵邸の別邸で一人放置される事となった10才の少女ステラだが。 公爵邸別邸は森の中にあり、その森には白いモフモフがいたので。 『ツン』だけど優しい白クマさんがいたので耐えられた。 更にある事件をきっかけに自分を取り戻した後は、ディングの執事カロンと共に公爵家の仕事をこなすなどして暮らして来た。 だがステラが16才、王立高等学校卒業一ヶ月前にとうとう婚約解消され、ステラは公爵邸を出て行く。 ステラを厄介払い出来たはずの公爵令息ディングはなぜかモヤモヤする。 モヤモヤの理由が分からないまま、ステラが出て行った後の公爵邸では次々と不具合が起こり始めて―― 奇跡的に出会い、優しい時を過ごして愛を育んだ一人と一頭(?)の愛の物語です。 異世界、魔法のある世界です。 色々ゆるゆるです。

処理中です...