10 / 94
★ 中等部3年生
しおりを挟む
15歳になった。
来年は社交界デビューの年でもある。
学校でのダンスパーティーにも今年から参加が出来る。
家に帰る度にお義母様は、わたしのドレス選びや宝石選びと忙しい。
早めに準備しないと間に合わないんだって。わたしは既成のドレスで十分なんだけどね。
今年はメイも中等部に入り、寮で過ごしている。
と言っても気づけばシャーリーの屋敷にお邪魔してわたしの部屋で過ごしていることも多い。
最近は忙しくて、ボガードの邸に帰るのは月に2回くらいになった。
メイはまだ1年生なので毎週必ず帰るのは両親との約束。
いつも
「一緒に帰りましょう」
と言ってくる。
でも最近成績をアランに抜かされた。
それも2回もよ!
今わたしは3位なの、とっても悔しい。
だからシャーリーの屋敷で必死に勉強をしているの。
カイル殿下は頭が良すぎて負けても仕方ないけど、アランにだけは負けたくないの。
だってだって
「成績もダメ。女の子としてもダメ。いいところあるのか?」
なんて意地悪言うのよ!
この前までわたしの方が成績上だったのにとっても悔しい。
お義兄様は高等部の2年生なの。
わたしのお勉強に付き合って、シャーリーの屋敷に来てわたしとシャーリーのお勉強を教えてくださることもあるの。
「お義兄様、メイに厳しすぎるのでは?」
「メイは甘えてばかりですぐに人に頼るだろう?本人にとって良くないと思うんだ」
シャーリーが言った。
「どこもお兄様は妹に厳しいと思うわ」
「ええ?アーサー様は優しいわ。いつもチョコレートをくださるわ」
わたしが褒めるとシャーリーは死んだ魚の目をわたしに向けた。
「チョコレートで餌付けされないでちょうだい。お兄様の本当の怖さを知らないからよ!」
「どんなことされるの?」
「小さい頃は怒らせたらわたしを物置小屋に入れるの。泣いて謝まるまで絶対に許してくれないの。悔しくて謝らなかったら朝から夕方まで閉じ込めたのよ」
「それで謝ったの?」
「勿論謝らなかったわ、そしたらお母様が助けてくださったの」
お兄様怖し!
ほんとの兄妹ってやっぱり遠慮がないから言い合えるし、そんなこともできるのよね。
羨ましいわ。
◇ ◇ ◇
「テストの結果はどうだった?」
3年生になってから仲良くなった殿下と反対の隣の席のイザベラ・ヴァロマ公爵令嬢が話しかけてきた。
「今回は自信があるわ。イザベラは?」
「私も今回は手応えがありましたわ」
「打倒アランよ!今回は2位を死守よ!」
反対の席のカイル殿下が笑い出した。
「エイミー、2位死守するのはいいけど、1位になりたいとはいつも言わないよね?1位にはなりたくないの?」
「殿下、貴方の頭にわたしはなりたい」
真剣な顔して言ったら、シャーリーがまたお詫びを言い出した。
「カイル殿下いつもいつもうちのエイミーが申し訳ありません」
わたしは殿下を褒めたつもりだった。
「今日のは謝らなくてもよくないかしら?」
シャーリーが真面目な顔して言った。
「エイミー、よくはありません」
「シャーリー、大丈夫だよ。僕も一度エイミーの頭になってみたいよ。毎日が楽しそうだからね」
殿下が失礼なことを言っているわ。
「殿下、わたしも毎日は楽しくありません。特に例のアイツと話をした日は特に一日嫌な気分になります」
わたしは至って真面目に答えた。
「エイミー、僕と一緒だね。僕も例のあの子と話すと一日嫌な気分になるんだ」
横から話に入ってきたのはまたもやアランだった。
「アラン、大変ね。例のあの子と仲が悪いのかしら?」
「エイミー、例のアイツは、たぶん君のことなんて興味もないと思うよ」
「「貴方たちいい加減にしなさい」」
シャーリーとイザベルが怒り出した。
「ごめんなさい。ついむきになっちゃった。例のアイツが子供っぽいから」
「例のあの子に比べたらマシだと思うよ」
殿下がわたしとアランの口喧嘩を聞いて突然言い出した。
「ねえエイミー、そしてアラン。君たちは喧嘩するけどかなり息が合ってるよね?」
「「合ってないと思います」」
わたしとアランの声が被った。
「ね?合っているだろう」
「「・・・・・」」
「僕からの提案なんだけど、君たち二人が2か月後の学園主催のダンスパーティのパートナーになったら面白いと思わないかい?」
わたしは驚きすぎて声が出なかった。
「……!な、な……に……」
アランは苦笑いをして殿下に頭を下げた。
「カイル殿下、それは御命令ですか?」
「うん?違うよ。僕からの提案だよ」
(((殿下、駄目です。殿下が言っちゃうと提案は命令と一緒なんだから…断れなくなるじゃない)))
わたし達女子は、みんな心の中で思った。
「殿下のご提案で有れば喜んでお受けします」
アランが頭を下げて提案を受けた。
「………な、……うけ………だめ…もごっもごっ」
わたしがアランに文句を言おうとしたら、わたしの口をシャーリーが手で押さえた。
「殿下、エイミーも喜んでお受けするそうです」
(受けてない!)
叫ぶのに言葉にならない。
(手で押さえられて話せないの、殿下!
わたしのこの顔と状況で察してください!)
来年は社交界デビューの年でもある。
学校でのダンスパーティーにも今年から参加が出来る。
家に帰る度にお義母様は、わたしのドレス選びや宝石選びと忙しい。
早めに準備しないと間に合わないんだって。わたしは既成のドレスで十分なんだけどね。
今年はメイも中等部に入り、寮で過ごしている。
と言っても気づけばシャーリーの屋敷にお邪魔してわたしの部屋で過ごしていることも多い。
最近は忙しくて、ボガードの邸に帰るのは月に2回くらいになった。
メイはまだ1年生なので毎週必ず帰るのは両親との約束。
いつも
「一緒に帰りましょう」
と言ってくる。
でも最近成績をアランに抜かされた。
それも2回もよ!
今わたしは3位なの、とっても悔しい。
だからシャーリーの屋敷で必死に勉強をしているの。
カイル殿下は頭が良すぎて負けても仕方ないけど、アランにだけは負けたくないの。
だってだって
「成績もダメ。女の子としてもダメ。いいところあるのか?」
なんて意地悪言うのよ!
この前までわたしの方が成績上だったのにとっても悔しい。
お義兄様は高等部の2年生なの。
わたしのお勉強に付き合って、シャーリーの屋敷に来てわたしとシャーリーのお勉強を教えてくださることもあるの。
「お義兄様、メイに厳しすぎるのでは?」
「メイは甘えてばかりですぐに人に頼るだろう?本人にとって良くないと思うんだ」
シャーリーが言った。
「どこもお兄様は妹に厳しいと思うわ」
「ええ?アーサー様は優しいわ。いつもチョコレートをくださるわ」
わたしが褒めるとシャーリーは死んだ魚の目をわたしに向けた。
「チョコレートで餌付けされないでちょうだい。お兄様の本当の怖さを知らないからよ!」
「どんなことされるの?」
「小さい頃は怒らせたらわたしを物置小屋に入れるの。泣いて謝まるまで絶対に許してくれないの。悔しくて謝らなかったら朝から夕方まで閉じ込めたのよ」
「それで謝ったの?」
「勿論謝らなかったわ、そしたらお母様が助けてくださったの」
お兄様怖し!
ほんとの兄妹ってやっぱり遠慮がないから言い合えるし、そんなこともできるのよね。
羨ましいわ。
◇ ◇ ◇
「テストの結果はどうだった?」
3年生になってから仲良くなった殿下と反対の隣の席のイザベラ・ヴァロマ公爵令嬢が話しかけてきた。
「今回は自信があるわ。イザベラは?」
「私も今回は手応えがありましたわ」
「打倒アランよ!今回は2位を死守よ!」
反対の席のカイル殿下が笑い出した。
「エイミー、2位死守するのはいいけど、1位になりたいとはいつも言わないよね?1位にはなりたくないの?」
「殿下、貴方の頭にわたしはなりたい」
真剣な顔して言ったら、シャーリーがまたお詫びを言い出した。
「カイル殿下いつもいつもうちのエイミーが申し訳ありません」
わたしは殿下を褒めたつもりだった。
「今日のは謝らなくてもよくないかしら?」
シャーリーが真面目な顔して言った。
「エイミー、よくはありません」
「シャーリー、大丈夫だよ。僕も一度エイミーの頭になってみたいよ。毎日が楽しそうだからね」
殿下が失礼なことを言っているわ。
「殿下、わたしも毎日は楽しくありません。特に例のアイツと話をした日は特に一日嫌な気分になります」
わたしは至って真面目に答えた。
「エイミー、僕と一緒だね。僕も例のあの子と話すと一日嫌な気分になるんだ」
横から話に入ってきたのはまたもやアランだった。
「アラン、大変ね。例のあの子と仲が悪いのかしら?」
「エイミー、例のアイツは、たぶん君のことなんて興味もないと思うよ」
「「貴方たちいい加減にしなさい」」
シャーリーとイザベルが怒り出した。
「ごめんなさい。ついむきになっちゃった。例のアイツが子供っぽいから」
「例のあの子に比べたらマシだと思うよ」
殿下がわたしとアランの口喧嘩を聞いて突然言い出した。
「ねえエイミー、そしてアラン。君たちは喧嘩するけどかなり息が合ってるよね?」
「「合ってないと思います」」
わたしとアランの声が被った。
「ね?合っているだろう」
「「・・・・・」」
「僕からの提案なんだけど、君たち二人が2か月後の学園主催のダンスパーティのパートナーになったら面白いと思わないかい?」
わたしは驚きすぎて声が出なかった。
「……!な、な……に……」
アランは苦笑いをして殿下に頭を下げた。
「カイル殿下、それは御命令ですか?」
「うん?違うよ。僕からの提案だよ」
(((殿下、駄目です。殿下が言っちゃうと提案は命令と一緒なんだから…断れなくなるじゃない)))
わたし達女子は、みんな心の中で思った。
「殿下のご提案で有れば喜んでお受けします」
アランが頭を下げて提案を受けた。
「………な、……うけ………だめ…もごっもごっ」
わたしがアランに文句を言おうとしたら、わたしの口をシャーリーが手で押さえた。
「殿下、エイミーも喜んでお受けするそうです」
(受けてない!)
叫ぶのに言葉にならない。
(手で押さえられて話せないの、殿下!
わたしのこの顔と状況で察してください!)
39
お気に入りに追加
3,094
あなたにおすすめの小説
妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます
冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。
そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。
しかも相手は妹のレナ。
最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。
夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。
最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。
それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。
「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」
確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。
言われるがままに、隣国へ向かった私。
その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。
ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。
※ざまぁパートは第16話〜です

【完結】王女と駆け落ちした元旦那が二年後に帰ってきた〜謝罪すると思いきや、聖女になったお前と僕らの赤ん坊を育てたい?こんなに馬鹿だったかしら
冬月光輝
恋愛
侯爵家の令嬢、エリスの夫であるロバートは伯爵家の長男にして、デルバニア王国の第二王女アイリーンの幼馴染だった。
アイリーンは隣国の王子であるアルフォンスと婚約しているが、婚姻の儀式の当日にロバートと共に行方を眩ませてしまう。
国際規模の婚約破棄事件の裏で失意に沈むエリスだったが、同じ境遇のアルフォンスとお互いに励まし合い、元々魔法の素養があったので環境を変えようと修行をして聖女となり、王国でも重宝される存在となった。
ロバートたちが蒸発して二年後のある日、突然エリスの前に元夫が現れる。
エリスは激怒して謝罪を求めたが、彼は「アイリーンと自分の赤子を三人で育てよう」と斜め上のことを言い出した。

【完結】婚約者は自称サバサバ系の幼馴染に随分とご執心らしい
冬月光輝
恋愛
「ジーナとはそんな関係じゃないから、昔から男友達と同じ感覚で付き合ってるんだ」
婚約者で侯爵家の嫡男であるニッグには幼馴染のジーナがいる。
ジーナとニッグは私の前でも仲睦まじく、肩を組んだり、お互いにボディタッチをしたり、していたので私はそれに苦言を呈していた。
しかし、ニッグは彼女とは仲は良いがあくまでも友人で同性の友人と同じ感覚だと譲らない。
「あはは、私とニッグ? ないない、それはないわよ。私もこんな性格だから女として見られてなくて」
ジーナもジーナでニッグとの関係を否定しており、全ては私の邪推だと笑われてしまった。
しかし、ある日のこと見てしまう。
二人がキスをしているところを。
そのとき、私の中で何かが壊れた……。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
交換された花嫁
秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
「お姉さんなんだから我慢なさい」
お姉さんなんだから…お姉さんなんだから…
我儘で自由奔放な妹の所為で昔からそればかり言われ続けてきた。ずっと我慢してきたが。公爵令嬢のヒロインは16歳になり婚約者が妹と共に出来きたが…まさかの展開が。
「お姉様の婚約者頂戴」
妹がヒロインの婚約者を寝取ってしまい、終いには頂戴と言う始末。両親に話すが…。
「お姉さんなのだから、交換して上げなさい」
流石に婚約者を交換するのは…不味いのでは…。
結局ヒロインは妹の要求通りに婚約者を交換した。
そしてヒロインは仕方無しに嫁いで行くが、夫である第2王子にはどうやら想い人がいるらしく…。

【完結】私はいてもいなくても同じなのですね ~三人姉妹の中でハズレの私~
紺青
恋愛
マルティナはスコールズ伯爵家の三姉妹の中でハズレの存在だ。才媛で美人な姉と愛嬌があり可愛い妹に挟まれた地味で不器用な次女として、家族の世話やフォローに振り回される生活を送っている。そんな自分を諦めて受け入れているマルティナの前に、マルティナの思い込みや常識を覆す存在が現れて―――家族にめぐまれなかったマルティナが、強引だけど優しいブラッドリーと出会って、少しずつ成長し、別離を経て、再生していく物語。
※三章まで上げて落とされる鬱展開続きます。
※因果応報はありますが、痛快爽快なざまぁはありません。
※なろうにも掲載しています。
完結 貴族生活を棄てたら王子が追って来てメンドクサイ。
音爽(ネソウ)
恋愛
王子の婚約者になってから様々な嫌がらせを受けるようになった侯爵令嬢。
王子は助けてくれないし、母親と妹まで嫉妬を向ける始末。
貴族社会が嫌になった彼女は家出を決行した。
だが、有能がゆえに王子妃に選ばれた彼女は追われることに……

誰でもイイけど、お前は無いわw
猫枕
恋愛
ラウラ25歳。真面目に勉強や仕事に取り組んでいたら、いつの間にか嫁き遅れになっていた。
同い年の幼馴染みランディーとは昔から犬猿の仲なのだが、ランディーの母に拝み倒されて見合いをすることに。
見合いの場でランディーは予想通りの失礼な発言を連発した挙げ句、
「結婚相手に夢なんて持ってないけど、いくら誰でも良いったってオマエは無いわww」
と言われてしまう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる