【完結】浮気された私は貴方の子どもを内緒で育てます 時々番外編

★ 中等部1年生

入学式、ドキドキしながらのクラス分け。
シャーリーと同じＡクラスになった。

やったあ！

入学試験の順位ベスト５は、
１位はカイル・クロフォード第２王子殿下だった。
２位は、エイミー・ボガード　わたし！
3位は、アラン・グランデ侯爵令息は誰？
4位は、イザベラ・ヴァロマ公爵令嬢？
5位は、シャーリー・スチュワート公爵令嬢　わたしの親友！

シャーリーと1年間同じクラスで過ごせるなんて幸せだわ！


◇ ◇ ◇

入学して数ヶ月が経った。

Ａクラスは25名の生徒がいる。
女の子の人数は10名。

わたしが読んでいる小説では王子殿下を巡って女の子の壮絶で陰険な恋愛バトルが書かれていたの。

「ねえ！シャーリー、ないの！」

「エイミー、まだ言ってるの？」

「だって、壮絶なバトルがないの！」

わたしが真剣に言ってるのにシャーリーは真面目に聞いてくれない。

「エイミー、君は何を言ってるんだい？」

わたしの隣の席に座っているカイル殿下が笑いながら聞いてきた。

「もちろん、カイル殿下を取り合う壮絶なバトルだよ！貴族令嬢には必要なものよ！」

ハァ～…
と二人が溜息をついた。

カイル殿下もシャーリーもわたしを残念そうに見ている。

「わたし、楽しみにしていたの！
だってシャーリーが言ってたじゃない！」

「『お茶会では自分が着ているドレスが如何に高くて素敵なのか見せ合うんだって。相手の悪いところを見つけて馬鹿にするのがお茶会なの！』
まさに、殿下を取り合い馬鹿にしあう！ワクワクするわ！」

「シャーリー、僕を取り合ってどうするんだい？」

「だって、小説によく書いてあるじゃない。婚約者を奪う悪女とか浮気をする馬鹿な王子様とか」

「うん？馬鹿？浮気？」

「エイミー！やめなさい！」

「カイル殿下はわたしより頭が良いから馬鹿ではないわ、カイル殿下のことではないわ！」

「カイル殿下、申し訳ございません、不敬なことだと分かっておりますが、この子をぜひお見逃し頂きたく存じます」

シャーリーが頭を深々と下げながら、わたしの頭も思いっきり手で押さえてきた。
「エイミー、貴方も謝罪しなさい！」

「カイル殿下、申し訳ありませんでした」

「ここは学園の中だから、大丈夫だよ。エイミーだしね。
ただ、エイミー、小説と現実は違うんだ。僕にはまだ婚約者はいないけど浮気をする馬鹿な王子にはならないから大丈夫だよ」

カイル殿下はクスクス笑いながら答えた。

「僕は君たちと友人になったおかげで学園に来るのが毎日楽しみなんだ」

「あら？わたしもカイル殿下とお話するのがとっても楽しいわ。
近衞騎士の話とか王宮料理人が作ったお菓子の話とか聞いているだけで楽しいわ」

「あっ、そう」
シャーリーは遠い目をしてた。

その時、近くから声がした。

「君って頭はいいかもしれないけど、人として残念だね」

「アラン、貴方もわたしに対しての態度、いつもとっても失礼だと思うわ」

そう、このアラン。

何故かわたしにいつも絡んでくるの。

いつも成績はわたしより下の３位のくせに、わたしのことを残念な子だとかわたしの髪を見てプラチナゴールドの色なんてへんな色だとか言うの。
わたしが剣の練習をアランと殿下と昼休みにしていると「女の子の癖に！」と馬鹿にするの。

この前、仔猫が木の上で降りれなくなってたの。助けてあげたらアランが
「木登りする小猿」ってわたしのこと言ったのよ！
失礼しちゃうわ！

『木登り出来る侯爵令嬢なんて、わたしくらいしかいないわ！』
と、自慢したら鼻で笑ったのよ！

失礼しちゃうわ！
コイツ、ムカつく！