【完結】浮気された私は貴方の子どもを内緒で育てます 時々番外編

★ 養女になる

お祖母様とお母様、お祖父様に呼ばれた。

お母様から王都学園へ行く許可がおりた。

「エイミー、貴方を王都学園へ行かせることにしました。
ただし、お祖母様の実家であるボガード侯爵の養女として学園に通うの」

「え？お母様、どうして？」

お祖母様が困った顔をした。

「貴方にはお父様がいないわ。わかっているわよね？」

「はい」

「貴族社会では誰の子かわからない貴方は醜聞になってしまうの。きちんと両親のいる家庭であることは王都学園で過ごすには大事なことなの」


お母様は悲しそうな顔をしていた。
「エイミー、ごめんなさい。あなたに父親がいない事でつらい思いをさせてしまって。あなたが大人になったらきちんと説明するわ」

「エイミー、王都はスチュワート公爵のような良い貴族も沢山いるのは確かだが、汚い貴族もいる。
ハディッド領のように長閑のどかで平民と貴族が近い環境で育ったエイミーには王都は楽しくもあるが辛いこともあると思う。その時守ってくれるのは、侯爵令嬢という肩書きなんだよ」

「お祖父様のお話、納得は出来ないわ。でも貴族が大変だってシャーリーも言ってたわ。
みんな澄ましていてお高くとまってるんだって。お茶会では自分が着ているドレスが如何に高くて素敵なのか見せ合うんだって。相手の悪いところを見つけて馬鹿にするのがお茶会なの！ってシャーリーが教えてくれたわ」

「シャーリー様ったら…」
お母様は固い表情を緩めた。

「わたし、大人の世界も貴族の世界もよくわからないわ。でも、王都に行ったらとっても美味しい食べ物に出会えることは確かなのよ！とっても楽しみ！」

「エイミー、楽しみなのね」
お母様は呆れながらも寂しそうに微笑んでくれた。

「ボガード侯爵の養女として学園に通うことになるけど、ボガード家からでは学園に通うのに遠すぎる。だからスチュワート公爵家で６年間お世話になることになった。学園に通うまであと半年。慣れるためにボガード家で過ごしてもらう」

「え？全く知らないところに行くの？」

「お祖母様も一緒に行かれるわ。わたしの従兄のクラークが当主をしているの。怒るととっても怖いけど普段は優しいのよ」
お母様が笑いながら言った。

「怖いの？やだなぁ、行きたくない！」

「あら、エイミー、お行儀よくしてたら怖くないわよ。木登りしたり邸の中を泥だらけで走り回ったりしなければ怒られないわ」

「お母様、それは去年までです。シャーリーと出会ってからは、封印いたしましたので大丈夫です」

わたしはにっこり笑った。