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今更悔やんでも遅いんだよ 陛下編
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「セリーヌが死んだ………?」
陛下にそのことを伝えたのは宰相の息のかかった騎士だった。
アイツは報告を嬉々として伝えた。
誇らしそうに。
その瞬間、陛下は騎士に向かって剣を振り下ろした。
「ぐわあっ……」
騎士は笑いながら死んだ。
切られたこともわからないほどの一瞬。
剣の刃先は左斜めだったのがわかる。かなりの深さ切られていた。
床には真っ赤な血が溢れていた。
「それをさっさと始末しろ」
周りの者達に冷たい目で吐き捨てるように言うと、自室へと戻られた。
俺は見てしまった。
陛下の顔が青ざめ震えているのを。
後ろから見る陛下の背中は泣いているように感じた。
あれだけ王妃であるセリーヌ様を蔑ろにしておいて今更何を思うのだろう。
“死んでくれてよかった”と鼻で笑って終わるだろう、そう思っていた。なのに王妃が死んだと聞いた時の陛下の顔はどう見ても辛そうで、かなりのショックを受けているように見えた。
そして……宰相も真っ青な顔をして呆然と立ったまま動こうとすらしなかった。
俺はセリーヌ様の伝言を伝えようとそばに行った。
ーー殺された騎士は伝言を伝え損なったからな。
『宰相閣下にお伝えください。貴方の言いなりにはなりません。わたくしはこの国を守るために死にます』
そう伝えると宰相は嗚咽を漏らし始めた。
「やっとわたしのものになると思ったのに……なぜ死んだんだ………」
俺はクリスティーナ様を王城には連れ帰らなかった。
すぐに姉上に連絡してクリスティーナ様を保護してもらった。
目の前で母親が死んでいく姿を見たクリスティーナ様。
6歳にもなれば母親が目の前で死んでいく姿も理解できる。
しかし、姉上の所に連れて行く間
『かあさま?どこ?』とキョロキョロ探したと思ったら突然泣き出した。
『かあさま……やっ!やだぁ』
どんなにあやしても泣き止まない。
姉上に抱っこされたクリスティーナ様はなんとか泣き止んだ。泣き疲れて眠りについたのだった。
それからすぐに俺はこの場所に他の騎士と合流した。殺された騎士は興奮していて俺のことなど興味もなくクリスティーナ様のことも頭に入っていなかった。
俺が適当に連れ帰ったと思っていたようだ。
まだ雨は降り続いている。
セリーヌ様の死はこの国に雨をもたらした。
だけどこの雨は泣いているようだ。
誰もセリーヌ様がこの国の人々のために死んでいったことを知らない。
姉上の所にクリスティーナ様の様子を伺いに行った。
屋敷の外に出て一人雨に打たれるクリスティーナ様がいた。
「クリスティーナ様?」
俺は慌てて駆け寄った。
「風邪を引きます。どうしてこんな所に立っているんですか?屋敷に帰りましょう」
「ヴィー、あめがね、わたしをだきしめてくれるの」
そう言ってにっこりと笑うと、俺の腕の中に倒れてきた。
冷え切った身体と、この前より軽くなっている身体。
「クリスティーナ様……なぜこんなことを……」
俺は屋敷に抱き抱えて連れて帰ろうとすると、近くにいたメイドが傘を持って走ってきた。
「ヴィル様、申し訳ありません。クリスティーナ様が屋敷から抜け出してしまうのです。お母様をお探しになって外に出ては雨の中ずっと立っているのです。何度も連れ帰るのですがその度に外へ出て、今も探していた所です」
確かに俺は単馬で来たので、一度厩舎に繋いでから屋敷に向かったのでたまたまクリスティーナ様を見つけることが出来た。
「クリスティーナ様はセリーヌ様を探しているのか?」
「そうだと思います」
とにかくこの冷えた身体を温めてあげなければ風邪をひく。
急ぎ屋敷に戻り、メイド達が温かい湯船でクリスティーナ様を温めてベットへと寝かせた。
「熱が出てき始めたようです」医者に診てもらうとやはり風邪をひいてしまったようだ。
「姉上、クリスティーナ様はなぜ外に出るのですか?」
「クリスティーナ様は、この屋敷に来てからあまりセリーヌのことを話そうとしないの。ただ「おかあさま?」って言いながら外に出て雨に打たれるの」
「目の前で母親が死ぬのを見たので精神的におかしくなったのでしょうか?」
医者に尋ねると
「現実逃避しているのだと思います………」
セリーヌ様の死は国内全体に発表された。
『病死』として。人柱になったことはもちろん伝えられていない。
ここにいる医師と姉夫婦にだけは本当のことを伝えてある。
「クリスティーナ様をこれからどうしましょう。セリーヌの伝言は実家の侯爵家へ連れて行って欲しいと頼まれたのよね?」
「うん、俺も急いで王城へ戻らないといけなかったからとりあえず近くて安全な公爵家に連れてきたんだ」
「ええ、わかっているわ。セリーヌのお父様には連絡しているの。ただ今は領地に行かれているので今急いで帰ってきている所なの。セリーヌの葬儀のこともあるし……」
「葬儀って……遺体なんてないのに。国葬をすると言っているがどうやって誤魔化すつもりなんだ」
「……そうね、それもあるけどクリスティーナ様に最後のお別れをさせてあげないといけないのだけど……雨が止まないのよね」
「1週間も降り続いてるから……これでこの国の水不足は解消されただろう」
俺はクリスティーナ様が薬で熱が下がったのを確認して静かに部屋を出た。
今日は休みなので姉上の所に泊めて貰うことになった。
次の日の朝仕事へ行く準備をしていると屋敷の中が騒がしく、なんだろうと部屋を出た。
「やめてください!」
姉上が大きな声を出していた。
「姉上、どうしました?」
騒いでいる所へ行くと、クリスティーナ様が騎士達に連れ去られている所だった。
みんな顔見知りの仲間達。
「突然どうしてクリスティーナ様を連れて行くんですか?今まで無いものとして扱ってきたのに」
「陛下がクリスティーナ様をお連れするようにとの御命令だ。お前がここに連れてきたことはわかっていたからな」
上司である団長自らが迎えにきた。
俺では抵抗することなど出来ない。
義兄上が団長に言った。
「クリスティーナ様はまだ熱が下がっていないんだ、乱暴に扱わないでやってくれ。母親を亡くしてから食欲もなく笑顔も消えた。こんな状態で王城へ連れ帰ればますます弱ってしまう。そこにクリスティーナ様が安心していられる場所はあるのか?」
「………善処いたします」
団長は答えようがなく苦しそうに答えた。
「ヴィル、クリスティーナ様をお守りしろ。お前が抱き抱えて連れて行け。騎士の中では一番懐いているからな」
義兄上は公爵であり国の財務相でもある。団長も義兄上には逆らえない。
陛下に物申せる数少ない人でもある。
俺はクリスティーナ様を受け取り優しく抱っこした。
「ヴィー?どこにいくの?」
熱のせいかまだ顔が赤くとろんとした目をしていた。
「ヴィーがおそばに居ます、安心してください」
「うん、ヴィーがいてくれるのならいいわ」
ーー力のない俺にはそばに居てあげることしか出来ない。だけどセリーヌ様の代わりにそばに居ようと俺は誓った。
そして王城へとクリスティーナ様は戻った。
今日も雨は降り止まなかった。
陛下にそのことを伝えたのは宰相の息のかかった騎士だった。
アイツは報告を嬉々として伝えた。
誇らしそうに。
その瞬間、陛下は騎士に向かって剣を振り下ろした。
「ぐわあっ……」
騎士は笑いながら死んだ。
切られたこともわからないほどの一瞬。
剣の刃先は左斜めだったのがわかる。かなりの深さ切られていた。
床には真っ赤な血が溢れていた。
「それをさっさと始末しろ」
周りの者達に冷たい目で吐き捨てるように言うと、自室へと戻られた。
俺は見てしまった。
陛下の顔が青ざめ震えているのを。
後ろから見る陛下の背中は泣いているように感じた。
あれだけ王妃であるセリーヌ様を蔑ろにしておいて今更何を思うのだろう。
“死んでくれてよかった”と鼻で笑って終わるだろう、そう思っていた。なのに王妃が死んだと聞いた時の陛下の顔はどう見ても辛そうで、かなりのショックを受けているように見えた。
そして……宰相も真っ青な顔をして呆然と立ったまま動こうとすらしなかった。
俺はセリーヌ様の伝言を伝えようとそばに行った。
ーー殺された騎士は伝言を伝え損なったからな。
『宰相閣下にお伝えください。貴方の言いなりにはなりません。わたくしはこの国を守るために死にます』
そう伝えると宰相は嗚咽を漏らし始めた。
「やっとわたしのものになると思ったのに……なぜ死んだんだ………」
俺はクリスティーナ様を王城には連れ帰らなかった。
すぐに姉上に連絡してクリスティーナ様を保護してもらった。
目の前で母親が死んでいく姿を見たクリスティーナ様。
6歳にもなれば母親が目の前で死んでいく姿も理解できる。
しかし、姉上の所に連れて行く間
『かあさま?どこ?』とキョロキョロ探したと思ったら突然泣き出した。
『かあさま……やっ!やだぁ』
どんなにあやしても泣き止まない。
姉上に抱っこされたクリスティーナ様はなんとか泣き止んだ。泣き疲れて眠りについたのだった。
それからすぐに俺はこの場所に他の騎士と合流した。殺された騎士は興奮していて俺のことなど興味もなくクリスティーナ様のことも頭に入っていなかった。
俺が適当に連れ帰ったと思っていたようだ。
まだ雨は降り続いている。
セリーヌ様の死はこの国に雨をもたらした。
だけどこの雨は泣いているようだ。
誰もセリーヌ様がこの国の人々のために死んでいったことを知らない。
姉上の所にクリスティーナ様の様子を伺いに行った。
屋敷の外に出て一人雨に打たれるクリスティーナ様がいた。
「クリスティーナ様?」
俺は慌てて駆け寄った。
「風邪を引きます。どうしてこんな所に立っているんですか?屋敷に帰りましょう」
「ヴィー、あめがね、わたしをだきしめてくれるの」
そう言ってにっこりと笑うと、俺の腕の中に倒れてきた。
冷え切った身体と、この前より軽くなっている身体。
「クリスティーナ様……なぜこんなことを……」
俺は屋敷に抱き抱えて連れて帰ろうとすると、近くにいたメイドが傘を持って走ってきた。
「ヴィル様、申し訳ありません。クリスティーナ様が屋敷から抜け出してしまうのです。お母様をお探しになって外に出ては雨の中ずっと立っているのです。何度も連れ帰るのですがその度に外へ出て、今も探していた所です」
確かに俺は単馬で来たので、一度厩舎に繋いでから屋敷に向かったのでたまたまクリスティーナ様を見つけることが出来た。
「クリスティーナ様はセリーヌ様を探しているのか?」
「そうだと思います」
とにかくこの冷えた身体を温めてあげなければ風邪をひく。
急ぎ屋敷に戻り、メイド達が温かい湯船でクリスティーナ様を温めてベットへと寝かせた。
「熱が出てき始めたようです」医者に診てもらうとやはり風邪をひいてしまったようだ。
「姉上、クリスティーナ様はなぜ外に出るのですか?」
「クリスティーナ様は、この屋敷に来てからあまりセリーヌのことを話そうとしないの。ただ「おかあさま?」って言いながら外に出て雨に打たれるの」
「目の前で母親が死ぬのを見たので精神的におかしくなったのでしょうか?」
医者に尋ねると
「現実逃避しているのだと思います………」
セリーヌ様の死は国内全体に発表された。
『病死』として。人柱になったことはもちろん伝えられていない。
ここにいる医師と姉夫婦にだけは本当のことを伝えてある。
「クリスティーナ様をこれからどうしましょう。セリーヌの伝言は実家の侯爵家へ連れて行って欲しいと頼まれたのよね?」
「うん、俺も急いで王城へ戻らないといけなかったからとりあえず近くて安全な公爵家に連れてきたんだ」
「ええ、わかっているわ。セリーヌのお父様には連絡しているの。ただ今は領地に行かれているので今急いで帰ってきている所なの。セリーヌの葬儀のこともあるし……」
「葬儀って……遺体なんてないのに。国葬をすると言っているがどうやって誤魔化すつもりなんだ」
「……そうね、それもあるけどクリスティーナ様に最後のお別れをさせてあげないといけないのだけど……雨が止まないのよね」
「1週間も降り続いてるから……これでこの国の水不足は解消されただろう」
俺はクリスティーナ様が薬で熱が下がったのを確認して静かに部屋を出た。
今日は休みなので姉上の所に泊めて貰うことになった。
次の日の朝仕事へ行く準備をしていると屋敷の中が騒がしく、なんだろうと部屋を出た。
「やめてください!」
姉上が大きな声を出していた。
「姉上、どうしました?」
騒いでいる所へ行くと、クリスティーナ様が騎士達に連れ去られている所だった。
みんな顔見知りの仲間達。
「突然どうしてクリスティーナ様を連れて行くんですか?今まで無いものとして扱ってきたのに」
「陛下がクリスティーナ様をお連れするようにとの御命令だ。お前がここに連れてきたことはわかっていたからな」
上司である団長自らが迎えにきた。
俺では抵抗することなど出来ない。
義兄上が団長に言った。
「クリスティーナ様はまだ熱が下がっていないんだ、乱暴に扱わないでやってくれ。母親を亡くしてから食欲もなく笑顔も消えた。こんな状態で王城へ連れ帰ればますます弱ってしまう。そこにクリスティーナ様が安心していられる場所はあるのか?」
「………善処いたします」
団長は答えようがなく苦しそうに答えた。
「ヴィル、クリスティーナ様をお守りしろ。お前が抱き抱えて連れて行け。騎士の中では一番懐いているからな」
義兄上は公爵であり国の財務相でもある。団長も義兄上には逆らえない。
陛下に物申せる数少ない人でもある。
俺はクリスティーナ様を受け取り優しく抱っこした。
「ヴィー?どこにいくの?」
熱のせいかまだ顔が赤くとろんとした目をしていた。
「ヴィーがおそばに居ます、安心してください」
「うん、ヴィーがいてくれるのならいいわ」
ーー力のない俺にはそばに居てあげることしか出来ない。だけどセリーヌ様の代わりにそばに居ようと俺は誓った。
そして王城へとクリスティーナ様は戻った。
今日も雨は降り止まなかった。
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