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悩み事
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あの烏藤さんとのことがあってから、祝日を挟んで月曜日。
あのことが未だに頭の中から消えないでいた。
「はぁ、」
「・・・」
「はぁ、」
「だ~もう!雨野うるさい!!」
「?」
「『え?何が?』みたいな顔してんじゃねぇよ!」
「いやだって、ほんとに何が?」
ただ俺は椅子に座っているだけで後ろの席にいる柑愛に怒られた。
「まじか、無自覚だよこの子」
「え?」
「ため息。さっきからずっと、もう10回は聞いた」
「そんなに!?」
そんなことしてるつもりなかったのに、いつのまに。
「おう、どした~」
「おぉ~雷斗!聞いてくれよ~雨野のため息がうるさくてさ~」
「ため息?」
窓からヒョイッと雷斗が顔を覗かせた。
「そう!さっきから『はぁ、』を言いっ放し!」
「そんなつもりはない」
だってため息ついた記憶がないから。
「ふ~ん・・・恋じゃね?」
「は?」
雷斗の口から突然出たキーワード『恋』。
「な、なわけ・・・」
「じゃあ心当たりはないと?」
「うっ」
心当たり・・・あれを心当たりと言っていいのか。
「ほらやっぱりあるんじゃん」
「違う、あれは多分」
言葉を喋るにつれて、最後の文字がもはや消え入りそうに小さくなる。
「雷斗、あまり雨野虐めてやるなよ?」
「柑愛もな」
「まぁ、茶番は置いといて」
「茶番だったのかよ!?」
今まで真剣に悩んでた俺の気持ちを返してくれ。
「わぁ、雨野のそんな男全開な口調初めて聞いたww」
「笑うな柑愛。殴るよ」
「怖ァ」
まじで殴ってやろうと思ったが、さすがに友達に手を出すことはしたくない。
「まぁ、そんな怒んなって。柑愛泣いちゃうから」
「泣かねぇよ!」
「まぁ、ほんとにさ『無視かよ!!』なんかあった?」
「いや、別に」
「烏藤先生のこと?」
バッ!
烏藤さんの名前に反応し、思いっきり雷斗を見る。
「図星、か」
「!いや違っ・・・」
「まぁ確かに雨野、烏藤先生のこと好きだもんな~」
「は!?」
柑愛から発せられた言葉がイマイチ理解できなかった。
「え?だって雨野、烏藤先生見るときすげぇ目キラキラしてるぞ」
「嘘だ」
「嘘じゃねぇって、好きじゃねぇの?」
「どっちかって言うと嫌いだ。顔はいいし、人気だし、かっこいいし、
頭良いし、優しいし、後・・・髪が派手だし」
「お前・・・それ褒めてる。それにお前の方が派手じゃん。青で」
「褒めてねぇし、この髪色は親のせい」
「まじかwwでも雨野は青が似合ってるよ」
貶したかと思えば褒めてくる。それが柑愛だ。
「でも、」
「でも?どした雨野」
「思い出してくれない」
ポツリとそう零した。
「・・・」
柑愛と雷斗は何も言わなくなった。
そうして数秒間沈黙に包まれた。
「思い出すって何?前先生と何かあったの?」
口を開いたのは雷斗だった。
「いや、別に、何も」
前世のことを言ったって馬鹿にされるだけ。
「・・・まぁ。そう深く考え込むなって、ポジティブにいこうぜ」
柑愛も口を開き慰めてくれる。
「ありがとう、2人とも」
「別に」
「どーいたしまして」
「それじゃ俺そろそろ戻るわ。チャイム鳴る」
「お~死ぬなよ~」
「死なねぇよw」
恋・・・か
ズキッ
「っ、」
まさか、ね
end
あのことが未だに頭の中から消えないでいた。
「はぁ、」
「・・・」
「はぁ、」
「だ~もう!雨野うるさい!!」
「?」
「『え?何が?』みたいな顔してんじゃねぇよ!」
「いやだって、ほんとに何が?」
ただ俺は椅子に座っているだけで後ろの席にいる柑愛に怒られた。
「まじか、無自覚だよこの子」
「え?」
「ため息。さっきからずっと、もう10回は聞いた」
「そんなに!?」
そんなことしてるつもりなかったのに、いつのまに。
「おう、どした~」
「おぉ~雷斗!聞いてくれよ~雨野のため息がうるさくてさ~」
「ため息?」
窓からヒョイッと雷斗が顔を覗かせた。
「そう!さっきから『はぁ、』を言いっ放し!」
「そんなつもりはない」
だってため息ついた記憶がないから。
「ふ~ん・・・恋じゃね?」
「は?」
雷斗の口から突然出たキーワード『恋』。
「な、なわけ・・・」
「じゃあ心当たりはないと?」
「うっ」
心当たり・・・あれを心当たりと言っていいのか。
「ほらやっぱりあるんじゃん」
「違う、あれは多分」
言葉を喋るにつれて、最後の文字がもはや消え入りそうに小さくなる。
「雷斗、あまり雨野虐めてやるなよ?」
「柑愛もな」
「まぁ、茶番は置いといて」
「茶番だったのかよ!?」
今まで真剣に悩んでた俺の気持ちを返してくれ。
「わぁ、雨野のそんな男全開な口調初めて聞いたww」
「笑うな柑愛。殴るよ」
「怖ァ」
まじで殴ってやろうと思ったが、さすがに友達に手を出すことはしたくない。
「まぁ、そんな怒んなって。柑愛泣いちゃうから」
「泣かねぇよ!」
「まぁ、ほんとにさ『無視かよ!!』なんかあった?」
「いや、別に」
「烏藤先生のこと?」
バッ!
烏藤さんの名前に反応し、思いっきり雷斗を見る。
「図星、か」
「!いや違っ・・・」
「まぁ確かに雨野、烏藤先生のこと好きだもんな~」
「は!?」
柑愛から発せられた言葉がイマイチ理解できなかった。
「え?だって雨野、烏藤先生見るときすげぇ目キラキラしてるぞ」
「嘘だ」
「嘘じゃねぇって、好きじゃねぇの?」
「どっちかって言うと嫌いだ。顔はいいし、人気だし、かっこいいし、
頭良いし、優しいし、後・・・髪が派手だし」
「お前・・・それ褒めてる。それにお前の方が派手じゃん。青で」
「褒めてねぇし、この髪色は親のせい」
「まじかwwでも雨野は青が似合ってるよ」
貶したかと思えば褒めてくる。それが柑愛だ。
「でも、」
「でも?どした雨野」
「思い出してくれない」
ポツリとそう零した。
「・・・」
柑愛と雷斗は何も言わなくなった。
そうして数秒間沈黙に包まれた。
「思い出すって何?前先生と何かあったの?」
口を開いたのは雷斗だった。
「いや、別に、何も」
前世のことを言ったって馬鹿にされるだけ。
「・・・まぁ。そう深く考え込むなって、ポジティブにいこうぜ」
柑愛も口を開き慰めてくれる。
「ありがとう、2人とも」
「別に」
「どーいたしまして」
「それじゃ俺そろそろ戻るわ。チャイム鳴る」
「お~死ぬなよ~」
「死なねぇよw」
恋・・・か
ズキッ
「っ、」
まさか、ね
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