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事故★
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高校に入学してから早くも2週間。
俺は初日で帰った柑愛達とよく喋るようになった。
雷斗もよくこっちのクラスへ来るし、黒刀もあまり喋らないが、反応的にも楽しんでいるようだった。
そして少し分かったこと。
烏藤さんが体育の先生だってこと。
初めの体育は珍しいバトミントンで、手本として華麗に相手にスマッシュを決める烏藤さんは、とても美しかった。
そしてもう一つ。
ズキッ
烏藤さんを見るとたまに来るこのズキッとした痛み。
切ないような、悲しいような、なんとも言えない気持ち。
まぁ、本当にたまにだからあまり気にしていないが、もしずっと続くようなら誰かに相談してみるのも良いかもしれない。
烏藤さんのクラスはとても明るくてとても活発である。
直ぐに人気者になった烏藤さんは、休み時間になると、よく女性陣に囲まれていた。
モテる男はずるい。
ズキッ
「っ、」
また、これだ。
やっぱり相談した方がいいかもしれない。
キーンコーンカーンコーン
チャイムがなる。今日最後の授業の合図だ。
ガラガラガラ
「お前ら席についてるか~。総合やるぞ~」
扉を開けて入ってきたのは、もはや見慣れた烏藤さん。
相変わらず顔がよい。
「よしっ、ついてるな。今日は皆に部活を決めてもらう」
「部活」そのキーワードを言った途端に、クラスの皆の空気が変わった。
「知ってる奴もいると思うが、ここの高校は必ず1回は部活に入らなきゃいけない。まぁ、逆にいえば1回入れば直ぐに抜けていいんだがな」
ハハハと笑いがおこる。ここの高校は帰宅部用の処置もされてるのか。
中々にいいと思う。まぁ俺は部活に入るが。
そして放課後、俺はバスケ部に入った。初日は参加しなくて良いらしいのでそのまま帰ることにする。
「おぉ、雨野丁度良かった。資料運ぶの手伝ってくれ」
玄関へ向かう途中の廊下で、両手いっぱいに荷物を持った烏藤さんに呼び止められた。
ドスッ・・・
「ふぅ、助かったぜ雨野。ありがとな」
「いえ、別にこれくらい」
体育準備室に大量の荷物を置き、一息つく。
結構重かったけど、この量を1人で持っていたのか。
「よし、仕事も終わったことだし戻るか。行くぞ雨野」
「あ、はい」
スタスタスタ。
まだ4月なこともあり、早くも薄暗くなっていく中、誰もいない廊下を2人の足音だけが響いていた。
「じゃあ俺こっちだから、お前も気をつけて帰れよ」
「はい、さようなら」
ここの高校は何故か職員室が2階にある。
なので玄関へ行くには階段を降りなければならない。
side烏藤
「ん・・・?」
ピチャ
「濡れてる?」
雨野と別れようとした時、ふと床が濡れていることに気づいた。
「おい雨野、床濡れてて滑るかもしれねぇから気をつけろ」
「え?」
ズルッ
「うわっ!」
注意した時には既に遅く、振り返った雨野は足を滑らせてしまった。
「っ!雨野!」
side雨野
烏藤さんに注意された時にはもう既に、俺の体は宙に浮いていた。
「っ!雨野!」
浮いている中、焦っている烏藤さんが見えた。
ドサッ!
「痛・・・くない?」
落ちた先は床のような固いものじゃなく、少し暖かいものだった。
「いっつつ・・・」
声を聞いて、直ぐに理解した。
「烏藤さんっ!?」
烏藤さんが、俺を庇って下敷きになっていたからだ。
「だ、だ、大丈夫ですか!?何処か怪我は・・・」
「あ?あぁ大丈夫だ。体だけは丈夫だからな。てか、俺よりお前だ雨野。
何処か怪我してないか?痛むところは?」
「大丈夫です。烏藤さんが庇ってくれたので」
自分の方がよっぽど痛いはずなのに、烏藤さんは1番に俺の心配をしてくれた。
というかさっきから烏藤さんとの距離が近くて息が耳にっ・・・!
「そりゃ良かった。とりあえず避けてくれねぇ?俺動けない」
「ひっ!」
「え・・・雨、野」
「!」
バッ!
「あ、えと・・・」
今、明らかに自分ではない声が出た。烏藤さんも驚いた顔してる!
「、大丈夫か?」
「あ、はい!!大丈夫です!庇ってくれてありがとうございました!」
ダダッ!
「お、おう」
それから俺は烏藤さんの上から離れ、光のようなスピードでその場を後にした。
『ひっ!』
絶対に俺の声じゃない・・・!
side烏藤
雨野は顔を林檎のように赤く染め、まるで光のように走り去っていった。
あいつの口から発せられたあの声、完全に普通では出さない声だった。
もしかしなくても、あれは喘ぎ・・・
いや、考えるのはやめよう。
あいつは男で高校生。
・・・それにしてもあの雨野の表情。
「・・・」
チラッ
バッ!
「まじか、俺・・・」
「流石に高校生で勃つって・・・最近ご無沙汰なのが出てきたか~・・・」
雨野の表情を思い出した途端、俺の俺が急に目を覚ました。
「まじで男でって・・・そんな趣味ねぇよ」
「・・・」
「トイレ行こ・・・」
ほんと、どうなってんの。
end
俺は初日で帰った柑愛達とよく喋るようになった。
雷斗もよくこっちのクラスへ来るし、黒刀もあまり喋らないが、反応的にも楽しんでいるようだった。
そして少し分かったこと。
烏藤さんが体育の先生だってこと。
初めの体育は珍しいバトミントンで、手本として華麗に相手にスマッシュを決める烏藤さんは、とても美しかった。
そしてもう一つ。
ズキッ
烏藤さんを見るとたまに来るこのズキッとした痛み。
切ないような、悲しいような、なんとも言えない気持ち。
まぁ、本当にたまにだからあまり気にしていないが、もしずっと続くようなら誰かに相談してみるのも良いかもしれない。
烏藤さんのクラスはとても明るくてとても活発である。
直ぐに人気者になった烏藤さんは、休み時間になると、よく女性陣に囲まれていた。
モテる男はずるい。
ズキッ
「っ、」
また、これだ。
やっぱり相談した方がいいかもしれない。
キーンコーンカーンコーン
チャイムがなる。今日最後の授業の合図だ。
ガラガラガラ
「お前ら席についてるか~。総合やるぞ~」
扉を開けて入ってきたのは、もはや見慣れた烏藤さん。
相変わらず顔がよい。
「よしっ、ついてるな。今日は皆に部活を決めてもらう」
「部活」そのキーワードを言った途端に、クラスの皆の空気が変わった。
「知ってる奴もいると思うが、ここの高校は必ず1回は部活に入らなきゃいけない。まぁ、逆にいえば1回入れば直ぐに抜けていいんだがな」
ハハハと笑いがおこる。ここの高校は帰宅部用の処置もされてるのか。
中々にいいと思う。まぁ俺は部活に入るが。
そして放課後、俺はバスケ部に入った。初日は参加しなくて良いらしいのでそのまま帰ることにする。
「おぉ、雨野丁度良かった。資料運ぶの手伝ってくれ」
玄関へ向かう途中の廊下で、両手いっぱいに荷物を持った烏藤さんに呼び止められた。
ドスッ・・・
「ふぅ、助かったぜ雨野。ありがとな」
「いえ、別にこれくらい」
体育準備室に大量の荷物を置き、一息つく。
結構重かったけど、この量を1人で持っていたのか。
「よし、仕事も終わったことだし戻るか。行くぞ雨野」
「あ、はい」
スタスタスタ。
まだ4月なこともあり、早くも薄暗くなっていく中、誰もいない廊下を2人の足音だけが響いていた。
「じゃあ俺こっちだから、お前も気をつけて帰れよ」
「はい、さようなら」
ここの高校は何故か職員室が2階にある。
なので玄関へ行くには階段を降りなければならない。
side烏藤
「ん・・・?」
ピチャ
「濡れてる?」
雨野と別れようとした時、ふと床が濡れていることに気づいた。
「おい雨野、床濡れてて滑るかもしれねぇから気をつけろ」
「え?」
ズルッ
「うわっ!」
注意した時には既に遅く、振り返った雨野は足を滑らせてしまった。
「っ!雨野!」
side雨野
烏藤さんに注意された時にはもう既に、俺の体は宙に浮いていた。
「っ!雨野!」
浮いている中、焦っている烏藤さんが見えた。
ドサッ!
「痛・・・くない?」
落ちた先は床のような固いものじゃなく、少し暖かいものだった。
「いっつつ・・・」
声を聞いて、直ぐに理解した。
「烏藤さんっ!?」
烏藤さんが、俺を庇って下敷きになっていたからだ。
「だ、だ、大丈夫ですか!?何処か怪我は・・・」
「あ?あぁ大丈夫だ。体だけは丈夫だからな。てか、俺よりお前だ雨野。
何処か怪我してないか?痛むところは?」
「大丈夫です。烏藤さんが庇ってくれたので」
自分の方がよっぽど痛いはずなのに、烏藤さんは1番に俺の心配をしてくれた。
というかさっきから烏藤さんとの距離が近くて息が耳にっ・・・!
「そりゃ良かった。とりあえず避けてくれねぇ?俺動けない」
「ひっ!」
「え・・・雨、野」
「!」
バッ!
「あ、えと・・・」
今、明らかに自分ではない声が出た。烏藤さんも驚いた顔してる!
「、大丈夫か?」
「あ、はい!!大丈夫です!庇ってくれてありがとうございました!」
ダダッ!
「お、おう」
それから俺は烏藤さんの上から離れ、光のようなスピードでその場を後にした。
『ひっ!』
絶対に俺の声じゃない・・・!
side烏藤
雨野は顔を林檎のように赤く染め、まるで光のように走り去っていった。
あいつの口から発せられたあの声、完全に普通では出さない声だった。
もしかしなくても、あれは喘ぎ・・・
いや、考えるのはやめよう。
あいつは男で高校生。
・・・それにしてもあの雨野の表情。
「・・・」
チラッ
バッ!
「まじか、俺・・・」
「流石に高校生で勃つって・・・最近ご無沙汰なのが出てきたか~・・・」
雨野の表情を思い出した途端、俺の俺が急に目を覚ました。
「まじで男でって・・・そんな趣味ねぇよ」
「・・・」
「トイレ行こ・・・」
ほんと、どうなってんの。
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