俺と貴方の目に映るもの

死にかけた奴ひなた

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運命のいたずら

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入学式、俺は高校生になった。

また別の学校生活
上手くやっていけるかどうか不安になった。

でもそんな不安とは裏腹に、自分のこの派手な髪色に文句をつけてくる人もいなく、かなりいい感じに入学式に参加した。

それでも、一難去ってまた一難。
さっきの不安を軽く塗り替えるようなことが起きてしまった。

「う・・・ふじ、さん・・・?」



あの時の師が目の前に現れた。



1のC組になった俺はどんな人がいるのだろうと、少し早足で教室に向かった。

教室に入ろうとしたところで、俺の足はピタリと床に掴まって止まった。

仲間がいた。前世の仲間が。
一緒に戦い、一緒に傷つき、一緒に笑った
あの、大事な仲間が。

これは偶然にしては出来すぎている。

これが運命と言うのだろうか。

「そこ、避けてもらってもいい?」

後ろから投げかけられた言葉に、ハッと意識を取り戻す。

後ろを見ると、そこにも仲間が立っていた。

「あ、ごめん」

直ぐに横に避けると、その人は何事も無かったかのようにさっさと教室に入っていった。

「記憶はない、か」

それはそうだ。前世の記憶を持っているなど
漫画やアニメのフィクションの中だけで十分だ。

逆に、俺のように持っているやつは異例である。

席は1番廊下側の2番目のところ。

やはり落ち着かない。前世で沢山の思い出を共にしてきた仲間と、また現世で会うとは思ってもみなかった。

「ねぇ、先生どんな人かな」

「俺は美人な先生がいいかな~」

「え~そこはやっぱりイケメンでしょ」

まだ登校初日にも関わらず、教室の中にはところどころ会話の輪が出来ていた。

高校生のコミュ力は恐ろしい。

俺がこんな事を考えてる間にも、どんどんと会話の輪から外れていく。

・・・やっていけるかな。

ガラガラガラ

「お前ら~静かにしろ~」

ドアが勢いよく開き、低めの、それでいて透き通るような声が教室に響いた。

声の主が入ってくる。

サァッ

一瞬。

強い風が吹いたかと思った。

教室に入ってくる声の主は、長身のスラッとした体型。肩にかかる位の長めの薄く紫がかった髪。そして、モデルのように整った顔。

フードで顔が少し隠れているにも関わらず、
その人からは絶対的なオーラが放たれていた。

ほんとに一瞬のその行動は、俺にとってはまるで、かなりの時間が経ったかのような、そんな錯覚に陥った。

「う・・・ふじ、さん?」

俺の声は物凄く震えていたと思う。その人物に


苦しい程に見覚えがあったから。



「お~静かになるのがはえーな」


「ねぇ、凄いイケメンやばくない」

「顔面偏差値カンストしてね?」

それでもところどころから、コソコソと会話が聞こえた。

スッ、カッカッカッ

そのイケメンがチョークを持ち、今まで綺麗だった黒板にまるで手本のような字を書いていく。

「俺の名前は烏藤華元うふじかげんだ。この1のCの担任になった。まぁ、よろしくな」

ゴクッ

俺は、体がどんどんと熱くなっていくのを感じながら、喉を鳴らした。

何故ここにられるのですか師匠。




運命のいたずらにも程がある。


end


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