3 / 23
乾季のトマト。
しおりを挟む
「アジィーヨー。」
「ああ、ケンか、スケルトンかと思ったよ」
「ひどくねぇか?」
もうそろそろこの辺にも乾季がやってくる。
空気が乾いて、暑い時期のことを乾季と呼んでいる。
水分が欲しい時期になるだろう。
長老の言っていた言葉を思い出した。
「みずみずしくて水分補給になるような野菜がいいなぁ。手ごろに食べれるものがいいな。」
最初思った野菜はスイカだったが、スイカは切らないといけないし、手頃に食べれるものとはなんだろうかなぁと考えた。
思い浮かんだのは、トマトとミニトマトだ。
両手を合わせて目をつむり「種子生成」と言うと手の間に種子が何個かできていることがわかる。
畑に畝を作り、等感覚でこちらも植えていく、多分だけど、いっぱい作っても、エルフたちは気に入ると思うから3列作ってみた。
指を組んで目をつむり「祝福」と発すると畑が輝いた。
「今回は何を作るんだ?」
「今回も秘密だよ。とびきりおいしいし、ジューシーだから覚悟しといてね」
「楽しみだなぁ」
次の日畑に行くと、たわわに赤い実が実っていた。
私は持ってきた水で洗って採れたてを口に入れる。
「げ?!赤いじゃないか。毒なんじゃないのか?辛いんじゃないのか?大丈夫か?生きてるか?」
「美味しい~!暑い時はやっぱこれだよね。かじったところに塩をちょっとかけると超おいしいんだよ。」
「ほ、ほ、本当か?辛くないか?」
「食べてみればわかるのにいいよ。別に食べなくても」
「た!食べるさ、食べるとも。いただくよ」
彼はもちろん初めて食べるトマトをかじりつくと果汁が飛び散る。
私の持ってきた塩を奪うように取ってかけると、1個を1分もしないうちに食べて見せた。
早食いの素質あるんじゃないかな?
「なんじゃこりゃ。うまいね。びっくりだ。早く長老様に見せてあげよう。驚くよ。これ。」
「気に入ってくれて嬉しいよ。見せに行こうか」
収穫したてのトマトをざるに並べて持っていく。
面白半分でミニトマトを赤いトマトと黄色いトマトを作ってみた。
本当は加熱用も作ろうかなと思ったけど、この暑い時期に加熱したトマトは食べたくないかなぁなんて思ってとりあえず後回しにした。
「もうできたのか」
「できたよ。自信作さ!トマトだよ。」
「これはどうやって食べるのだ?」
「これは生のままで食べるんだ。」
「赤いけど食えるのか?」
「おいしいよ。塩をかけて食べたらもっとおいしい」
長老は1番大きいトマトを奥さんに切ってもらって、断面を少し舐めてからほおばった。
フォークをカランと落としてはっとしたみたいで今度は塩をかけて食べて見た。
美味しそうに笑っている。
長老が認めた野菜は、エルフ達も食べる。
逆に認められない野菜はエルフたちは食べない。
まぁ早く言うと、長老は毒見役だよね。
「いや今回はほんとにびっくりした。とってもおいしいね。」
「でしょう?自信作だって言ったじゃん。」
「なんか最近砕けてきたな。お前。」
「だめ?」
「構わないよ。それとケン。きちんとジュキのこと守っているんだろうな?」
「大丈夫だ。お父さん」
「父さん?」
ここで初めて知った。
ケンは長老の息子だったようだ。
トマトが美味しいことより衝撃的だよ。
「それならばよかった。ジュキ。今後だが、森の外の村は食料難みたいだ。そこでじゃがいも何かを輸出しようかなと思っている。量産することできるか?」
「できるよ。けど私たちだけじゃ厳しいかも。もう少し大人の手を借りたい。そうすれば二輪車いっぱいのジャガイモが作れると思うよ。」
「じゃがいもは何に入れて運ぶの方がいいと思う?」
「どうだろうね。木箱とかかなぁ?積めるし」
「わかった。木箱も作らせよう。いつぐらいにできる。」
「明日にでもできるけど、全部出しちゃうの?」
「そのつもりだが…?」
「雪が降る時なったときに食べるものがないと困るから、少しとっといたがいいと思う。じゃがいもは保存が効くから、暗い場所に置いておけばしばらく持つんだ。本当は2、3ヶ月熟成させたものを食べるんだけど、普通に食べちゃっているから保存の分も作ったほうがいいと思う。」
「そうかわかった。そこまで考えていてくれるとはジュキはこの村のことを思ってくれているのだな。ケンお前に食料庫の建築を命ずる。」
「わかりました!」
ということで、のんびり農業はお預けになってしまった。
明日からちょっと建築とかしないといけないのかもしれないから、ちょっと嫌だ。
運動嫌い。
動きたくない。
「ああ、ケンか、スケルトンかと思ったよ」
「ひどくねぇか?」
もうそろそろこの辺にも乾季がやってくる。
空気が乾いて、暑い時期のことを乾季と呼んでいる。
水分が欲しい時期になるだろう。
長老の言っていた言葉を思い出した。
「みずみずしくて水分補給になるような野菜がいいなぁ。手ごろに食べれるものがいいな。」
最初思った野菜はスイカだったが、スイカは切らないといけないし、手頃に食べれるものとはなんだろうかなぁと考えた。
思い浮かんだのは、トマトとミニトマトだ。
両手を合わせて目をつむり「種子生成」と言うと手の間に種子が何個かできていることがわかる。
畑に畝を作り、等感覚でこちらも植えていく、多分だけど、いっぱい作っても、エルフたちは気に入ると思うから3列作ってみた。
指を組んで目をつむり「祝福」と発すると畑が輝いた。
「今回は何を作るんだ?」
「今回も秘密だよ。とびきりおいしいし、ジューシーだから覚悟しといてね」
「楽しみだなぁ」
次の日畑に行くと、たわわに赤い実が実っていた。
私は持ってきた水で洗って採れたてを口に入れる。
「げ?!赤いじゃないか。毒なんじゃないのか?辛いんじゃないのか?大丈夫か?生きてるか?」
「美味しい~!暑い時はやっぱこれだよね。かじったところに塩をちょっとかけると超おいしいんだよ。」
「ほ、ほ、本当か?辛くないか?」
「食べてみればわかるのにいいよ。別に食べなくても」
「た!食べるさ、食べるとも。いただくよ」
彼はもちろん初めて食べるトマトをかじりつくと果汁が飛び散る。
私の持ってきた塩を奪うように取ってかけると、1個を1分もしないうちに食べて見せた。
早食いの素質あるんじゃないかな?
「なんじゃこりゃ。うまいね。びっくりだ。早く長老様に見せてあげよう。驚くよ。これ。」
「気に入ってくれて嬉しいよ。見せに行こうか」
収穫したてのトマトをざるに並べて持っていく。
面白半分でミニトマトを赤いトマトと黄色いトマトを作ってみた。
本当は加熱用も作ろうかなと思ったけど、この暑い時期に加熱したトマトは食べたくないかなぁなんて思ってとりあえず後回しにした。
「もうできたのか」
「できたよ。自信作さ!トマトだよ。」
「これはどうやって食べるのだ?」
「これは生のままで食べるんだ。」
「赤いけど食えるのか?」
「おいしいよ。塩をかけて食べたらもっとおいしい」
長老は1番大きいトマトを奥さんに切ってもらって、断面を少し舐めてからほおばった。
フォークをカランと落としてはっとしたみたいで今度は塩をかけて食べて見た。
美味しそうに笑っている。
長老が認めた野菜は、エルフ達も食べる。
逆に認められない野菜はエルフたちは食べない。
まぁ早く言うと、長老は毒見役だよね。
「いや今回はほんとにびっくりした。とってもおいしいね。」
「でしょう?自信作だって言ったじゃん。」
「なんか最近砕けてきたな。お前。」
「だめ?」
「構わないよ。それとケン。きちんとジュキのこと守っているんだろうな?」
「大丈夫だ。お父さん」
「父さん?」
ここで初めて知った。
ケンは長老の息子だったようだ。
トマトが美味しいことより衝撃的だよ。
「それならばよかった。ジュキ。今後だが、森の外の村は食料難みたいだ。そこでじゃがいも何かを輸出しようかなと思っている。量産することできるか?」
「できるよ。けど私たちだけじゃ厳しいかも。もう少し大人の手を借りたい。そうすれば二輪車いっぱいのジャガイモが作れると思うよ。」
「じゃがいもは何に入れて運ぶの方がいいと思う?」
「どうだろうね。木箱とかかなぁ?積めるし」
「わかった。木箱も作らせよう。いつぐらいにできる。」
「明日にでもできるけど、全部出しちゃうの?」
「そのつもりだが…?」
「雪が降る時なったときに食べるものがないと困るから、少しとっといたがいいと思う。じゃがいもは保存が効くから、暗い場所に置いておけばしばらく持つんだ。本当は2、3ヶ月熟成させたものを食べるんだけど、普通に食べちゃっているから保存の分も作ったほうがいいと思う。」
「そうかわかった。そこまで考えていてくれるとはジュキはこの村のことを思ってくれているのだな。ケンお前に食料庫の建築を命ずる。」
「わかりました!」
ということで、のんびり農業はお預けになってしまった。
明日からちょっと建築とかしないといけないのかもしれないから、ちょっと嫌だ。
運動嫌い。
動きたくない。
15
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説
異世界に来ちゃったよ!?
いがむり
ファンタジー
235番……それが彼女の名前。記憶喪失の17歳で沢山の子どもたちと共にファクトリーと呼ばれるところで楽しく暮らしていた。
しかし、現在森の中。
「とにきゃく、こころこぉ?」
から始まる異世界ストーリー 。
主人公は可愛いです!
もふもふだってあります!!
語彙力は………………無いかもしれない…。
とにかく、異世界ファンタジー開幕です!
※不定期投稿です…本当に。
※誤字・脱字があればお知らせ下さい
(※印は鬱表現ありです)
旦那様、前世の記憶を取り戻したので離縁させて頂きます
結城芙由奈@12/27電子書籍配信中
恋愛
【前世の記憶が戻ったので、貴方はもう用済みです】
ある日突然私は前世の記憶を取り戻し、今自分が置かれている結婚生活がとても理不尽な事に気が付いた。こんな夫ならもういらない。前世の知識を活用すれば、この世界でもきっと女1人で生きていけるはず。そして私はクズ夫に離婚届を突きつけた―。
平凡冒険者のスローライフ
上田なごむ
ファンタジー
26歳独身動物好きの主人公大和希は、神様によって魔物・魔法・獣人等ファンタジーな世界観の異世界に転移させられる。
平凡な能力値、野望など抱いていない彼は、冒険者としてスローライフを目標に日々を過ごしていく。
果たして、彼を待ち受ける出会いや試練は如何なるものか……
ファンタジー世界に向き合う、平凡な冒険者の物語。
テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】
永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。
転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。
こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり
授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。
◇ ◇ ◇
本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。
序盤は1話あたりの文字数が少なめですが
全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
髪の色は愛の証 〜白髪少年愛される〜
あめ
ファンタジー
髪の色がとてもカラフルな世界。
そんな世界に唯一現れた白髪の少年。
その少年とは神様に転生させられた日本人だった。
その少年が“髪の色=愛の証”とされる世界で愛を知らぬ者として、可愛がられ愛される話。
⚠第1章の主人公は、2歳なのでめっちゃ拙い発音です。滑舌死んでます。
⚠愛されるだけではなく、ちょっと可哀想なお話もあります。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる