番犬と十七夜

司書Y

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差出人S

赦し 3

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「や……まって。ぼく……今、イった……ば……あああっ」

 葉の言葉の途中で、信じられないくらいの質量がソコに割り込んできた。ひゅ。と、葉の喉を空気が通り抜ける。

「あっ。……あああっ! ひっう……だ……やああ」

 悲鳴のような嬌声。暴力のような快楽が、絶頂を迎えた直後の敏感になった身体の中で荒れ狂う。
 目の前にちかちか。と、星が散って、口からは唾液が糸を引いて零れた。

「あんっ……や。あ……ア……ア……あっ。ああっ」

 割り込んできたソレは、息を吐く暇もなく、最奥まで達した。それから、すぐに激しい抽挿が始まる。どうすることもできずに、ただ揺さぶられるのに任せる葉は、奥を貫かれるたびに口から高い声が零す。

「ダメ……っ。あ……あ……あっ。や……っ。貴志狼っ……やだあっ。おかし……く……んんっ」

 遠慮も躊躇もなく最奥を穿ちながら、貴志狼は葉の唇を塞いだ。思うさま、口の中を弄られる。くちゅくちゅ。と、脳まで蕩けるような水音。すぐに酸素が足りなくなって、葉の爪が貴志狼の肩に食い込む。

「んんっ。……んむ」

 それでも、貴志狼の動きは止まらなかった。ばちん。ばちん。と、肉のぶつかり合う音。こんなふうに激しく抱かれたことはない。貴志狼はいつだって、葉の様子を気にかけて優しく抱いてくれた。

「……はっああ。……あ。は……はあ」

 唇を解放した貴志狼は、そのまま一度、葉のソコから自分のものを引き抜いた。
 一瞬、解放されて、葉の唇から、安堵の溜息が漏れる。しかし、それは一瞬だけだった。
 次の瞬間には、身体を反転させられて、ベッドにうつ伏せにされる。そして、葉が何かを言う前に、ソコをぐい。と、広げられて、再び貴志狼が侵入してきた。

「ああっ!」

 いつの間にか気付かぬうちに再び立ち上がっていた葉のものから、勢いよく放たれる。わけが分からないうちに射精していた。

「あ。……ん。や。ま……イく……の……とまんな……あっ」

 葉の身体がびくり。びくり。と、震える。身体が痺れたようで全く力が入らない。

「まだだぞ?」

 背後から耳元にそんな声が聞こえた。
 同時に、また、ぐり。と、深い場所に貴志狼のそれが押し付けられた。

「……っ!」

 声にならない悲鳴が葉の喉を通って、空気の中に拡散されていく。もう、何が起こっているのか理解ができなくなっていた。
 ただただ、気持ちがいい。強請るように内壁がうねる。そして、遠慮も気遣いもなく、強請られるまま、一番奥深い場所を暴かれて、葉の意識は白く溶けていった。

「……ぁ……あ……き……しろ……き……もち……い……っう。はっあっ」

 飛びかけた意識は、しかし、首筋に走った痛みで、引き戻された。貴志狼の歯が葉の白い項に噛み痕をつける。

「まだ。飛ぶのは早えだろ?」

 掠れた声。痣のように残る噛み痕に舌を這わせ、そのまま耳元に口を寄せて、貴志狼が囁く。その声があまりに色気を帯びていて、まるで脳内までも愛撫されているようで、葉はその囁きにふる。と、身を竦めた。

「……ぁ……あ……貴志狼……。だ……ぼ……おかし……」

 何をされても、どこに触れられても、触れてさえいなくても。全部が快楽に変わってしまう。それが怖くて、葉は首を振る。

「煽ったのは。お前だろうが……」

 ばちゅん。と、一際高い音を立てて、腰が打ち付けられた。
 脊椎を通って、快楽が。脳天まで突き抜ける。

「ひ……っあっ!」

 もう、言葉にはならない。否定も肯定もできない。
 気持ちいいのか、苦しいのか、怖いのか、幸せなのか、何も分からなくなっていく。

「……いっ……っあ……アア」

 一瞬。貴志狼の動きが止まった。そのまま、解放されると思った瞬間、また、信じられないくらいに奥に、貴志狼が侵入してくる。

「やっ……あああんっ……あ。……はあっ。……も……やっ。こ……われ……」

 激しい。息ができない。多分、泣いているのだろう。顔に冷たい感触。
 それでも、貴志狼はやめてくれない。身体を密着させたまま、何度も何度も貪るように出し入れを繰り返す。その動きにされるまま、シーツに擦れる葉自身も、また、硬さを取り戻していた。鈍い痛みにも似た快感。

「葉」

 耳元に貴志狼の声が聞こえた。
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