番犬と十七夜

司書Y

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差出人S

赦し 1

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 気遣うように見つめる貴志狼の瞳。こんなことをしているというのに、スウェットの上から分かるくらいに貴志狼のだって硬くなっているのに、それでも、貴志狼は葉を優先する。

「……じゃない」

 貴志狼の頬を両手で包み込んで、葉は言う。
 葉を何よりも優先してくれるのは嬉しい。

「……やじゃないから。貴志狼の……好きにして」

 けれど、もどかしい。
 もっと、切羽詰まってほしい。
 もっと、我を忘れてほしい。
 もっと、強引に奪ってほしい。
 理性なんて忘れてほしいし、あとのことなんて考えないでほしい。
 自分勝手に、傍若無人に、無我夢中になってほしい。
 貴志狼の愛さえ感じられるなら、葉は何をされても構わない。

「……ぼく……だけ。夢中なんて……ズルい」

 消え入るようにそう言うと、貴志狼は驚いた顔をしてから、何故か不機嫌な顔になる。

「お前だけ?」

 少しだけ、怖い。
 今度はその表情が自分に向けられているのだと分かっているからだ。

「んなわけねえだろうが」

 呆れたように貴志狼は大きくため息をついた。
 
「お前、初めての時も似たようなこと言ってたな」

 それから、ぐい。と、強く腰を引き寄せられる。

「わかった。好きなようにさせてもらう。泣いてもやめてやらんからな」

「……え?」

 そんな宣言を残して、貴志狼は葉のソコへの愛撫を再開した。さっきよりもずっと激しく。
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