14 / 28
差出人S
所有格 2
しおりを挟む
「おい。葉」
その蹴りで、男に纏わりついていた靄が消し飛ぶ。驚いて声も出せずにされるままになっていると、いきなり声をかけられる。
「はい」
思わずそう答えていた。
「こいつに教えてやれ。お前は、誰のもんだ?」
葉を抱え上げたまま、下から、貴志狼の瞳が見上げてくる。強くて真摯な瞳。それだけで、葉の不安なんて全部吹き飛ばしてくれるような力がある。
「貴志狼。僕は全部。貴志狼のだよ」
だから、その目を見返して、葉は言った。
葉の言葉に、ふ。と、貴志狼が微笑む。満足そうだ。
それから、『ドヤぁ』と、言う顔で男を睨みつけた。ちらり。と、一瞬だけ、晴興の方を見ることも、もちろん、忘れてはいない。晴興の方は、もう勝手にしろ。と言う顔だ。
「……うそだ」
ふらふら。と、身体を起こした男が葉の方に手を伸ばす。
「君が、どう思っていてもしらないけどね」
その手と貴志狼の間に割り込んだのは晴興だった。
「君のしていることは犯罪行為だ。葉さんは迷惑している。これ以上続けるなら、法的手段に訴えるよ?」
晴興は落ち着きを払って、けれど、冷たく言い放つ。
「少し調べさせてもらったけれど、お父さんは会社を経営されているらしいね。ご迷惑がかかるようなことなったら、困るのは君だけれど、いいのかな?」
葉に向けるのとは質の違う冷徹な笑顔。こんな顔をする人だったのか。と、ぞっとする。
「まあ、とにかく。今の会話は録音してあるし、少しお話しようか」
そう言って、晴興が男の背中に手を置く。
そうして、男は晴興と、貴志狼が連れてきた強面のお兄さんに連行されていった。もちろん、彼が送りつけてきた汚物たちも一緒に持って帰ってもらったのは言うまでもない。
その蹴りで、男に纏わりついていた靄が消し飛ぶ。驚いて声も出せずにされるままになっていると、いきなり声をかけられる。
「はい」
思わずそう答えていた。
「こいつに教えてやれ。お前は、誰のもんだ?」
葉を抱え上げたまま、下から、貴志狼の瞳が見上げてくる。強くて真摯な瞳。それだけで、葉の不安なんて全部吹き飛ばしてくれるような力がある。
「貴志狼。僕は全部。貴志狼のだよ」
だから、その目を見返して、葉は言った。
葉の言葉に、ふ。と、貴志狼が微笑む。満足そうだ。
それから、『ドヤぁ』と、言う顔で男を睨みつけた。ちらり。と、一瞬だけ、晴興の方を見ることも、もちろん、忘れてはいない。晴興の方は、もう勝手にしろ。と言う顔だ。
「……うそだ」
ふらふら。と、身体を起こした男が葉の方に手を伸ばす。
「君が、どう思っていてもしらないけどね」
その手と貴志狼の間に割り込んだのは晴興だった。
「君のしていることは犯罪行為だ。葉さんは迷惑している。これ以上続けるなら、法的手段に訴えるよ?」
晴興は落ち着きを払って、けれど、冷たく言い放つ。
「少し調べさせてもらったけれど、お父さんは会社を経営されているらしいね。ご迷惑がかかるようなことなったら、困るのは君だけれど、いいのかな?」
葉に向けるのとは質の違う冷徹な笑顔。こんな顔をする人だったのか。と、ぞっとする。
「まあ、とにかく。今の会話は録音してあるし、少しお話しようか」
そう言って、晴興が男の背中に手を置く。
そうして、男は晴興と、貴志狼が連れてきた強面のお兄さんに連行されていった。もちろん、彼が送りつけてきた汚物たちも一緒に持って帰ってもらったのは言うまでもない。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

【完結】I adore you
ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。
そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。
※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる