【これはファンタジーで正解ですか？】燈編

告。新入生諸君

後日談 前編 1

　部長の演説の後、紅二と丸山もほかの二人の新入部員がしたように入部適正テストをすることとなった。このテストは別に上手くいかなければ入部できない。という類のテストではない。あくまで、被験者の適性を試すためであって、電算部における役割分担を決めるためのものだ。
　たとえ、敵をねじ伏せるだけの力を持っていなかったとしても、仲間が敵をねじ伏せるための手助けをすればいいだけの話なのである。スレイヤーという仕事は基本的にほとんどがチームプレイだ。そして、特戦の生徒である以上、目指すのはあくまでスレイヤーになることで、電算部の活動の目的も最終的にはスレイヤーとしての実力を養うためのものなのだった。

　紅二と丸山の入部適正テストを終わらせたあと、2年生はそのまま電算室でスレイヤー試験対策プログラムを、1年生と3年生は実習室に場所を移して簡単な電算部の説明と演習をすることとなった。もちろん、燈は電算室。紅二は実習室に移動ということになる。
　これも部長の『考慮』というやつだ。今、2年生には1年生の相手をしている暇があるなら一度目の試験に何としても受かれ。という、最も重要で、最も難易度が高いミッションが与えられている。2年最初の試験での合格率は2％を切る。
　それでも『不可能でないなら可能だ』と、部長は言うだろう。
　実際に小華は一度目の試験で合格している。和彦は三度目の試験で合格した。どちらも、同学年の合格順でいくと上位一割以内に入る成績優秀者だ。
　それでも。だ。
　2年生たちの誰一人として『今回は不合格でもいい』と思っているものはいない。全員本気で与えられたミッションを完遂することを目指す。それが電算部だ。
　そして、もちろん、合格しなければ、きついお仕置きが待っていることは想像に難くない。

　仲間たちの顔を見回すと、みんなもう、臨戦態勢という表情になっていた。
　そんな後輩の顔を見て、小華はいかにも『当然』といった顔をし、和彦は『がんばりなさい』と微笑む。そして、教室を移動するために荷物を持って立ち上がった。