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告。新入生諸君
1 石田燈 6
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ごろごろ。と、大きな音を立てて、引き戸が開く。それから、どん。と、音を立てて引き戸は開ききって反対の壁にぶつかった。
「すんません。遅れました」
入ってくるなりその男子生徒は頭を下げた。
女神川学園高校。特戦2年格闘B組。真渕鼎(まぶちかなえ)。特戦には珍しい普通の男子高生だ。顔。可もなく不可もなく。身長・体重平均値。茶色の髪と瞳。どこからどう見ても一般人。まさにモブオブモブ。ブラックタイがなければ、誰も特戦の生徒だとは思わないだろう。
「クロのやつがまた脱走して……って。あれ? 李先輩は?」
モブオブモブの称号をほしいままにしている彼であるのだが、一つだけこの特選学部においてもレアな特徴を有している。その特徴であるところの『モノ』を胸に抱えて、鼎は顔を上げた。額に流れる汗。余程急いできたらしい。部長の姿が部屋の中にないことに驚きの表情を浮かべていた。
「カナちゃん。お疲れ。李先輩。まだ来てないよ」
よかったね。と、笑顔で答える雫に、大きく息を吐き出して、鼎は座り込んだ。部長には毎日のようになんだかんだとダメ出しを食らっているから、新学期くらいは弄られずに済ませたかったのだろう。
同時に彼が腕に抱いている小さな黒猫ががりがり。と、腕に噛みつく。さらに、小さな後ろ足で腕をひっかいてもがいている。
「あいててて」
子猫の攻撃に思わず緩んだ腕から、その黒猫は逃げ出した。
「あ。こら。クロ」
クロと呼ばれた子猫はとてとて。と、拙い足取りで駆けて宙の足元に走り寄ると、その膝に飛び乗る。それから、撫でろ。とばかりに制服の腹にすり寄った。
「クロ」
咎めるように手を伸ばす鼎の手を子猫は猫パンチで牽制した。
「いいよ。鼎。」
ごろごろ。と喉を鳴らす子猫を撫でつつ、宙が答える。
「甘やかすと、大きくなるから……」
申し訳なさそうにそういう鼎に宙は苦笑した。
「だから、いいって」
宙の言葉と同時に、膝の上の子猫が成長を始めた。
「すんません。遅れました」
入ってくるなりその男子生徒は頭を下げた。
女神川学園高校。特戦2年格闘B組。真渕鼎(まぶちかなえ)。特戦には珍しい普通の男子高生だ。顔。可もなく不可もなく。身長・体重平均値。茶色の髪と瞳。どこからどう見ても一般人。まさにモブオブモブ。ブラックタイがなければ、誰も特戦の生徒だとは思わないだろう。
「クロのやつがまた脱走して……って。あれ? 李先輩は?」
モブオブモブの称号をほしいままにしている彼であるのだが、一つだけこの特選学部においてもレアな特徴を有している。その特徴であるところの『モノ』を胸に抱えて、鼎は顔を上げた。額に流れる汗。余程急いできたらしい。部長の姿が部屋の中にないことに驚きの表情を浮かべていた。
「カナちゃん。お疲れ。李先輩。まだ来てないよ」
よかったね。と、笑顔で答える雫に、大きく息を吐き出して、鼎は座り込んだ。部長には毎日のようになんだかんだとダメ出しを食らっているから、新学期くらいは弄られずに済ませたかったのだろう。
同時に彼が腕に抱いている小さな黒猫ががりがり。と、腕に噛みつく。さらに、小さな後ろ足で腕をひっかいてもがいている。
「あいててて」
子猫の攻撃に思わず緩んだ腕から、その黒猫は逃げ出した。
「あ。こら。クロ」
クロと呼ばれた子猫はとてとて。と、拙い足取りで駆けて宙の足元に走り寄ると、その膝に飛び乗る。それから、撫でろ。とばかりに制服の腹にすり寄った。
「クロ」
咎めるように手を伸ばす鼎の手を子猫は猫パンチで牽制した。
「いいよ。鼎。」
ごろごろ。と喉を鳴らす子猫を撫でつつ、宙が答える。
「甘やかすと、大きくなるから……」
申し訳なさそうにそういう鼎に宙は苦笑した。
「だから、いいって」
宙の言葉と同時に、膝の上の子猫が成長を始めた。
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