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水瀬緑風堂魔符魔道薬店
水瀬緑風堂魔符魔道薬店 7
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「あれ。10000円以上するよね?」
彼女が去ったあと、燈は翡翠に声をかけた。
「さあ。どうだったかな?」
翡翠は彼女の使っていた茶器と皿を片付けながら答える。
「そのお茶も、何の魔法がかかってるんだよ」
カップに残るハーブティーをまじまじと見つめると、翡翠はゆったりと微笑んで、それを片付けてしまった。
「さあ?」
表情は相変わらず柔らかい。けれど、燈は知っていた。それが、翡翠の本当の笑顔ではないこと。
「あのこ。上手くいくかな」
だから、燈は聞いたのだ。
「……わからないよ。人の心は。想像で知ることはできない」
俯く翡翠。顔に落ちる暗い影。その影がいつから彼の顔に張り付いてしまったかも、燈は知っている。
「だから、話すんだよ。……あとで、後悔しても遅いから」
寂し気な表情は彼には似合わない。けれど、あの日から、彼の表情の全てはその悲しみの支配下にあった。
「さて。燈もお代わり飲む?」
張り付けるような優しい笑顔を浮かべて、翡翠が言った。
「うん」
だから、燈はそう答えるほかなかった。
それは、あの契約の日から2年後の出来事だった。
彼女が去ったあと、燈は翡翠に声をかけた。
「さあ。どうだったかな?」
翡翠は彼女の使っていた茶器と皿を片付けながら答える。
「そのお茶も、何の魔法がかかってるんだよ」
カップに残るハーブティーをまじまじと見つめると、翡翠はゆったりと微笑んで、それを片付けてしまった。
「さあ?」
表情は相変わらず柔らかい。けれど、燈は知っていた。それが、翡翠の本当の笑顔ではないこと。
「あのこ。上手くいくかな」
だから、燈は聞いたのだ。
「……わからないよ。人の心は。想像で知ることはできない」
俯く翡翠。顔に落ちる暗い影。その影がいつから彼の顔に張り付いてしまったかも、燈は知っている。
「だから、話すんだよ。……あとで、後悔しても遅いから」
寂し気な表情は彼には似合わない。けれど、あの日から、彼の表情の全てはその悲しみの支配下にあった。
「さて。燈もお代わり飲む?」
張り付けるような優しい笑顔を浮かべて、翡翠が言った。
「うん」
だから、燈はそう答えるほかなかった。
それは、あの契約の日から2年後の出来事だった。
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