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2 見せつけられるだけの簡単なお仕事 2
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その男は与党議員だった。
第三次世界大戦後、国会は二大政党による議席の寡占状態が続いている。ほとんどの議員は〇〇党か××党に属し、第三勢力は国民が『台頭してきた』と感じる前に徹底的に叩き潰される。ただ、二大政党の間で与野党は頻繁に交代があり、現在はその男が属する〇〇党が政権を握っていた。
ただ、その政権が盤石というわけでもない。
物価上昇のために不況が長引いて、失業率も決して低くはなく、少子化に歯止めがかからない。問題は山積して、政治に対する不満は爆発寸前だ。ここいらで、何か一つでも〇〇党が弱みを見せれば現政権は崩壊する。そんな見方が政治評論家の中には広がっている。
目の前にいる男はそんな与党の大派閥の長だ。といっても、ユキはこのおっさんのことは知らない。政治というやつに一切の興味がないからだ。一応選挙権はあるけれど、行使したことはない。だから、『景気が悪い』とか、『税金が高い』とか、『若者が都会に流出している』とか、そんなことを政治にも、政治家にも文句を言うつもりもない。
ただ、目の前にいるおっさんには物申したいと、思っている。
今日の仕事は『表』の仕事だ。公共からの委託ではないけれど、法に触れない健全なお仕事だ。
アキは別に反社会組織からの仕事を請けないとかいうポリシーなど持っていない。アキにはアキなりの基準があるらしいが、越えてはいけない一線を越えなければ、非合法でも請けないわけではない。もちろん、リスクとリターンを天秤にかけてつり合いが取れた仕事ならというのが大前提だ。
そして、アキが選んだ仕事にユキが口をはさむことはほとんどない。ただ、スイはスイだけが持っている情報に基づいて反対をすることはあるけれど、それはあくまでリスク管理上の話であって、倫理的な意味でアキの選択に異を唱えることはほとんどなかった。
だから、別にこの仕事はユキが思う『ダメなヤツ』ではない。きっと、アキだってこれが手を出してはいけない仕事だなんて思っていなかったと思う。スイは何となく気付いていたようだったけれど、割り切っていたようだ。
第三次世界大戦後、国会は二大政党による議席の寡占状態が続いている。ほとんどの議員は〇〇党か××党に属し、第三勢力は国民が『台頭してきた』と感じる前に徹底的に叩き潰される。ただ、二大政党の間で与野党は頻繁に交代があり、現在はその男が属する〇〇党が政権を握っていた。
ただ、その政権が盤石というわけでもない。
物価上昇のために不況が長引いて、失業率も決して低くはなく、少子化に歯止めがかからない。問題は山積して、政治に対する不満は爆発寸前だ。ここいらで、何か一つでも〇〇党が弱みを見せれば現政権は崩壊する。そんな見方が政治評論家の中には広がっている。
目の前にいる男はそんな与党の大派閥の長だ。といっても、ユキはこのおっさんのことは知らない。政治というやつに一切の興味がないからだ。一応選挙権はあるけれど、行使したことはない。だから、『景気が悪い』とか、『税金が高い』とか、『若者が都会に流出している』とか、そんなことを政治にも、政治家にも文句を言うつもりもない。
ただ、目の前にいるおっさんには物申したいと、思っている。
今日の仕事は『表』の仕事だ。公共からの委託ではないけれど、法に触れない健全なお仕事だ。
アキは別に反社会組織からの仕事を請けないとかいうポリシーなど持っていない。アキにはアキなりの基準があるらしいが、越えてはいけない一線を越えなければ、非合法でも請けないわけではない。もちろん、リスクとリターンを天秤にかけてつり合いが取れた仕事ならというのが大前提だ。
そして、アキが選んだ仕事にユキが口をはさむことはほとんどない。ただ、スイはスイだけが持っている情報に基づいて反対をすることはあるけれど、それはあくまでリスク管理上の話であって、倫理的な意味でアキの選択に異を唱えることはほとんどなかった。
だから、別にこの仕事はユキが思う『ダメなヤツ』ではない。きっと、アキだってこれが手を出してはいけない仕事だなんて思っていなかったと思う。スイは何となく気付いていたようだったけれど、割り切っていたようだ。
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