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Internally Flawless
25 苛烈 2
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スイの言葉に反応したのか、虚ろな目がスイを捉える。それから、へら。としまりのない笑顔を浮かべる。
「……は。さすがスイさん。最高だ。
最後に教えてよ。ねえ。俺のキスどうだった? すごく可愛い顔して受け入れてくれたよね?
それとも、誰にでもあんな可愛い顔するの? ああ。違うか。あの白い人にはもっとエロくて悦い顔見せてるのかな? や。黒い人の方? まさか、そんなに可愛い顔して、何にも知らないような顔して……両方? 二人に突っ込まれて善がっちゃうの? あー。見たかったな。スイさんのイき顔。最後にさー。俺にも一回ヤらせてよ? 気持ちよくしてあげるよ? ぶっ飛んじゃうくらい。俺のチンコ結構いいと思うよ」
にやにやと笑いながら、腰を振って見せて、挑発してくる男に、言い返そうとした時だった。
いきなり、何かがケンジの前髪を掠めて、後ろの壁際に置いてあった彫刻が砕け散った。
「っ!!!」
続いて、ケンジの服のフードを掠めて、壁にかかっている金属の皿に当たって、ギイン。と、派手な音を立てる。
「……やめ……っ」
思わず声を上げる。けれど、銃撃は止まらなかった。
「動くな!」
シキが鋭い声を上げる。
その瞬間に3射目がケンジの頭の天辺の髪を掠めて、鈍い音を立てて壁に吸い込まれる。それから、間髪を入れずに、またしてもケンジの後頭部の髪を撫でて、銃弾は空気清浄機のディスプレイを弾き飛ばした。
「も。やめろ!!」
あまりに危険な銃撃に、スイはたまらず大声で叫んだ。数秒。その余韻が部屋に残って、銃撃は止んだ。慌てて、シキが二人の部下を呼んで、ケンジを連れて行かせる。
静かになった部屋に、ほぅ。と、スイのため息が漏れる。
「……あのさ。もしかしたら……なんだけど……」
恐ろしくタイミングがいい銃撃に、恐る恐るスイはナオを見た。妨害電波を切ったので、こちらの会話は盗聴器を通して、この部屋の突入班の殆どが聞いていることだろう。
「狙撃……ユキ君?」
その可能性は考えていなかった。ユキは本当なら今、警護の仕事のはずだ。
「……や。アキさん。……多分、ユキはスポッターについてる」
ナオの答えに、スイは固まった。
「え? なんで?」
「あ。もしかして、アキさんのが狙撃の腕は上だって、知らなかった?」
普段、アキは狙撃の仕事は全てユキにやらせて、自分はスポッターにつく。スポッターができる以上はアキにもその技能があることは分かっていたが、まさか、ユキ以上の腕を持っているとは思わなかった。さっきの銃撃を見ても、怖いくらいに正確なのが分かる。
「でも……えと。仕事は??」
スイの問いに、申し訳なさそうにナオは目を逸らす。
「レイ。逮捕されたよ。大井一久のスマホにレイとの会話が録音されてた。レイの気に食わない相手をめちゃめちゃにしろとか、写真撮って脅せとか、二度とレイの前に顔を見せないように監禁しろとかね。スイさんのこと、あーほら、一久が言ってたみたいなこと。しろっていうのも、録音されてたって。一久、それ聞いて毎日ヌいてたらしいよ。きもいよね。
ってか、そもそもさ。あの殺人予告。自作自演だったらしいよ? 最近、評判悪すぎて、仕事減ってたみたいで、目立ちたかったらしい」
ナオの言葉に、力が抜ける。やっぱり、あの女はサイコパスだったらしい。
「ってわけでさ。警護の依頼は解消されたから、作戦に参加させろって……アキさんが……。ユキとアキさんはもともとレンタルでN署に登録されてるから、普段から作戦行動に参加することあるし……今回はN署の人員を割けないから、人手が足りなかったし……えと。ごめん」
両手を併せて拝むようにしてナオは頭を下げた。こんな風にされると怒ることはできない。というか、怒る筋合いではない。
「えー。……ここの会話……聞こえてたり……するよね?」
さっきのケンジの言葉を聞かれていたかと思うと、ぞっとする。きっとアキの怒り方は半端ないと思う。というか、さっきの本気の銃撃でその度合いがどれくらいかは想像に難くない。
「うん。筒抜け」
てへ。と、笑ってナオは頭を掻いた。その姿にスイは頭を抱えた。
「え? ……あ。……うん。わかった。代わる」
またしても、タイミング良く、インカムの向こうの言葉に反応して、シキがインカムを外してスイの方に差しだす。
「スイさん。代わってって。アキさん」
ああ。やっぱり。と、スイは観念した。
「……は。さすがスイさん。最高だ。
最後に教えてよ。ねえ。俺のキスどうだった? すごく可愛い顔して受け入れてくれたよね?
それとも、誰にでもあんな可愛い顔するの? ああ。違うか。あの白い人にはもっとエロくて悦い顔見せてるのかな? や。黒い人の方? まさか、そんなに可愛い顔して、何にも知らないような顔して……両方? 二人に突っ込まれて善がっちゃうの? あー。見たかったな。スイさんのイき顔。最後にさー。俺にも一回ヤらせてよ? 気持ちよくしてあげるよ? ぶっ飛んじゃうくらい。俺のチンコ結構いいと思うよ」
にやにやと笑いながら、腰を振って見せて、挑発してくる男に、言い返そうとした時だった。
いきなり、何かがケンジの前髪を掠めて、後ろの壁際に置いてあった彫刻が砕け散った。
「っ!!!」
続いて、ケンジの服のフードを掠めて、壁にかかっている金属の皿に当たって、ギイン。と、派手な音を立てる。
「……やめ……っ」
思わず声を上げる。けれど、銃撃は止まらなかった。
「動くな!」
シキが鋭い声を上げる。
その瞬間に3射目がケンジの頭の天辺の髪を掠めて、鈍い音を立てて壁に吸い込まれる。それから、間髪を入れずに、またしてもケンジの後頭部の髪を撫でて、銃弾は空気清浄機のディスプレイを弾き飛ばした。
「も。やめろ!!」
あまりに危険な銃撃に、スイはたまらず大声で叫んだ。数秒。その余韻が部屋に残って、銃撃は止んだ。慌てて、シキが二人の部下を呼んで、ケンジを連れて行かせる。
静かになった部屋に、ほぅ。と、スイのため息が漏れる。
「……あのさ。もしかしたら……なんだけど……」
恐ろしくタイミングがいい銃撃に、恐る恐るスイはナオを見た。妨害電波を切ったので、こちらの会話は盗聴器を通して、この部屋の突入班の殆どが聞いていることだろう。
「狙撃……ユキ君?」
その可能性は考えていなかった。ユキは本当なら今、警護の仕事のはずだ。
「……や。アキさん。……多分、ユキはスポッターについてる」
ナオの答えに、スイは固まった。
「え? なんで?」
「あ。もしかして、アキさんのが狙撃の腕は上だって、知らなかった?」
普段、アキは狙撃の仕事は全てユキにやらせて、自分はスポッターにつく。スポッターができる以上はアキにもその技能があることは分かっていたが、まさか、ユキ以上の腕を持っているとは思わなかった。さっきの銃撃を見ても、怖いくらいに正確なのが分かる。
「でも……えと。仕事は??」
スイの問いに、申し訳なさそうにナオは目を逸らす。
「レイ。逮捕されたよ。大井一久のスマホにレイとの会話が録音されてた。レイの気に食わない相手をめちゃめちゃにしろとか、写真撮って脅せとか、二度とレイの前に顔を見せないように監禁しろとかね。スイさんのこと、あーほら、一久が言ってたみたいなこと。しろっていうのも、録音されてたって。一久、それ聞いて毎日ヌいてたらしいよ。きもいよね。
ってか、そもそもさ。あの殺人予告。自作自演だったらしいよ? 最近、評判悪すぎて、仕事減ってたみたいで、目立ちたかったらしい」
ナオの言葉に、力が抜ける。やっぱり、あの女はサイコパスだったらしい。
「ってわけでさ。警護の依頼は解消されたから、作戦に参加させろって……アキさんが……。ユキとアキさんはもともとレンタルでN署に登録されてるから、普段から作戦行動に参加することあるし……今回はN署の人員を割けないから、人手が足りなかったし……えと。ごめん」
両手を併せて拝むようにしてナオは頭を下げた。こんな風にされると怒ることはできない。というか、怒る筋合いではない。
「えー。……ここの会話……聞こえてたり……するよね?」
さっきのケンジの言葉を聞かれていたかと思うと、ぞっとする。きっとアキの怒り方は半端ないと思う。というか、さっきの本気の銃撃でその度合いがどれくらいかは想像に難くない。
「うん。筒抜け」
てへ。と、笑ってナオは頭を掻いた。その姿にスイは頭を抱えた。
「え? ……あ。……うん。わかった。代わる」
またしても、タイミング良く、インカムの向こうの言葉に反応して、シキがインカムを外してスイの方に差しだす。
「スイさん。代わってって。アキさん」
ああ。やっぱり。と、スイは観念した。
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