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Internally Flawless
25 苛烈 1
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スイが呟いた瞬間だった。いきなり、窓ガラスが割れる。
それから、銃を持っていたケンジの腕が弾け飛ぶ。
「!! っ。……ぎゃああ」
指先が吹き飛んでしまった手を押さえてごろごろとのたうち回るケンジの近くまで歩み寄って、スイは近くに落ちていた拳銃を足で蹴って届かないところに飛ばした。
「大丈夫? ああ。手なくなっちゃったね。でも、いいだろ? どうせ美大は中退してるんだし。
それから。情報はちゃんと伝えてあるよ? ただし、伝えたのはN署にじゃない」
と、言ったところで、ばたばたと人の足音が聞こえてきた。入ってきたのは玄関からではない。重戦闘装備に身を包んだ数人の男は窓からやってきた。
「スイさん。大丈夫? 何ともなかった?」
ゴーグルと、マスクを外したのはシキだった。スイの顔を心配そうに覗きこんでくる。こちらの会話は全てスイが持っている盗聴器で聞いていたはずだ。
「ありがと。なんともない。タイミングも完璧。他の階は?」
スイの質問にシキがインカムに向かって何かを呟く。
「大丈夫。取引先の方も、全員、無事だったって」
インカムの返事をそのまま伝えて、シキはケンジを振り返った。
「な……んで? 妨害……でん……」
そのシキを見上げて呻くようにケンジが言った。撃たれて指が数本弾け飛んだ手からは血が溢れている。
「そんなの20分も前に消えてるよ。スイさんがここに入った直後。気付かなかっただろ? 警察のセキュリティ解除班も捨てたもんじゃないでしょ?」
蹲るケンジの前にしゃがみこんで、その顔を覗きこんで、シキが答えた。それから、乱暴のその腕を引いてバックパックから出した救急キットで応急処置をする。痛みにケンジが悲鳴に近い声を上げても彼は手を止めなかった。
「あれ? もしかして、ナオ君も来てる?」
と、応急処置をする背中にスイが聞いた瞬間だった。
「スイさーん!!!」
いきなり部屋に飛び込んできたナオが抱きついてくる。
背中に腕を回してぎゅーっと力を入れて抱きしめてから、ぐりぐりと頭を擦りつけられて、困惑してしまうけれど、嫌だという気持ちは湧いてこなかった。
「よかった!! 無事だったー!!」
いろんな奴らに触られてここ数日不快な思いをしてきたけれど、やっぱり、不思議なことにナオの手を不快に思うことはない。アキとユキとは違う意味で受け入れている自分がいる。
「も。俺、今日、心臓5回くらい止まった。マジで」
またしても、半泣きで鼻を鳴らす友人が、微笑ましくて、スイは思わず吹き出した。その背中を昼間彼がしてくれたようにぽんぽんと叩く。
「な……んでだよ? なんで。そんな情報……なかった」
茫然と三人を見つめるケンジに、ふ。と、優しげで、でも全然目が笑っていない笑顔を浮かべて、シキが顔を寄せる。
「はじめまして。俺は警視庁公安9課、水上虎鉄警部です。この案件は警察署幹部が係わっているということで、公安の管轄になりました。ここからは俺がお相手しますので、よろしく」
「……こうあん……?」
痛みのせいなのか、それともようやく状況が理解できてきたのか、茫然とした顔でケンジはシキの言葉を繰り返した。
「君は終わりってこと」
その横顔に向かってスイは言った。
それから、銃を持っていたケンジの腕が弾け飛ぶ。
「!! っ。……ぎゃああ」
指先が吹き飛んでしまった手を押さえてごろごろとのたうち回るケンジの近くまで歩み寄って、スイは近くに落ちていた拳銃を足で蹴って届かないところに飛ばした。
「大丈夫? ああ。手なくなっちゃったね。でも、いいだろ? どうせ美大は中退してるんだし。
それから。情報はちゃんと伝えてあるよ? ただし、伝えたのはN署にじゃない」
と、言ったところで、ばたばたと人の足音が聞こえてきた。入ってきたのは玄関からではない。重戦闘装備に身を包んだ数人の男は窓からやってきた。
「スイさん。大丈夫? 何ともなかった?」
ゴーグルと、マスクを外したのはシキだった。スイの顔を心配そうに覗きこんでくる。こちらの会話は全てスイが持っている盗聴器で聞いていたはずだ。
「ありがと。なんともない。タイミングも完璧。他の階は?」
スイの質問にシキがインカムに向かって何かを呟く。
「大丈夫。取引先の方も、全員、無事だったって」
インカムの返事をそのまま伝えて、シキはケンジを振り返った。
「な……んで? 妨害……でん……」
そのシキを見上げて呻くようにケンジが言った。撃たれて指が数本弾け飛んだ手からは血が溢れている。
「そんなの20分も前に消えてるよ。スイさんがここに入った直後。気付かなかっただろ? 警察のセキュリティ解除班も捨てたもんじゃないでしょ?」
蹲るケンジの前にしゃがみこんで、その顔を覗きこんで、シキが答えた。それから、乱暴のその腕を引いてバックパックから出した救急キットで応急処置をする。痛みにケンジが悲鳴に近い声を上げても彼は手を止めなかった。
「あれ? もしかして、ナオ君も来てる?」
と、応急処置をする背中にスイが聞いた瞬間だった。
「スイさーん!!!」
いきなり部屋に飛び込んできたナオが抱きついてくる。
背中に腕を回してぎゅーっと力を入れて抱きしめてから、ぐりぐりと頭を擦りつけられて、困惑してしまうけれど、嫌だという気持ちは湧いてこなかった。
「よかった!! 無事だったー!!」
いろんな奴らに触られてここ数日不快な思いをしてきたけれど、やっぱり、不思議なことにナオの手を不快に思うことはない。アキとユキとは違う意味で受け入れている自分がいる。
「も。俺、今日、心臓5回くらい止まった。マジで」
またしても、半泣きで鼻を鳴らす友人が、微笑ましくて、スイは思わず吹き出した。その背中を昼間彼がしてくれたようにぽんぽんと叩く。
「な……んでだよ? なんで。そんな情報……なかった」
茫然と三人を見つめるケンジに、ふ。と、優しげで、でも全然目が笑っていない笑顔を浮かべて、シキが顔を寄せる。
「はじめまして。俺は警視庁公安9課、水上虎鉄警部です。この案件は警察署幹部が係わっているということで、公安の管轄になりました。ここからは俺がお相手しますので、よろしく」
「……こうあん……?」
痛みのせいなのか、それともようやく状況が理解できてきたのか、茫然とした顔でケンジはシキの言葉を繰り返した。
「君は終わりってこと」
その横顔に向かってスイは言った。
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