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Internally Flawless
幕間 ある朝の出来事 5
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「とにかく! あのコ嫌いなんだよ。だから……つい。そのいじめすぎたってか……」
自分の分の朝食もカウンターに用意して、キッチンを出てスイはユキの隣に座った。
「大人げなかったけどさ。……なんか。やだったんだ」
席に座って小さくなって項垂れるスイを、ユキは肩を抱いて引き寄せる。
「それってさ。もしかして、ヤキモチ?」
耳元でわざと低い声を作って聞くと、驚くほど、びくっ。と身体を竦めて、スイの瞳が見上げてくる。
「……だったら……やっぱり、みっともないかな? こんなおっさんがあんな綺麗なコに……」
恐る恐ると言った感じで問いかけてくる表情が堪らない。可愛すぎる。
レイが綺麗かどうかなんて、ユキには、多分アキにも、関係ない。少なくとも、自分たちにとってはあんな高飛車なお姫様より、目の前のその人の方が何倍も、何十倍も、いや、何万倍も可愛いし、綺麗に見えるのだ。
「んなわけないじゃ~ん」
ぎゅううっ。と、ユキはスイを抱きしめた。もう、可愛くて、可愛くて、愛しくて、にやけが止まらない。
「ヤキモチ焼いてくれたの? めっちゃ嬉しい!! 幸せ! も、ホントスイさん世界で一番可愛い。大好き。愛してる。あー。も。サイコー。
お姫様、面倒くさくて、仕事やだったけど、スイさんがヤキモチ焼いてくれるなら、も、ちょっとやってもいいかなー」
ユキの反応に少し複雑な顔をするスイ。その拗ねたような表情すら、可愛いという感想しか浮かんでこない。
「俺は……やだよ。ヤキモチとか、も。やだ」
ぎゅっと、ユキの服の裾を握って、スイは言った。
「ちゃんと、俺のでいてよ」
ずっきゅーん。と、ハートが打ち抜かれる音が聞こえた。射抜かれてしまった。いや、今に始まったことではない。ずっと、ずっと、ユキはスイに射抜かれっぱなしなのだ。
「スイさんのだって! 俺は全部スイさんの! 他の誰にもあげない! 何、も。スイさん可愛すぎ! キュン死させる気? あー。も。幸せすぎるー!」
変なテンションでスイを抱きしめたままぐりぐりと頬摺りすると、髭の感触が痛いのか、スイが身じろぎした。それでも、大人しく腕の中に収まっているその人にさらに、萌えがMax状態になってしまう。
「……あ、ユキ君? あの……俺。遅刻……」
遠慮がちに呟いたスイにも、ユキのテンションは全く下がらなくて、結局、スイは1時間遅刻する羽目になったのだった。
自分の分の朝食もカウンターに用意して、キッチンを出てスイはユキの隣に座った。
「大人げなかったけどさ。……なんか。やだったんだ」
席に座って小さくなって項垂れるスイを、ユキは肩を抱いて引き寄せる。
「それってさ。もしかして、ヤキモチ?」
耳元でわざと低い声を作って聞くと、驚くほど、びくっ。と身体を竦めて、スイの瞳が見上げてくる。
「……だったら……やっぱり、みっともないかな? こんなおっさんがあんな綺麗なコに……」
恐る恐ると言った感じで問いかけてくる表情が堪らない。可愛すぎる。
レイが綺麗かどうかなんて、ユキには、多分アキにも、関係ない。少なくとも、自分たちにとってはあんな高飛車なお姫様より、目の前のその人の方が何倍も、何十倍も、いや、何万倍も可愛いし、綺麗に見えるのだ。
「んなわけないじゃ~ん」
ぎゅううっ。と、ユキはスイを抱きしめた。もう、可愛くて、可愛くて、愛しくて、にやけが止まらない。
「ヤキモチ焼いてくれたの? めっちゃ嬉しい!! 幸せ! も、ホントスイさん世界で一番可愛い。大好き。愛してる。あー。も。サイコー。
お姫様、面倒くさくて、仕事やだったけど、スイさんがヤキモチ焼いてくれるなら、も、ちょっとやってもいいかなー」
ユキの反応に少し複雑な顔をするスイ。その拗ねたような表情すら、可愛いという感想しか浮かんでこない。
「俺は……やだよ。ヤキモチとか、も。やだ」
ぎゅっと、ユキの服の裾を握って、スイは言った。
「ちゃんと、俺のでいてよ」
ずっきゅーん。と、ハートが打ち抜かれる音が聞こえた。射抜かれてしまった。いや、今に始まったことではない。ずっと、ずっと、ユキはスイに射抜かれっぱなしなのだ。
「スイさんのだって! 俺は全部スイさんの! 他の誰にもあげない! 何、も。スイさん可愛すぎ! キュン死させる気? あー。も。幸せすぎるー!」
変なテンションでスイを抱きしめたままぐりぐりと頬摺りすると、髭の感触が痛いのか、スイが身じろぎした。それでも、大人しく腕の中に収まっているその人にさらに、萌えがMax状態になってしまう。
「……あ、ユキ君? あの……俺。遅刻……」
遠慮がちに呟いたスイにも、ユキのテンションは全く下がらなくて、結局、スイは1時間遅刻する羽目になったのだった。
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