遠くて近い世界で

司書Y

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Internally Flawless

18 蜜月 2

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 ◇秋生◇

 いつも、絶対にスイはアキに準備を手伝わせてはくれない。理由は単純だ。
 恥ずかしいから。
 顔を真っ赤にしてそう言われると、毎回のことながら『煽ってんのか??』と、疑問が湧く。もちろん、スイにそんな気がないことくらい分かっている。本気で恥ずかしいのだろう。間違いなく。いや、恐らく。多分。
 だから、準備の段階を手伝うのは初めてだった。
 誤解の内容に言っておくが、スイに頼まれたわけではない。スイはそんなことを頼めるほどにあけすけでも、恥知らずでも、大胆でもない。単純にアキが拝み倒しただけだ。
 スイが耳元で囁かれると弱いと知っていて、わざと甘い声をつくって『おねだり』した。スイは今まで見たこともないくらいに顔を赤くして、『なんでそんなことしたがるんだよ?』と、泣きそうな顔をしていた。いや、本気で涙目だった気がする。それでも、『翡翠の全部が知りたい』と、そっと、下腹部を撫でながら囁けば、もう逆らえなくなって、胸に顔を擦り寄せるようにして頷いてくれた。

 シャワーヘッドを外して熱くない程度の湯を指で広げたソコに流し込む。アキに背を向けて、壁に縋りついて、ふるふる。と、震える脚を支えるその人の顔は、あまり明るくないバスルームの明かりでもはっきり見えるほど真っ赤になっている。
 昨夜の余韻でまださほど硬くないソコは、解し始めるとすぐに柔らかくなって指を三本まで飲みこんだ。水流を当ててソコをかき回すと、スイの口からくぐもった呻きとも喘ぎともつかない声が漏れる。

「や……アキ……く……ん。そんなに……しな……っんん」

 白くて細い身体が震える。その首筋にも、背中にも、胸元にも、昨夜自分自身が付けた痕が残っているのが、堪らなくそそる。細い脚の間にある細身の男性器はもう緩く立ち上がっている。言ってしまえば、アキの方はすでにガン勃ちだ。
 家を出た時点。否。正確に申告するなら、スイの匂いのする部屋で目覚めたその時点ですでにスイのことばかりを考えていたのだ。否。それも正しくはない。スイを抱きたくて仕方なかったのだ。スイの白い肢体が目の前にあって、それが快感を拾ってふるふると小刻みに震えている姿に、アキが反応しないわけがない。

「でも、ちゃんと綺麗にしないと駄目だろ?」

 それなのに、今すぐにでもめちゃくちゃにしたい気持ちを抑えて敢えてその場所以外に触ることをせず、アキはスイの耳元に囁いた。

「……っ。でも……っ、き……もちよく……なっちゃうか……らぁ」

 切なげに眉を寄せて、見上げるスイの瞳には涙がいっぱいに溜まっている。それが、快楽のためなのか、羞恥のためなのか、その両方なのか分からない。ただ、どちらにせよ、そんなスイの顔はアキの心身を煽るのには充分だった。

「いいよ? 気持ちよくなってよ」

 囁いてから、ぐり。と、指を強くねじ込む。

「ぁあ……っ? や。それ……だめっ」

 それから、もう熟知している前立腺のしこりをこりこりと刺激した。

「や……。やだって……あっ、だめ……アキ……っ。も」

 ふ。と、ふいにスイの脚から力が抜けた。後孔を弄るのをやめて、崩れ落ちそうになる身体を支える。指を抜く瞬間に『んぅ』とスイの鼻から小さな吐息が漏れた。

 堪らない。

 アキは思う。
 一日中、スイのことばかりを考えていた。その身体は脱力して、アキに全てを委ねているのだ。何をされても構わないのだと、その目が言っている。それは、アキの中にある独占欲も、支配欲も、庇護欲も、一度に満たすのに十分すぎるくらいだった。

「も。意地悪……しな……で……よぉ……」

 ぐすぐす。と鼻、を鳴らして、スイが力なくアキの腕に縋りつく。

「お……れ……じゃ……なくて、アキに気持ちよく……なってほしいのに……」

 それから、スイはそんな破壊力抜群のエロ可愛いことを平気で言ってくるから始末が悪い。どんな顔をしてそんなことを言っているのかが見たい。
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