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Internally Flawless
15 捜査 5
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「スイさん。駄々漏れになってるよ?」
「は??」
スイが疑問を返したところで、コーヒーとトーストとナポリタンが席に届いた。マスター直々の給仕だ。この店にはバイトはいない。
「だからさ。なんていうんだろ……愛されオーラ? 駄々漏れだって」
「はあ???」
思わず声が裏返る。カウンターで食器を拭いていたマスターがちらとこちらを見てから、また食器を拭き始める。
「ヤバいよ? ケンジ顔色変わってた。あの……なんだっけ背景制作のむさくてごつくてでかいやつも。あとほら、アキさんの廉価版みたいな人も。も、ちょっと色気おさえてくんないと、『業務』に支障が出る気がするんだけど……」
何とも言えない微妙な表情でナオが言う。言っている間にも、スイの顔を見て、ため息をついている。
「そんなもん。出した覚えない!」
スイは断言した。確かに、ケンジに対してちょこっと色仕掛け(?)した自覚はあるけれど、他の人に何かした覚えなんてなかった。けれど、スイは気付いていない。それは、スイが出すつもりがあるかないかの問題ではなく、受け取った側の感じ方の問題なのだ。そして、それが駄々漏れになっているのに気付いてないのは、おそらくスイ本人だった。
「無自覚って、こわいよねえ。とにかくさ。今日はできるだけ、俺と一緒にいて、仕事終わったらすぐに帰ってよ?」
またしてもため息交じりに言われて、そんなものどこから出ているんだろうと、自分の手や身体を見て見るが、いつもとどこが変わったのか分からない。いや、むしろ疲れている分、肌色が悪いような気がする。
と、そこまで考えてから、スイははっとした。
「そんなわけにいかないだろ? まだ、一番の問題が残ってる」
もう、ショーまでは1週間。来週の土曜日はショー本番だ。それまでに解決できなければ、今のスタッフは一時解散になってしまうのだ。もちろん、ショーが終わっても捜査が打ち切られることはない。行方不明者の人数は『みつかりませんでした』で済む人数ではないのだ。けれど、ショーが終わったら、しばらくは犯人たちが動くことはなくなる。そうして時間が経てばさらに捜査は困難になってしまうだろう。
「『工場』のこと? 多分、『工場長』は分かった。信じたくないけど……スイさんの言うとおりだった」
『工場長』は今回の事件の実行犯の指揮を執っている人物の隠喩だ。数日前に辿り着いたその人物の名前をスイはナオにすでに伝えてあった。その上で、裏付けを頼んでいる。きっと、信じがたい事実であったはずの結論をそれでもナオは真摯に受け取ってくれた。
「それなんだけど『工場』と、『会長』はセットかも。調べてほしい場所をリストアップしといた。でも、N署には送れない。ナオ君のPCに直接送るから。できれば、本部の人じゃなくて、セイジ君みたいな信じられる人に調べてほしい」
基本的に、スイは警察を信用してはいない。この事件の場合、信じられるのはアキやユキと付き合いの長いナオとセイジだけだ。百歩譲ったとしても、セイジとナオが信じられると認めた相手でなければ、情報を渡すことすらできない。
「わかった」
ナオは真顔で頷いた。
「は??」
スイが疑問を返したところで、コーヒーとトーストとナポリタンが席に届いた。マスター直々の給仕だ。この店にはバイトはいない。
「だからさ。なんていうんだろ……愛されオーラ? 駄々漏れだって」
「はあ???」
思わず声が裏返る。カウンターで食器を拭いていたマスターがちらとこちらを見てから、また食器を拭き始める。
「ヤバいよ? ケンジ顔色変わってた。あの……なんだっけ背景制作のむさくてごつくてでかいやつも。あとほら、アキさんの廉価版みたいな人も。も、ちょっと色気おさえてくんないと、『業務』に支障が出る気がするんだけど……」
何とも言えない微妙な表情でナオが言う。言っている間にも、スイの顔を見て、ため息をついている。
「そんなもん。出した覚えない!」
スイは断言した。確かに、ケンジに対してちょこっと色仕掛け(?)した自覚はあるけれど、他の人に何かした覚えなんてなかった。けれど、スイは気付いていない。それは、スイが出すつもりがあるかないかの問題ではなく、受け取った側の感じ方の問題なのだ。そして、それが駄々漏れになっているのに気付いてないのは、おそらくスイ本人だった。
「無自覚って、こわいよねえ。とにかくさ。今日はできるだけ、俺と一緒にいて、仕事終わったらすぐに帰ってよ?」
またしてもため息交じりに言われて、そんなものどこから出ているんだろうと、自分の手や身体を見て見るが、いつもとどこが変わったのか分からない。いや、むしろ疲れている分、肌色が悪いような気がする。
と、そこまで考えてから、スイははっとした。
「そんなわけにいかないだろ? まだ、一番の問題が残ってる」
もう、ショーまでは1週間。来週の土曜日はショー本番だ。それまでに解決できなければ、今のスタッフは一時解散になってしまうのだ。もちろん、ショーが終わっても捜査が打ち切られることはない。行方不明者の人数は『みつかりませんでした』で済む人数ではないのだ。けれど、ショーが終わったら、しばらくは犯人たちが動くことはなくなる。そうして時間が経てばさらに捜査は困難になってしまうだろう。
「『工場』のこと? 多分、『工場長』は分かった。信じたくないけど……スイさんの言うとおりだった」
『工場長』は今回の事件の実行犯の指揮を執っている人物の隠喩だ。数日前に辿り着いたその人物の名前をスイはナオにすでに伝えてあった。その上で、裏付けを頼んでいる。きっと、信じがたい事実であったはずの結論をそれでもナオは真摯に受け取ってくれた。
「それなんだけど『工場』と、『会長』はセットかも。調べてほしい場所をリストアップしといた。でも、N署には送れない。ナオ君のPCに直接送るから。できれば、本部の人じゃなくて、セイジ君みたいな信じられる人に調べてほしい」
基本的に、スイは警察を信用してはいない。この事件の場合、信じられるのはアキやユキと付き合いの長いナオとセイジだけだ。百歩譲ったとしても、セイジとナオが信じられると認めた相手でなければ、情報を渡すことすらできない。
「わかった」
ナオは真顔で頷いた。
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