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Internally Flawless
15 捜査 2
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「よし」
声に出して言って、スイは下ろしていた髪を括った。と、同時にチャイムが鳴る。
時計を見ると、すでに正午だった。
「え?」
どうやら、半日もアキのことばかりを考えていたらしい。あまりの色ボケぶりに呆れてしまう。今度は自分自身の馬鹿さ加減にため息をついて、それでも、仕事はランチの後からにするかと、スイはPCをスリープモードにした。
「あ」
ふと、視線を移すと、マナーモードにしてあったスマートフォンにLINEの着信を知らせる緑の光が点滅していた。
画面を点灯させると、小鳥遊秋生の文字。それから、小鳥遊冬生の文字。
顔が勝手に微笑んでしまう。
こんなことで充分なのだとスイは思う。ただ、LINEの着信があるということ、それだけで幸せだった。
アキのメッセージを開く。
おはよう
飯うまかった
ありがとう
昨夜は無理させてごめん
仕事がんばって
無理すんなよ
あいしてる
多分。今、顔を見られたら、恥ずかしいくらいににやけていると思う。こんなに簡単な。たった50文字ほどの文章なのに、世界中の幸せを全部一人占めにしたような気分にさせてくれる。
おはよう
身体は大丈夫だよ
なるべく早く仕事終わらせて帰るから
待ってて
アキ君、愛してる
自分の気持ちを伝えてくれる、そのスマートフォンすら、愛しいような気持ちになった。
ユキのメッセージを開く。
おはよう
昨日は兄貴にいっぱい甘えられた?
弁当ちょーうまかった
やっぱ、スイさんのメシさいこー
大好きだよ
はやくかえってきて
やはり、誰が何と言っても、この世界の幸せは今全部ここにあるのだと、スイは確信した。端っこに追いやられていたユキの存在感が一気に半分まで戻ってきた。
なんて、贅沢なんだろう。
スイは思う。
こんな自分のために、アキも、ユキも、持てる限りの愛を注いでくれる。
おはよう
ありがと
ユキ君が守ってくれたから
アキ君と仲直りできた
お弁当、できたらまた作る
や。うちに帰る方が先になるかな?
俺も大好きだよ
なんだか、やる気がわいてきた。二人が待っている。だから、すぐにでも解決して帰りたい。昨日までだって別に手を抜いていたわけではない。でも、今なら何でもできる気がした。
メッセージを送信したスマートフォンを両手で挟みこむようにして、握る。
声に出して言って、スイは下ろしていた髪を括った。と、同時にチャイムが鳴る。
時計を見ると、すでに正午だった。
「え?」
どうやら、半日もアキのことばかりを考えていたらしい。あまりの色ボケぶりに呆れてしまう。今度は自分自身の馬鹿さ加減にため息をついて、それでも、仕事はランチの後からにするかと、スイはPCをスリープモードにした。
「あ」
ふと、視線を移すと、マナーモードにしてあったスマートフォンにLINEの着信を知らせる緑の光が点滅していた。
画面を点灯させると、小鳥遊秋生の文字。それから、小鳥遊冬生の文字。
顔が勝手に微笑んでしまう。
こんなことで充分なのだとスイは思う。ただ、LINEの着信があるということ、それだけで幸せだった。
アキのメッセージを開く。
おはよう
飯うまかった
ありがとう
昨夜は無理させてごめん
仕事がんばって
無理すんなよ
あいしてる
多分。今、顔を見られたら、恥ずかしいくらいににやけていると思う。こんなに簡単な。たった50文字ほどの文章なのに、世界中の幸せを全部一人占めにしたような気分にさせてくれる。
おはよう
身体は大丈夫だよ
なるべく早く仕事終わらせて帰るから
待ってて
アキ君、愛してる
自分の気持ちを伝えてくれる、そのスマートフォンすら、愛しいような気持ちになった。
ユキのメッセージを開く。
おはよう
昨日は兄貴にいっぱい甘えられた?
弁当ちょーうまかった
やっぱ、スイさんのメシさいこー
大好きだよ
はやくかえってきて
やはり、誰が何と言っても、この世界の幸せは今全部ここにあるのだと、スイは確信した。端っこに追いやられていたユキの存在感が一気に半分まで戻ってきた。
なんて、贅沢なんだろう。
スイは思う。
こんな自分のために、アキも、ユキも、持てる限りの愛を注いでくれる。
おはよう
ありがと
ユキ君が守ってくれたから
アキ君と仲直りできた
お弁当、できたらまた作る
や。うちに帰る方が先になるかな?
俺も大好きだよ
なんだか、やる気がわいてきた。二人が待っている。だから、すぐにでも解決して帰りたい。昨日までだって別に手を抜いていたわけではない。でも、今なら何でもできる気がした。
メッセージを送信したスマートフォンを両手で挟みこむようにして、握る。
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