遠くて近い世界で

司書Y

文字の大きさ
上 下
265 / 414
Internally Flawless

12 熱情 4

しおりを挟む
「……続き。していい?」

 優しい声に、否定なんて全く思いもよらなかった。むしろ続けてほしいと懇願したいくらいだ。
 けれど、なんだか、胸がいっぱいになって、スイは頷くだけで答える。

「愛してるよ」

 もう一度、深いキス。
 それから、指の動きが再開された。

「あ……っ。や。あ………そこ。……んん」

 スイの弱い場所なんて、アキには全部知られている。焦らす。なんて言葉を知らないかのように、アキの指はスイの中のその部分を的確に刺激してくる。
 久しぶりだからなのか、それとも気持ちが盛り上がってしまっているのか、快感を受け流すことができない。いつの間にか増やされている指で中と、緩く握り込んだ前を同時に刺激されて、自分でも驚くほどに身体が高ぶるのが早い。

「……ぁあっ。だめ……ぁあっ……すぐに……っ。イっちゃう……よぉ……っあ」

 びりびり。と、痺れるような感覚に言葉がうまく出てこない。がくがく。と足が震えて、アキの肩に捕まって手も、もう限界で、立っていることができなくて、崩れ落ちそうになると、その身体をアキが支えてくれた。

「……アキ……も。無理……ほしい」

 散々攻められたソコは、もう、アキがほしいとひくついている。下腹部がきゅん。と、切なくて、はやく、アキ自身で満たしてほしいと、思う。

「……じゃ、翡翠、これも挿るようにしてくれる?」

 ぐり。と、それを腹部に押しつけられて、その硬さに眩暈がした。

「……うん」

 アキの顔を見上げて、それから、頷く。きっと、顔は真っ赤になっていたと思う。
 ずりずりと、壁を背にしたまま、座り込んでアキの前に膝をつく。手は、震えていた。アキのボトムのボタンを外すのすら覚束ない。それでも、どうにかそれを外して寛げて、下着をずらすと、ソレが目の前に現れた。

「……あの……多分……うまくはないよ?」

 上目づかいで見上げて言う。けれど、返事は待たずに、ちゅ。と、その先端にキスをする。
 その感覚だけで、ふる。と、アキのソレが震えた。

「いいよ。これから、俺が教えてあげるから」

 頭上から聞こえるアキの掠れた声。堪らない。
 細い指先を添えて、遠慮がちにソレに舌を絡める。たっぷりと唾液を含ませた舌先で、根元から先端まで、つつ。と何度もなぞってから、くびれの部分をくるくると円を描くように舐めあげると、アキの口から、くぐもった声が漏れた。

「……きもちいい?」

 ちら。と、見上げた先、寄せた眉が何だか苦しそうに見えて、一旦唇を離して問うと、そのままの表情でアキの手が頬を撫でてくれる。

「気持ちいいよ。翡翠にしてもらってるなんて、最高だ」

 その貌がなんだか、すごく色っぽくてスイ自身の身体もどく。と、熱を拾う。
 その貌がもっと見たくて、スイはその小さな口にソレを迎え入れた。細い指先で上下に刺激しながら、口の中のソレに舌を絡める。それから、そのまま頭を上下させる。

「……っ」

 口の中のソレがあまりに大きくて、苦しくて涙が滲む。でも、いつもはすぐに訳が分からないくらいに気持ちよくなってしまって、見ている余裕がないアキの欲情した貌が、もっと見たい。だから、スイは喉の奥までソレを迎え入れた。喉の奥からこみ上げてくるえづきを押さえて、激しく動かすと、ソレは次第に熱さと固さを増していった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】ここで会ったが、十年目。

N2O
BL
帝国の第二皇子×不思議な力を持つ一族の長の息子(治癒術特化) 我が道を突き進む攻めに、ぶん回される受けのはなし。 (追記5/14 : お互いぶん回してますね。) Special thanks illustration by おのつく 様 X(旧Twitter) @__oc_t ※ご都合主義です。あしからず。 ※素人作品です。ゆっくりと、温かな目でご覧ください。 ※◎は視点が変わります。

朝起きたら幼なじみと番になってた。

オクラ粥
BL
寝ぼけてるのかと思った。目が覚めて起き上がると全身が痛い。 隣には昨晩一緒に飲みにいった幼なじみがすやすや寝ていた 思いつきの書き殴り オメガバースの設定をお借りしてます

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

彩雲華胥

柚月なぎ
BL
 暉の国。  紅鏡。金虎の一族に、痴れ者の第四公子という、不名誉な名の轟かせ方をしている、奇妙な仮面で顔を覆った少年がいた。  名を無明。  高い霊力を封じるための仮面を付け、幼い頃から痴れ者を演じ、周囲を欺いていた無明だったが、ある出逢いをきっかけに、少年の運命が回り出す――――――。  暉の国をめぐる、中華BLファンタジー。 ※この作品は最新話は「カクヨム」さんで読めます。また、「小説家になろう」さん「Fujossy」さんでも連載中です。 ※表紙や挿絵はすべてAIによるイメージ画像です。 ※お気に入り登録、投票、コメント等、すべてが励みとなります!応援していただけたら、幸いです。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

私の庇護欲を掻き立てるのです

まめ
BL
ぼんやりとした受けが、よく分からないうちに攻めに囲われていく話。

目覚ましに先輩の声を使ってたらバレた話

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
サッカー部の先輩・ハヤトの声が密かに大好きなミノル。 彼を誘い家に泊まってもらった翌朝、目覚ましが鳴った。 ……あ。 音声アラームを先輩の声にしているのがバレた。 しかもボイスレコーダーでこっそり録音していたことも白状することに。 やばい、どうしよう。

よく効くお薬〜偏頭痛持ちの俺がエリートリーマンに助けられた話〜

高菜あやめ
BL
【マイペース美形商社マン×頭痛持ち平凡清掃員】千野はフリーのプログラマーだが収入が少ないため、夜は商社ビルで清掃員のバイトをしてる。ある日体調不良で階段から落ちた時、偶然居合わせた商社の社員・津和に助けられ……偏頭痛持ちの主人公が、エリート商社マンに世話を焼かれつつ癒される甘めの話です◾️スピンオフ1【社交的爽やかイケメン営業マン×胃弱で攻めに塩対応なSE】千野のチームの先輩SE太田が主人公です◾️スピンオフ2【元モデルの実業家×低血圧の営業マン】千野と太田のプロジェクトチーム担当営業・片瀬とその幼馴染・白石の恋模様です

処理中です...