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Internally Flawless
10 嫌悪 4
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1時間後。
ケンジは赤い顔をして、話を続けていた。さっきからスイは殆ど口をはさんでいない。ただ、頷いたり相槌を打っているだけだ。それでも、彼はバイト先に流れている噂や人間関係などを喋りまくっていた。
「だからさ。スイさんの髪の色ってさ。ホント希少価値なんだって」
たびたび髪を触られるのが気持ち悪い。
「ホント綺麗だよね。ふわふわだし。……俺のもんにしたいなー」
ぼそりと、耳の近くで囁かれて、寒気がする。
さっきから、ケンジの話など殆ど耳に入ってはいない。まるで、その言葉の全てが、あの男に言われているようで、怖くて、気持ち悪くて、どうにかなってしまいそうだった。
「どんなに美形でも、スイさんのこと放っておくようなヤツ、忘れちゃいなよ? 俺、スイさんを満足させられると思うよ?」
その言葉に、スイは我慢の限界が来てしまった。
「……やだ!」
勢いよく立ちあがると、目の前にあったグラスが倒れて、残り少なくなっていた酒がテーブルに零れる。多分、かなり度数の高い酒だ。
「どんなにほっとかれたって……他の誰かと一緒にいたって……好きなんだから、しょうがないだろ!」
立ち上がると、くらりと、酒が回る。けれど、もう、こいつの隣で話を聞いているのも限界だった。アキやユキのことが大嫌いなヤツの口から語られるのが堪らなく嫌だった。
「他の誰かって……?」
酒が回った頭では目の前の男が自分を凌辱した男にしか見えなかった。
怖くて、気持ち悪くて、助けてほしいと思い出すのは、アキとユキの顔だけだった。
「帰る」
財布から札を抜いて、テーブルに叩きつけて席を立つ。
後ろでケンジの声が聞こえたような気がしたが、そんなものは無視して、スイは逃げ出した。
ケンジは赤い顔をして、話を続けていた。さっきからスイは殆ど口をはさんでいない。ただ、頷いたり相槌を打っているだけだ。それでも、彼はバイト先に流れている噂や人間関係などを喋りまくっていた。
「だからさ。スイさんの髪の色ってさ。ホント希少価値なんだって」
たびたび髪を触られるのが気持ち悪い。
「ホント綺麗だよね。ふわふわだし。……俺のもんにしたいなー」
ぼそりと、耳の近くで囁かれて、寒気がする。
さっきから、ケンジの話など殆ど耳に入ってはいない。まるで、その言葉の全てが、あの男に言われているようで、怖くて、気持ち悪くて、どうにかなってしまいそうだった。
「どんなに美形でも、スイさんのこと放っておくようなヤツ、忘れちゃいなよ? 俺、スイさんを満足させられると思うよ?」
その言葉に、スイは我慢の限界が来てしまった。
「……やだ!」
勢いよく立ちあがると、目の前にあったグラスが倒れて、残り少なくなっていた酒がテーブルに零れる。多分、かなり度数の高い酒だ。
「どんなにほっとかれたって……他の誰かと一緒にいたって……好きなんだから、しょうがないだろ!」
立ち上がると、くらりと、酒が回る。けれど、もう、こいつの隣で話を聞いているのも限界だった。アキやユキのことが大嫌いなヤツの口から語られるのが堪らなく嫌だった。
「他の誰かって……?」
酒が回った頭では目の前の男が自分を凌辱した男にしか見えなかった。
怖くて、気持ち悪くて、助けてほしいと思い出すのは、アキとユキの顔だけだった。
「帰る」
財布から札を抜いて、テーブルに叩きつけて席を立つ。
後ろでケンジの声が聞こえたような気がしたが、そんなものは無視して、スイは逃げ出した。
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