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Internally Flawless
08 障壁 4
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電話に出ないのは、アキの電話にあの女が出たからだろうか。ただ、機嫌を損ねただけ?
考えてからそうではないだろうと、首を振る。
それでは、こんな時間に電話をしてきた理由が分からない。
もしかしたら、今、こうしている間にも、スイが危険な目にあっているかもしれない。こんな時間だ。もしかしたら、部屋を襲撃されているという事態も考えられる。折り返しに出ないのはそのためなのかもしれないのだ。
そうでなくても、一度だけ遠くにいる彼を見た時、傍にいたヤツがスイにちょっかいを出しているかもしれない。
考えるほどに不安は増して、指先が冷たくなる。居ても立ってもいられなくなって、アキは近くにいたスタッフに声をかけた。それは、デザイン事務所の見習いアシスタントの女性で、名前は忘れてしまったが、小柄な可愛らしい人だった。
「悪いんだけど」
レイに気付かれないように小声で声をかける。
「……はい」
振り返って見上げてくる瞳は紫に近いピンクで、大きな目の少女のような女性だ。その瞳でじっとアキを見つめている。その手に小さな紙片を渡す。
「この番号に電話してアキが『翠の石にしとけ』って言ってたって伝えてくれる?」
アキとユキの間ではいくつかの符丁がある。有事の時に二人だけの間で通じる暗号のようなものだ。もちろん、今はスイと三人で浸かっているものもある。その中でも、それはスイにすら教えていない符丁だ。意味は『スイに連絡を取れ』だ。こんなことを想定していたわけでないのだが、結局、役に立ってしまった。
「はあ。こんな朝早くから大丈夫ですか?」
その問いに、頷くだけで答える。レイがこちらに歩いてきたからだ。このことは知られたくない。知られたら邪魔をされるに決まっている。
「じゃ、たのむ」
小さく言って、アキはその女性から離れた。
考えてからそうではないだろうと、首を振る。
それでは、こんな時間に電話をしてきた理由が分からない。
もしかしたら、今、こうしている間にも、スイが危険な目にあっているかもしれない。こんな時間だ。もしかしたら、部屋を襲撃されているという事態も考えられる。折り返しに出ないのはそのためなのかもしれないのだ。
そうでなくても、一度だけ遠くにいる彼を見た時、傍にいたヤツがスイにちょっかいを出しているかもしれない。
考えるほどに不安は増して、指先が冷たくなる。居ても立ってもいられなくなって、アキは近くにいたスタッフに声をかけた。それは、デザイン事務所の見習いアシスタントの女性で、名前は忘れてしまったが、小柄な可愛らしい人だった。
「悪いんだけど」
レイに気付かれないように小声で声をかける。
「……はい」
振り返って見上げてくる瞳は紫に近いピンクで、大きな目の少女のような女性だ。その瞳でじっとアキを見つめている。その手に小さな紙片を渡す。
「この番号に電話してアキが『翠の石にしとけ』って言ってたって伝えてくれる?」
アキとユキの間ではいくつかの符丁がある。有事の時に二人だけの間で通じる暗号のようなものだ。もちろん、今はスイと三人で浸かっているものもある。その中でも、それはスイにすら教えていない符丁だ。意味は『スイに連絡を取れ』だ。こんなことを想定していたわけでないのだが、結局、役に立ってしまった。
「はあ。こんな朝早くから大丈夫ですか?」
その問いに、頷くだけで答える。レイがこちらに歩いてきたからだ。このことは知られたくない。知られたら邪魔をされるに決まっている。
「じゃ、たのむ」
小さく言って、アキはその女性から離れた。
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