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Internally Flawless
05 恋慕 05
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「アキ」
スマートフォンの画面を見つめる。
辿っていくと、そこには確かにアキの愛情を一身に受けている自分がいた。ふと。その手が止まる。
『帰ったらめちゃくちゃに抱くからね
覚悟してて?』
家を出る数日前のメッセージだった。どんなシチュエーションだったかも、もちろんはっきりと思い出せる。アキとユキと一緒にシロに会った日だ。スイの隣の席に座っていたというのに、アキはこんなメッセージを送ってきた。メッセージにスイが気付いて、顔を見るとすごく意地悪な顔をして笑っていた。
けれど、帰っても、アキは宣言通りにはしなかった。
めちゃくちゃに。なんて言ったくせに、優しく優しく抱いてくれた。
愛していると囁く声も。労わるように触れる唇も。壊れ物を扱うように撫でる手も。触れ合う肌の温かさも。ついさっきのことのように思い出せる。
「……あ……」
気付くと、ソコに熱が集まり始めていた。ゆるく固くなっているソコを誰も見ていないというのに隠すように両手で覆う。
「……なんで……だよ」
家を出てから自分で処理したりはしていない。もともと、スイはあまりそういう欲が強いほうではなかったし、仕事の忙しさや、気苦労でそんな気にもなれなかった。なれなかったのに、アキとの行為を思い出しただけで、こんなふうになってしまった。それが、ひどく恥ずかしい。
「くそ」
悪態をつくけれど、高まった身体は簡単に収まってくれない。ふと、視線を移すと、また、スマートフォンのアキからのメッセージが視界に入った。さっき見たメッセージの続きだ。シロに対する、おそらくは牽制。だから、過激な言葉が並ぶ。
『スイさんの好きなところ
たくさん触ってあげる』
『俺しか入れない一番奥まで入らせて』
『照れた顔も可愛いけど
蕩けた顔早く見たい』
悪戯だとはわかっていたし、普段のアキはこんなセクハラまがいのことはしない。けれど、その後、結局全部その通りになってしまったことを、スイは知っている。知っているから、性質が悪い。思い出すと、熱を収めるどころかさらに高ぶってしまう。隠したくて抑えた自分自身の両掌ですら、刺激になって思わずため息が漏れた。
「……ごめん。アキ」
このままにはしておけない。帰って来たとは言え、まだ、仕事は残っている。しなければいけないことは山積みだ。だから、静めるためには仕方ない。そう、自分に言い聞かせる。それが、言い訳だとはわかっていたけれど、集まってくる熱にこらえきれなくなってしまっていた。
「ん」
ボトムの前を寛げて、手を差し入れる。触れるとソコはもう随分と固くなっていた。ゆっくりと、指を絡めて上下させる。あまり自慰の経験のないスイはどうすればいいのかよくわからなかった。だから、アキの手を思い出すしかなかった。
アキがしてくれるように、片手で先端を包み込むように刺激しながら、もう片方の手で陰茎を扱く。上手くできなくてすごくもどかしい。
「……や。あ……アキ……」
名前を呼ぶと、涙が溢れそうになった。
スマートフォンの画面を見つめる。
辿っていくと、そこには確かにアキの愛情を一身に受けている自分がいた。ふと。その手が止まる。
『帰ったらめちゃくちゃに抱くからね
覚悟してて?』
家を出る数日前のメッセージだった。どんなシチュエーションだったかも、もちろんはっきりと思い出せる。アキとユキと一緒にシロに会った日だ。スイの隣の席に座っていたというのに、アキはこんなメッセージを送ってきた。メッセージにスイが気付いて、顔を見るとすごく意地悪な顔をして笑っていた。
けれど、帰っても、アキは宣言通りにはしなかった。
めちゃくちゃに。なんて言ったくせに、優しく優しく抱いてくれた。
愛していると囁く声も。労わるように触れる唇も。壊れ物を扱うように撫でる手も。触れ合う肌の温かさも。ついさっきのことのように思い出せる。
「……あ……」
気付くと、ソコに熱が集まり始めていた。ゆるく固くなっているソコを誰も見ていないというのに隠すように両手で覆う。
「……なんで……だよ」
家を出てから自分で処理したりはしていない。もともと、スイはあまりそういう欲が強いほうではなかったし、仕事の忙しさや、気苦労でそんな気にもなれなかった。なれなかったのに、アキとの行為を思い出しただけで、こんなふうになってしまった。それが、ひどく恥ずかしい。
「くそ」
悪態をつくけれど、高まった身体は簡単に収まってくれない。ふと、視線を移すと、また、スマートフォンのアキからのメッセージが視界に入った。さっき見たメッセージの続きだ。シロに対する、おそらくは牽制。だから、過激な言葉が並ぶ。
『スイさんの好きなところ
たくさん触ってあげる』
『俺しか入れない一番奥まで入らせて』
『照れた顔も可愛いけど
蕩けた顔早く見たい』
悪戯だとはわかっていたし、普段のアキはこんなセクハラまがいのことはしない。けれど、その後、結局全部その通りになってしまったことを、スイは知っている。知っているから、性質が悪い。思い出すと、熱を収めるどころかさらに高ぶってしまう。隠したくて抑えた自分自身の両掌ですら、刺激になって思わずため息が漏れた。
「……ごめん。アキ」
このままにはしておけない。帰って来たとは言え、まだ、仕事は残っている。しなければいけないことは山積みだ。だから、静めるためには仕方ない。そう、自分に言い聞かせる。それが、言い訳だとはわかっていたけれど、集まってくる熱にこらえきれなくなってしまっていた。
「ん」
ボトムの前を寛げて、手を差し入れる。触れるとソコはもう随分と固くなっていた。ゆっくりと、指を絡めて上下させる。あまり自慰の経験のないスイはどうすればいいのかよくわからなかった。だから、アキの手を思い出すしかなかった。
アキがしてくれるように、片手で先端を包み込むように刺激しながら、もう片方の手で陰茎を扱く。上手くできなくてすごくもどかしい。
「……や。あ……アキ……」
名前を呼ぶと、涙が溢れそうになった。
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