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Internally Flawless
04 同僚 04
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「そんなことないです!!」
そうすると、ルイが何故か切れたように大声で言った。予備動作もなく突然声が上がる。その声に、一緒のテーブルにいるメンバー以外の視線もスイたちの方に集中した。
「み……翠の髪も、瞳も、すごく綺麗です。レイより綺麗なくらいだ」
ルイはどもりながら、呟くように言う。さっきの大声とは打って変わって消え入りそうな声だ。それから、またちらり。と、窺うようにスイの顔を見て目を伏せてしまう。ちょっと、かなり気持ち悪い。ここのところ髪や目の色を褒められるのが全部気持ち悪いのだが、ここに極まった感じだ。
「レイのあれはな」
といって、タイガはふん。と鼻で笑った。いかにも、馬鹿にしていますと言った顔だ。何か因縁でもあるんだろうかと思う。
「禁止薬物使ってるって噂だよ?」
その言葉にスイは思わず反応しそうになって、自分を抑え込んだ。
「えー。それ、ネットのデマでしょ?」
マリが軽く受けながす。
かつて、『遺伝子改編薬』と呼ばれる薬が存在した。すでに存在している人間の一部を投薬によって遺伝子を改編させ、使用者が望む形質や能力に変化させるという薬物だ。激烈を極める副作用のために製造販売使用が禁止になっている薬物。けれど、闇ルートでは今も研究製造販売が行わている。
ただ、副作用は良くても死。悪ければ酷い後遺症を残して死ぬこともできず、羞恥と苦痛にさいなまれて生きなければならない。そんなリスクを冒してまで、たかが外観上の特徴を変えたいものなど存在するんだろうか。
そんなスイの疑問はともかく、ネット上には各分野の天才や容姿の美しさをもつものがこの薬を使っているとの噂が絶えることはなかった。
「まあね。確かに噂だよ。でも、俺もあんなマネキンみたいなコより、スイさんの方が綺麗だと思うな」
うっとりとした目で髪や瞳を見つめられて、不快感をもう少しで表情に出してしまいそうだった。
「や。どこからどう見ても、あのモデルさんの方が綺麗でしょ? 綺麗な人見すぎて、感覚おかしくなってるって」
スイの言葉に、タイガはスイの全身を上から下まで眺めた。もう、その視線も気持ち悪いとしか思えない。なんだか、途端に視線にキモオヤジ色が混入されて、ぞ。と、寒気が走った。
「いやあ。かなりの『完成度』だと思うけど? モデルとは別の意味で」
相手がテーブルの向こうでよかった。そうでなかったら、一発殴っていたかもしれない。いや、むしろ、近づいてくる指先をナイフでテーブルに縫い付けていたかもしれない。
「やめろよ!!」
しかし、スイが何かをする前に、突然、タイガの隣に座っていたルイが怒鳴って、肩を掴んだ。
「なんだよ。お前。お前だって……」
その手を払いのけて、タイガが言う。視線がぶつかり合う。仲がよさそうなのはやはり表面だけだったのだろうか。
「ほらほら、やめなさいよ。二人とも、雰囲気壊さない!」
けらけらと笑ってマリが言った。そのあまりにのんきな雰囲気に毒気を抜かれたように、二人はお互いにそっぽを向いて黙り込む。
「ごめんねえ。スイ君。感じ悪くしちゃって。ええっと、そう言えばスイ君は派遣だったよね? こういう現場初めて?」
彼女の明るい態度はもしかしたら、気を使っているのかもしれない。
そうすると、ルイが何故か切れたように大声で言った。予備動作もなく突然声が上がる。その声に、一緒のテーブルにいるメンバー以外の視線もスイたちの方に集中した。
「み……翠の髪も、瞳も、すごく綺麗です。レイより綺麗なくらいだ」
ルイはどもりながら、呟くように言う。さっきの大声とは打って変わって消え入りそうな声だ。それから、またちらり。と、窺うようにスイの顔を見て目を伏せてしまう。ちょっと、かなり気持ち悪い。ここのところ髪や目の色を褒められるのが全部気持ち悪いのだが、ここに極まった感じだ。
「レイのあれはな」
といって、タイガはふん。と鼻で笑った。いかにも、馬鹿にしていますと言った顔だ。何か因縁でもあるんだろうかと思う。
「禁止薬物使ってるって噂だよ?」
その言葉にスイは思わず反応しそうになって、自分を抑え込んだ。
「えー。それ、ネットのデマでしょ?」
マリが軽く受けながす。
かつて、『遺伝子改編薬』と呼ばれる薬が存在した。すでに存在している人間の一部を投薬によって遺伝子を改編させ、使用者が望む形質や能力に変化させるという薬物だ。激烈を極める副作用のために製造販売使用が禁止になっている薬物。けれど、闇ルートでは今も研究製造販売が行わている。
ただ、副作用は良くても死。悪ければ酷い後遺症を残して死ぬこともできず、羞恥と苦痛にさいなまれて生きなければならない。そんなリスクを冒してまで、たかが外観上の特徴を変えたいものなど存在するんだろうか。
そんなスイの疑問はともかく、ネット上には各分野の天才や容姿の美しさをもつものがこの薬を使っているとの噂が絶えることはなかった。
「まあね。確かに噂だよ。でも、俺もあんなマネキンみたいなコより、スイさんの方が綺麗だと思うな」
うっとりとした目で髪や瞳を見つめられて、不快感をもう少しで表情に出してしまいそうだった。
「や。どこからどう見ても、あのモデルさんの方が綺麗でしょ? 綺麗な人見すぎて、感覚おかしくなってるって」
スイの言葉に、タイガはスイの全身を上から下まで眺めた。もう、その視線も気持ち悪いとしか思えない。なんだか、途端に視線にキモオヤジ色が混入されて、ぞ。と、寒気が走った。
「いやあ。かなりの『完成度』だと思うけど? モデルとは別の意味で」
相手がテーブルの向こうでよかった。そうでなかったら、一発殴っていたかもしれない。いや、むしろ、近づいてくる指先をナイフでテーブルに縫い付けていたかもしれない。
「やめろよ!!」
しかし、スイが何かをする前に、突然、タイガの隣に座っていたルイが怒鳴って、肩を掴んだ。
「なんだよ。お前。お前だって……」
その手を払いのけて、タイガが言う。視線がぶつかり合う。仲がよさそうなのはやはり表面だけだったのだろうか。
「ほらほら、やめなさいよ。二人とも、雰囲気壊さない!」
けらけらと笑ってマリが言った。そのあまりにのんきな雰囲気に毒気を抜かれたように、二人はお互いにそっぽを向いて黙り込む。
「ごめんねえ。スイ君。感じ悪くしちゃって。ええっと、そう言えばスイ君は派遣だったよね? こういう現場初めて?」
彼女の明るい態度はもしかしたら、気を使っているのかもしれない。
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