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L's rule. Side Akiha.
三人で幸せになるための恋人ルール 4
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「……アキ君てさ。いかにも、女の子にモテそうだよな」
アキに舐められたあたりに細い指で触れて、まだ頬を赤くしたまま、スイが言う。少し拗ねたような表情だ。
「うん。まあ、モテるよな」
先を越された仕返しか、ユキも言う。
相手を貶めるのはルール以前にダメだろ? と、思うけれど、表情には出さない。出したら負けだ。
「顔、超綺麗だし。女の子にもそんな風にマメだったわけ?」
これは風向きが悪くなってきたぞ。と、アキは思う。スイは表面上、嫉妬しているなんて全く見せてはくれない。自分を下に見るくせがあるから、『嫉妬する資格なんてない』と、本気で思っているふしがある。
けれど、本当は違う。下に見るからこそ、どんな相手でもアキやユキに近付くものは警戒してしまう。
「や。スイさん以外に気なんか使ったことねえし」
だから、フォローのつもりだった。いや。本当に。
「は? 聞きました? 気使わないでもモテモテなんですって」
完全に拗ねた声で、スイがユキに向かって言う。スイの中の地雷を踏んだらしい。
でも、本当に近づいてくる女性に気を使ったことなんてない。仕事のクライアントとかいうなら、気を使わないでもないが、それ以外の相手に気を使う必要性などなかった。まさに、スイのいう通りなのだ。
「まあ、美人は言うことが違うわねえ」
にやにや笑いながら、ユキが答える。
くそう。ユキのヤツ。お前だって特に何もしなくても女の子に囲まれてただろうが。
アキは思う。しかし、それを言っても、スイのご機嫌が回復するだろうか。多分、しないだろう。
だから、アキはスイの椅子の背もたれを持ってぐるんと回転させて自分の方を向かせた。
「わあっ」
バランスを崩してスイがアキの腕に掴まる。
「美人でわるかったな。でも、スイさんそんなとこも好きなんだろ?」
ここぞとばかりにキメ顔を作って、にっこりと笑ってその翡翠色の瞳を覗きこむと、すごく驚いた顔をしてから、スイが顔を真っ赤にさせた。
「俺はスイさん以外どうでもいいんだから、スイさんも他のヤツのことなんて気にしないで、俺だけ見ててよ」
さらに赤くなってしまった顔を見せまいとそっぽを向こうとするのを、両手で頬を挟んで邪魔する。
「だめ。俺だけ見ててっていってるだろ?」
最早これ以上ないというくらいにスイの顔が赤くなっている。
「アキ君は……ずるいよ」
恥ずかしすぎて、それでも顔を逸らせなくて、困って胸にスイが顔をうずめて来る。こうなったら、こっちの勝ちだ。ユキに向かってどやぁ!とほほ笑むと、苦虫をかみつぶしたような顔をされた。
「……誤魔化されたわけじゃないんだからな」
と胸に顔をうずめたまま、スイは言うけれど、最早可愛さしかない。
「わかってるよ? だから、俺がどんくらいスイさんだけに夢中なのかはゆっくり教えてあげるよ」
耳元に囁くと、スイの身体がびくりと揺れた。ものすごく可愛い反応なんだけれど、そろそろやめてやろうかな。と思う。目の前でこれをされているユキがやっぱり可哀そうになるから。自分だったら、強引にでもやめさせるだろう。
ルール4。やりすぎ注意。
アキとユキどちらか一方だけが、もう片方の前であまりスイといちゃいちゃしないこと。
まあ、これは当たり前といえば当たり前なのだが、一人だけ放っておかれて気分がいいはずがない。だから、三人で暮らすためのエチケットとしていちゃいちゃは主に二人きりの時に。
しかし、これは完全にユキのためのルールと化していた。ユキは恋愛初心者で、アキのように意図的に甘い雰囲気に持っていくことが難しい。大好きなスイを取られてお預け食らった犬みたいにしゅんとしているのを見ると、兄としても少し可哀そうになってしまう。
「つーわけで。俺は片付けするから、あとよろしく」
まったく、手のかかる弟だ。と思いながら、自分の方に向かせていたスイを椅子ごとぐるんとユキの方に向かせてやる。
今日の食事の片づけ当番はアキだ。袖をまくりながらキッチンに入る。
アキに舐められたあたりに細い指で触れて、まだ頬を赤くしたまま、スイが言う。少し拗ねたような表情だ。
「うん。まあ、モテるよな」
先を越された仕返しか、ユキも言う。
相手を貶めるのはルール以前にダメだろ? と、思うけれど、表情には出さない。出したら負けだ。
「顔、超綺麗だし。女の子にもそんな風にマメだったわけ?」
これは風向きが悪くなってきたぞ。と、アキは思う。スイは表面上、嫉妬しているなんて全く見せてはくれない。自分を下に見るくせがあるから、『嫉妬する資格なんてない』と、本気で思っているふしがある。
けれど、本当は違う。下に見るからこそ、どんな相手でもアキやユキに近付くものは警戒してしまう。
「や。スイさん以外に気なんか使ったことねえし」
だから、フォローのつもりだった。いや。本当に。
「は? 聞きました? 気使わないでもモテモテなんですって」
完全に拗ねた声で、スイがユキに向かって言う。スイの中の地雷を踏んだらしい。
でも、本当に近づいてくる女性に気を使ったことなんてない。仕事のクライアントとかいうなら、気を使わないでもないが、それ以外の相手に気を使う必要性などなかった。まさに、スイのいう通りなのだ。
「まあ、美人は言うことが違うわねえ」
にやにや笑いながら、ユキが答える。
くそう。ユキのヤツ。お前だって特に何もしなくても女の子に囲まれてただろうが。
アキは思う。しかし、それを言っても、スイのご機嫌が回復するだろうか。多分、しないだろう。
だから、アキはスイの椅子の背もたれを持ってぐるんと回転させて自分の方を向かせた。
「わあっ」
バランスを崩してスイがアキの腕に掴まる。
「美人でわるかったな。でも、スイさんそんなとこも好きなんだろ?」
ここぞとばかりにキメ顔を作って、にっこりと笑ってその翡翠色の瞳を覗きこむと、すごく驚いた顔をしてから、スイが顔を真っ赤にさせた。
「俺はスイさん以外どうでもいいんだから、スイさんも他のヤツのことなんて気にしないで、俺だけ見ててよ」
さらに赤くなってしまった顔を見せまいとそっぽを向こうとするのを、両手で頬を挟んで邪魔する。
「だめ。俺だけ見ててっていってるだろ?」
最早これ以上ないというくらいにスイの顔が赤くなっている。
「アキ君は……ずるいよ」
恥ずかしすぎて、それでも顔を逸らせなくて、困って胸にスイが顔をうずめて来る。こうなったら、こっちの勝ちだ。ユキに向かってどやぁ!とほほ笑むと、苦虫をかみつぶしたような顔をされた。
「……誤魔化されたわけじゃないんだからな」
と胸に顔をうずめたまま、スイは言うけれど、最早可愛さしかない。
「わかってるよ? だから、俺がどんくらいスイさんだけに夢中なのかはゆっくり教えてあげるよ」
耳元に囁くと、スイの身体がびくりと揺れた。ものすごく可愛い反応なんだけれど、そろそろやめてやろうかな。と思う。目の前でこれをされているユキがやっぱり可哀そうになるから。自分だったら、強引にでもやめさせるだろう。
ルール4。やりすぎ注意。
アキとユキどちらか一方だけが、もう片方の前であまりスイといちゃいちゃしないこと。
まあ、これは当たり前といえば当たり前なのだが、一人だけ放っておかれて気分がいいはずがない。だから、三人で暮らすためのエチケットとしていちゃいちゃは主に二人きりの時に。
しかし、これは完全にユキのためのルールと化していた。ユキは恋愛初心者で、アキのように意図的に甘い雰囲気に持っていくことが難しい。大好きなスイを取られてお預け食らった犬みたいにしゅんとしているのを見ると、兄としても少し可哀そうになってしまう。
「つーわけで。俺は片付けするから、あとよろしく」
まったく、手のかかる弟だ。と思いながら、自分の方に向かせていたスイを椅子ごとぐるんとユキの方に向かせてやる。
今日の食事の片づけ当番はアキだ。袖をまくりながらキッチンに入る。
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