遠くて近い世界で

司書Y

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Mission Impossible 2

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「ユキ君?」

 疑問を口にしたのはユキだった。怪訝そうな表情だった。まるで、幼い子供が何故空が青いのかを聞くような顔だったと思う。ユキはスイがきっぱりとどちらかを選ぶと思っていたんだろうか。

「……や。だって。俺なんかが、二人のうちどっちかを選ぶなんて。おこがましいにもほどがあるっていうか」

 多分、スイも二人から見たら困惑していると分かっただろう。アキもユキの質問の意図が分からないという顔でユキを見ていた。

「なんか。とか、言わないでよ。俺たちにとって、スイさんはすごく大事な人だ。低くみないで。
 あれ? あ。や。違う。そういうことじゃなくて、なんで『選ぶ』の?」

「え?」

 ユキの言っている意味が分からずにスイはその顔を見たまま呆けてしまった。

「え? だって、スイさん『二人とも好き』って、言ってくれたじゃん。じゃ、二人とも好きでいてよ」

 ユキはまるで当たり前のように言う。たぶん、当たり前でないことを。

「俺は選ばれるも、選ばれないのもやだよ。スイさんにも、兄貴にもいてほしい。
 ほかのヤツなら絶対にやだけど……兄貴なら……いいかな。三人でいられるし、スイさんにも好きでいてもらえるなら、別にどっちか選ぶことないと思うんだけど」

 いいかな。の、部分でユキは納得しきれていない顔を隠しはしなかった。おそらく、よくはないだろう。それでも、三人でいたいと思う気持ちが強かったのだと思う。スイがそうであるように、その時間が大切だと思ってくれていたのは嬉しい。けれど、戸惑わずにはいられない。

「……ええ? や。それは」

 困惑して助けを求めるようにアキを見る。きっと、アキは否定するだろう。そんな都合のいい話を納得するはずがない。

「確かにそうかもな」

「は?」

 アキの呟きにスイは思わずスイは間の抜けた声を上げてしまった。アキの表情は『目から鱗』と、物語っている。

「俺だって、スイさんにほかのヤツ……好きとか言われるのはごめんだ。でも、まあ、ユキは。俺にとっては俺の一部みたいなもんだからな」

 ユキの頭をくしゃ。と、撫でてアキは続けた。兄弟。というよりも、まるで、親が子を見るような目だと思う。

「それに俺も。スイさんもユキもなくしたくない」

 アキの笑顔はどこか吹っ切れたようだった。

「いや。待って。でも……」

 けれど、スイだけが納得できないでいた。
 アキとユキは一人ずつでも自分にはもったいない男だとスイは思う。
 この際、同性だということは障害にはならないかもしれないけれど、それを抜きにしても釣り合いがとれていると思えない。
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