遠くて近い世界で

司書Y

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6-3

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「それにしても。スイさん、入院しなかったのか? 大丈夫なわけ?」

 これ以上考えていると、怖い答えに至ってしまいそうで、アキは話題を変えた。
 アキの傷は命に別条のあるようなものではなかった。出血は多かったから入院ということになったが、弾は抜けていて、内臓にも損傷がなかったため、数週間で退院できるそうだ。

「んん……」

 スイが曖昧に答える。
 アキに対してスイの怪我は少し深刻だ。顔はともかく、肩の傷は銃創なので縫合もできない。肋骨は3本。ユキの話によると、動き回ると肺に刺さるよ。と医者に忠告されたらしいが、それでも痛み止めだけもらって帰ったそうだ。

「病院……嫌いだから」

 子供か。
 と、喉元まで出かけた突っ込みを、アキは飲みこんだ。ただ駄々を捏ねているという表情ではなかったから。スイにこんな表情をさせる何かが過去にあったというのだろう。
 それを知らないでいられる自分がもどかしい。こんな表情を彼にさせる何かがひどく腹立たしく感じられた。
 素直に、スイのことをもっと知りたいと思う。

「スイさん。あのさ……」
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