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月夕に落ちる雨の名は
幕間 三食昼寝溺愛付き 前編 4
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いつの間にか、鈴の部屋まで移動していたことに、菫は気付いていなかった。鈴がずっと耳元で、名前を呼んだり、かわいいとか。好きだとか。囁いているから、顔を上げることもできなかったからだ。
だから、ベッドの上に優しく下ろされてはじめて、そこが鈴の部屋だと気付いた。
「あ」
身体を受け止めた柔らかな感触に菫は思わず声を漏らした。
「怪我したところ。痛かったら、言ってくださいね?」
触れているのか、いないのか、分からないくらい優しく包帯の上から傷に触れて、そこに優しくキスをして、鈴が言う。
「……ん」
痛かったとしても、多分言えない。言いたくない。言ったら、きっと、鈴はやめてしまう。
やめてほしくないから、言わない。
菫は思う。
今日は、絶対に、したい。
全部、鈴でいっぱいになりたい。
「菫さん。好きです。ずっと、触れたかった」
する。と、その手が頬を撫でる。それだけで、声が漏れそうになって、きゅ。と、唇を噛む。
菫だって、ずっと、触れてほしかった。
「ああ……本物の菫さんだ」
ため息のような声を漏らして、鈴の手が、頬から首筋へ。服の上から鎖骨を撫でて、胸元に下がっていく。反対にぞくぞく。と、堪えきれない何かが背筋を這い上るのを感じて、菫は、思わず口を押えた。
「……ど。したの?」
鈴の声が耳元に囁く。そのまま甘くそこを噛まれて、菫はふるふる。首を振る。
噓みたいだ。
たったこれだけのことで、もう、身体は反応し始めている。
「するの。いや?」
服の上から身体を弄っていた手が止まる。鈴の心配そうな顔がじっと見ていた。
「……ちが……」
だから、菫は口から手を離して、首を振った。
「……反対……。ごめん。俺。おかしい。……ちょっとさわった……だけなのに。……きもち……い」
鈴を不安な気持ちにさせたくなくて、菫は素直な気持ちを口にした。けれど、それがあまりに恥ずかしい言葉だと気付いて、菫の言葉は途中で途切れて消えた。
「なに? それ」
驚いた顔をして鈴が固まる。引かれたのだと、後悔する前に、鈴の両手が菫の頬を挟んで顔を上げられた。
「そんな。煽って……どうなっても、知らないよ?」
そのまま、唇を塞がれる。噛みつくような激しいキスだった。
すぐに鈴の舌が口内に侵入してきて、驚いて逃げる菫の舌を絡めとる。舌の付け根を、上顎を、鈴の舌が思うさま嬲る。まるで、頭の中を掻き回されているようだ。唾液の絡み合う水音が遠く聞こえる。
「んんんっ」
息をすることも忘れて、鈴の味を確かめる。
ふと。太腿に固い感触を感じて、菫を身を強張らせた。
勃ってる。
と、気付く。
もちろん、菫だってもう、充分に反応しているけれど、鈴のそれがあんまり強く主張しているから、同じ気持ちなのだと気付いて、余計に愛おしく思えた。
「……はぁっ」
長い、長いキスから、解放されて菫は大きく息を吐く。
「鈴ぅ」
名前を呼んだ声は自分でも驚くほどに甘ったるかった。まるで、子猫が鳴いているようだ。
「おかしくない。もっと、俺に夢中になって?」
鈴の甘い甘い囁きに、全部許されて、菫は、こくり。と、頷いた。
だから、ベッドの上に優しく下ろされてはじめて、そこが鈴の部屋だと気付いた。
「あ」
身体を受け止めた柔らかな感触に菫は思わず声を漏らした。
「怪我したところ。痛かったら、言ってくださいね?」
触れているのか、いないのか、分からないくらい優しく包帯の上から傷に触れて、そこに優しくキスをして、鈴が言う。
「……ん」
痛かったとしても、多分言えない。言いたくない。言ったら、きっと、鈴はやめてしまう。
やめてほしくないから、言わない。
菫は思う。
今日は、絶対に、したい。
全部、鈴でいっぱいになりたい。
「菫さん。好きです。ずっと、触れたかった」
する。と、その手が頬を撫でる。それだけで、声が漏れそうになって、きゅ。と、唇を噛む。
菫だって、ずっと、触れてほしかった。
「ああ……本物の菫さんだ」
ため息のような声を漏らして、鈴の手が、頬から首筋へ。服の上から鎖骨を撫でて、胸元に下がっていく。反対にぞくぞく。と、堪えきれない何かが背筋を這い上るのを感じて、菫は、思わず口を押えた。
「……ど。したの?」
鈴の声が耳元に囁く。そのまま甘くそこを噛まれて、菫はふるふる。首を振る。
噓みたいだ。
たったこれだけのことで、もう、身体は反応し始めている。
「するの。いや?」
服の上から身体を弄っていた手が止まる。鈴の心配そうな顔がじっと見ていた。
「……ちが……」
だから、菫は口から手を離して、首を振った。
「……反対……。ごめん。俺。おかしい。……ちょっとさわった……だけなのに。……きもち……い」
鈴を不安な気持ちにさせたくなくて、菫は素直な気持ちを口にした。けれど、それがあまりに恥ずかしい言葉だと気付いて、菫の言葉は途中で途切れて消えた。
「なに? それ」
驚いた顔をして鈴が固まる。引かれたのだと、後悔する前に、鈴の両手が菫の頬を挟んで顔を上げられた。
「そんな。煽って……どうなっても、知らないよ?」
そのまま、唇を塞がれる。噛みつくような激しいキスだった。
すぐに鈴の舌が口内に侵入してきて、驚いて逃げる菫の舌を絡めとる。舌の付け根を、上顎を、鈴の舌が思うさま嬲る。まるで、頭の中を掻き回されているようだ。唾液の絡み合う水音が遠く聞こえる。
「んんんっ」
息をすることも忘れて、鈴の味を確かめる。
ふと。太腿に固い感触を感じて、菫を身を強張らせた。
勃ってる。
と、気付く。
もちろん、菫だってもう、充分に反応しているけれど、鈴のそれがあんまり強く主張しているから、同じ気持ちなのだと気付いて、余計に愛おしく思えた。
「……はぁっ」
長い、長いキスから、解放されて菫は大きく息を吐く。
「鈴ぅ」
名前を呼んだ声は自分でも驚くほどに甘ったるかった。まるで、子猫が鳴いているようだ。
「おかしくない。もっと、俺に夢中になって?」
鈴の甘い甘い囁きに、全部許されて、菫は、こくり。と、頷いた。
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