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錨草と紫苑
7 その名を知っている 4
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夢を見た。
月の光が僅かに射し込む、松の林だ。林の切れた先は見えない。終りは曖昧に霞んでいる。その中に埋もれるように細い道が続いていていた。
指一本動かせない。酷い痛みが身体を支配して、死んでしまったほうがマシだと思う。
けれど、視界は細い道を進んでいた。誰かに抱えられているのだと、頭の片隅で思う。その誰かが触れている場所だけが、温かい。
けれど、その人の顔は見えなかった。
進んでいく視界の向こうに、建物が見える。赤い……柱。
頬に何かが落ちてきた。
月は輝っているのに、雨だろうか。
雨雲がないのに、降る雨。それが何というのか、知っている。
だから、理解した。
最期に伝えたいことがある。
そうして、口を開いた。
月の光が僅かに射し込む、松の林だ。林の切れた先は見えない。終りは曖昧に霞んでいる。その中に埋もれるように細い道が続いていていた。
指一本動かせない。酷い痛みが身体を支配して、死んでしまったほうがマシだと思う。
けれど、視界は細い道を進んでいた。誰かに抱えられているのだと、頭の片隅で思う。その誰かが触れている場所だけが、温かい。
けれど、その人の顔は見えなかった。
進んでいく視界の向こうに、建物が見える。赤い……柱。
頬に何かが落ちてきた。
月は輝っているのに、雨だろうか。
雨雲がないのに、降る雨。それが何というのか、知っている。
だから、理解した。
最期に伝えたいことがある。
そうして、口を開いた。
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