205 / 392
夏夜
じゃ、、見ていて? 1
しおりを挟む
もう、どのくらいそうしていたか、菫には分からなくなっていた。時間の感覚はなくなっている。けれど、多分、日付は変わっているだろう。
「……は……あ。ん。や……ぁ」
声は完全に掠れていた。
くちゅり。と、音を立てるそこにはもう、快感以外は何もない。
「す……ず。も……う」
もちろん、最初からそうだったわけではない。風呂場で準備はしたものの、想定外のサイズ感だった鈴を受け入れるには当然足りなくて、鈴に言われるまま、鈴の手で続きをされることになってしまった。貧相な男の身体を見せるのは嫌だったけれど、もう絶対に待てないから自分に解させて。と、懇願するように言われて、やっぱりだめと言えずに足を開く羽目になった。ゴムも、ローションも完備されていた時には一瞬、あらぬ疑惑が頭をかすめたけれど、『菫さんとするために用意したんです』と、必死で弁明している鈴が嘘をついているとは思えないから、もう、全部まるっと信じることにした。
「……だ……めだてぇ。あっ。そこ。やぁ」
けれど、そんなことを気にしていられたのはほんの数分のことだった。
「あっあん。や……っ。すず……っ」
ぐり。と、鈴の指先がまた、ソコを擦り上げる。同時に、今日まで感じたことのなかった痺れが、下腹部から駆け上がって脳の奥に刺さった。
「やだっ。や……あっ」
必死で首を横に振る。そうでもしないと、集まってくる熱を抑えきれない。
自分でしていた時にはこんなふうになることはなかった。ネットで調べた通りにしても全然気持ちよくはなくて、こういうのは才能とか必要なのだと思っていた。
「本当に、いや?」
鈴の、甘い、甘い声。耳まで感じるようになってしまって、菫はびくり。と、身体を竦める。もちろん、耳だけではない。
「……や……じゃ……ない。けど……」
押し殺した喘ぎの隙間に、菫は言った。
「鈴。ずる……い。あっ……や。なんで……そん、あ……うまい……んっだよぉ」
あんなに練習しても快感なんて殆どなかったのに、鈴の指がほんの少し触れただけで、身体中が悦んでいるのが菫にもはっきりとわかる。きっと、声なんて殺そうとしても鈴にはわかってしまっている。気持ちが良くて堪らないこと。
でも、それが何だか悔しくて、菫は、き。と、弱弱しく鈴を睨んだ。
「ふぁ……ん。おとこ……はじめてなんて。……うそ……だ」
鈴のことを疑っているわけではない。けど、きっと、男はともかく、女性経験は豊富なんだろう。よくは分からないけれど、相手の雰囲気とか、表情とか、反応を見るのが上手いんだ。
と、思うと、悔しい。と、いうか、切ない。
「……は……あ。ん。や……ぁ」
声は完全に掠れていた。
くちゅり。と、音を立てるそこにはもう、快感以外は何もない。
「す……ず。も……う」
もちろん、最初からそうだったわけではない。風呂場で準備はしたものの、想定外のサイズ感だった鈴を受け入れるには当然足りなくて、鈴に言われるまま、鈴の手で続きをされることになってしまった。貧相な男の身体を見せるのは嫌だったけれど、もう絶対に待てないから自分に解させて。と、懇願するように言われて、やっぱりだめと言えずに足を開く羽目になった。ゴムも、ローションも完備されていた時には一瞬、あらぬ疑惑が頭をかすめたけれど、『菫さんとするために用意したんです』と、必死で弁明している鈴が嘘をついているとは思えないから、もう、全部まるっと信じることにした。
「……だ……めだてぇ。あっ。そこ。やぁ」
けれど、そんなことを気にしていられたのはほんの数分のことだった。
「あっあん。や……っ。すず……っ」
ぐり。と、鈴の指先がまた、ソコを擦り上げる。同時に、今日まで感じたことのなかった痺れが、下腹部から駆け上がって脳の奥に刺さった。
「やだっ。や……あっ」
必死で首を横に振る。そうでもしないと、集まってくる熱を抑えきれない。
自分でしていた時にはこんなふうになることはなかった。ネットで調べた通りにしても全然気持ちよくはなくて、こういうのは才能とか必要なのだと思っていた。
「本当に、いや?」
鈴の、甘い、甘い声。耳まで感じるようになってしまって、菫はびくり。と、身体を竦める。もちろん、耳だけではない。
「……や……じゃ……ない。けど……」
押し殺した喘ぎの隙間に、菫は言った。
「鈴。ずる……い。あっ……や。なんで……そん、あ……うまい……んっだよぉ」
あんなに練習しても快感なんて殆どなかったのに、鈴の指がほんの少し触れただけで、身体中が悦んでいるのが菫にもはっきりとわかる。きっと、声なんて殺そうとしても鈴にはわかってしまっている。気持ちが良くて堪らないこと。
でも、それが何だか悔しくて、菫は、き。と、弱弱しく鈴を睨んだ。
「ふぁ……ん。おとこ……はじめてなんて。……うそ……だ」
鈴のことを疑っているわけではない。けど、きっと、男はともかく、女性経験は豊富なんだろう。よくは分からないけれど、相手の雰囲気とか、表情とか、反応を見るのが上手いんだ。
と、思うと、悔しい。と、いうか、切ない。
0
お気に入りに追加
30
あなたにおすすめの小説

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

見ぃつけた。
茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは…
他サイトにも公開しています

淫愛家族
箕田 はる
BL
婿養子として篠山家で生活している睦紀は、結婚一年目にして妻との不仲を悩んでいた。
事あるごとに身の丈に合わない結婚かもしれないと考える睦紀だったが、以前から親交があった義父の俊政と義兄の春馬とは良好な関係を築いていた。
二人から向けられる優しさは心地よく、迷惑をかけたくないという思いから、睦紀は妻と向き合うことを決意する。
だが、同僚から渡された風俗店のカードを返し忘れてしまったことで、正しい三人の関係性が次第に壊れていく――

ハイスペックED~元凶の貧乏大学生と同居生活~
みきち@書籍発売中!
BL
イケメン投資家(24)が、学生時代に初恋拗らせてEDになり、元凶の貧乏大学生(19)と同居する話。
成り行きで添い寝してたらとんでも関係になっちゃう、コメディ風+お料理要素あり♪
イケメン投資家(高見)×貧乏大学生(主人公:凛)

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる