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夏夜
きみがすきだ 1
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別にネットなんて調べなくても、男性同士でいわゆる『そういうこと』をどうやってするかは、今時中学生だって、おおよそ知っている。けれど、それはあくまで『おおよそ』であって、実際のところ、知っているつもりになっていただけなのだと、気付いたのは本気で調べてみた後だった。
多分、自分が受け入れる側になることは最初から覚悟していた。そもそも、教科書代わりのゲイビを見ても、ネコ側を鈴で想像することなんてできなかった。といっても、自分がネコ男優みたいな声で啼くことだつて、想像できなかったのが事実だ。
けれど、鈴が好きになってくれただけで奇跡みたいなものだから、ちっさい自分のプライドなどこの際どうでもいいと思えてしまった。結局は、惚れたもんが負けなのだ。
鈴に言った『練習』をするのにも、最初は勇気が必要だった。当たり前のことだけれど、そこは出すところで入れるところではない。入れた経験は小学校に上がる前の熱冷ましの座薬以来だ。家族に不審視されながら、風呂場で覚悟を決めるまでに数日。埒が明かないと焦って、恐る恐る洗ったり、突っ込んだり、解したり、探ったりしてはみた。けれど、丁寧にすれば痛みは我慢できる程度だったけれど、あるのは違和感ばかりで、動画みたいに気持ちよくなれるとは思えなかった。
演技過多じゃない? と、思う。実際、回数を重ねて、広がるようにはなったけれど、殆どストレッチ状態で萎える。けれど、時間もないし、多分、タチの方は本当に気持ちいいんだろうと割り切ることにした。この際だから、鈴が気持ちいいと思ってくれればいいし、菫は鈴ともっと深く繋がれたらそれでいいと、思った。
と。過去の回想に浸っているうちに、何とか準備を終えて、菫はバスルームを出た。もちろん、着替えなんてもってきてはいない。それどころか、肩にかけていたトートバッグすら林の中に落としてきたらしい。
急に猫にされたから。菫は思う。
その後で、『これから、もいちど、ネコになるんだけどね』と、独り言が思わず口から零れる。さらにその後、あ。これ、オヤジギャグだ。と、もの悲しくなった。
自分が思っているよりもずっと、菫はこの状況に動揺しているようだった。なぜなら、そのトートバッグの中に今日のために用意した『必要なもの』も入れてあったから。それを察したのか分からないけれど、鈴は菫が準備している間に、社のところまでバッグを探しに行ってくれている。『一緒に行く』と、いうと、鈴は笑顔で『あいつらにまた会って、邪魔されたら、俺、本気で消しますよ』と言うので、最早何を? とも聞けず、探しに行ってもらうことにした。だって、鈴の目は全く笑っていなかった。
そんなこんなで、焦る気持ちを抑えながらも、何とか準備は終わらせた。
鈴が用意しておいてくれたTシャツとハーフパンツはやっぱりというか、すごく大きかった。鏡に映った自分は、まるで大人の服を着ている子供のようだった。
鈴の匂いがする。
抱きしめられているみたいで、どきどきする。
多分、自分が受け入れる側になることは最初から覚悟していた。そもそも、教科書代わりのゲイビを見ても、ネコ側を鈴で想像することなんてできなかった。といっても、自分がネコ男優みたいな声で啼くことだつて、想像できなかったのが事実だ。
けれど、鈴が好きになってくれただけで奇跡みたいなものだから、ちっさい自分のプライドなどこの際どうでもいいと思えてしまった。結局は、惚れたもんが負けなのだ。
鈴に言った『練習』をするのにも、最初は勇気が必要だった。当たり前のことだけれど、そこは出すところで入れるところではない。入れた経験は小学校に上がる前の熱冷ましの座薬以来だ。家族に不審視されながら、風呂場で覚悟を決めるまでに数日。埒が明かないと焦って、恐る恐る洗ったり、突っ込んだり、解したり、探ったりしてはみた。けれど、丁寧にすれば痛みは我慢できる程度だったけれど、あるのは違和感ばかりで、動画みたいに気持ちよくなれるとは思えなかった。
演技過多じゃない? と、思う。実際、回数を重ねて、広がるようにはなったけれど、殆どストレッチ状態で萎える。けれど、時間もないし、多分、タチの方は本当に気持ちいいんだろうと割り切ることにした。この際だから、鈴が気持ちいいと思ってくれればいいし、菫は鈴ともっと深く繋がれたらそれでいいと、思った。
と。過去の回想に浸っているうちに、何とか準備を終えて、菫はバスルームを出た。もちろん、着替えなんてもってきてはいない。それどころか、肩にかけていたトートバッグすら林の中に落としてきたらしい。
急に猫にされたから。菫は思う。
その後で、『これから、もいちど、ネコになるんだけどね』と、独り言が思わず口から零れる。さらにその後、あ。これ、オヤジギャグだ。と、もの悲しくなった。
自分が思っているよりもずっと、菫はこの状況に動揺しているようだった。なぜなら、そのトートバッグの中に今日のために用意した『必要なもの』も入れてあったから。それを察したのか分からないけれど、鈴は菫が準備している間に、社のところまでバッグを探しに行ってくれている。『一緒に行く』と、いうと、鈴は笑顔で『あいつらにまた会って、邪魔されたら、俺、本気で消しますよ』と言うので、最早何を? とも聞けず、探しに行ってもらうことにした。だって、鈴の目は全く笑っていなかった。
そんなこんなで、焦る気持ちを抑えながらも、何とか準備は終わらせた。
鈴が用意しておいてくれたTシャツとハーフパンツはやっぱりというか、すごく大きかった。鏡に映った自分は、まるで大人の服を着ている子供のようだった。
鈴の匂いがする。
抱きしめられているみたいで、どきどきする。
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