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はなびら
08-2
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強い衝撃。翡翠の自身の体重で最奥まで突き刺さった。悲鳴のような声が口から迸って、目の前で光が点滅を繰り返す。
「……あ。……あっ」
はくはく。と、唇が動くけれど、息ができない。
「……っ」
一青も、一瞬、言葉を失っていた。種類は違っても、快感に捕らわれているのだということは分かる。
「……っん……」
ほんのわずかに身体を動かそうとするだけで、脳天に快楽が突き刺さるようだ。動くことができなくなって、翡翠の目から涙が零れた。
「翡翠」
一青の声。まるで、耳の奥まで愛撫されているようだ。一青の声だけでイけそうなくらいに気持ちがいい。
「だいじょうぶ? 息。して?」
背中をするり。と、撫でられて、翡翠は息をしていなかったことに気付いた。けれど、息を吸っただけで奥の奥に押し付けたままのものがいい場所にあたる。
「……は……ぁあ」
呼吸すらうまくできなくて、翡翠は無意識に首を振った。それすらまた、違う快楽を連れてきてしまって、翡翠は混乱で動けなくなってしまった。
「……翡翠。大丈夫だから。ちゃんと、息して?」
身体を包み込むように抱いて、一青が囁く。優しい声。
促されるままに息を吸い込むと、また、痺れるような快感がやってきたけれど、一青が抱きしめてくれているから、その腕に身体を預けて、身を任せた。
「ありがと。約束守ってくれて」
一青の言葉がふわふわ。と、風に舞う綿毛のように聞こえてくる。けれど、上手く理解できなかった。
「……でも。ごめ……おれ……うまくできな……っ」
ただ、快楽の熱に浮かされた頭で、思いつく程度の言葉は酷く幼く、舌足らずな言葉も相まって、甘えているようにしか聞こえなかった。
「何言ってるんだよ。上手にできてたよ」
ちゅ。と、一青の唇が瞼に触れる。それから、頬に、鼻先に。最後に一青は優しくその唇にキスをした。
「一生懸命な翡翠。めちゃくちゃ可愛いかったよ。だから、ここからは俺にさせて?」
唇が離れると、一青は翡翠の瞳を覗き込んで言う。
逆らえない。逆らいたくない。
そんな力がある言葉。
だから、翡翠は、こくり。と、頷いた。
「ありがと」
もう一度、ちゅ。と、一青の唇が翡翠のそれに重なる。
「ちゃんと。掴まってて?」
その言葉と、激しい抽挿が始まるのは同時だった。
「……あ。……あっ」
はくはく。と、唇が動くけれど、息ができない。
「……っ」
一青も、一瞬、言葉を失っていた。種類は違っても、快感に捕らわれているのだということは分かる。
「……っん……」
ほんのわずかに身体を動かそうとするだけで、脳天に快楽が突き刺さるようだ。動くことができなくなって、翡翠の目から涙が零れた。
「翡翠」
一青の声。まるで、耳の奥まで愛撫されているようだ。一青の声だけでイけそうなくらいに気持ちがいい。
「だいじょうぶ? 息。して?」
背中をするり。と、撫でられて、翡翠は息をしていなかったことに気付いた。けれど、息を吸っただけで奥の奥に押し付けたままのものがいい場所にあたる。
「……は……ぁあ」
呼吸すらうまくできなくて、翡翠は無意識に首を振った。それすらまた、違う快楽を連れてきてしまって、翡翠は混乱で動けなくなってしまった。
「……翡翠。大丈夫だから。ちゃんと、息して?」
身体を包み込むように抱いて、一青が囁く。優しい声。
促されるままに息を吸い込むと、また、痺れるような快感がやってきたけれど、一青が抱きしめてくれているから、その腕に身体を預けて、身を任せた。
「ありがと。約束守ってくれて」
一青の言葉がふわふわ。と、風に舞う綿毛のように聞こえてくる。けれど、上手く理解できなかった。
「……でも。ごめ……おれ……うまくできな……っ」
ただ、快楽の熱に浮かされた頭で、思いつく程度の言葉は酷く幼く、舌足らずな言葉も相まって、甘えているようにしか聞こえなかった。
「何言ってるんだよ。上手にできてたよ」
ちゅ。と、一青の唇が瞼に触れる。それから、頬に、鼻先に。最後に一青は優しくその唇にキスをした。
「一生懸命な翡翠。めちゃくちゃ可愛いかったよ。だから、ここからは俺にさせて?」
唇が離れると、一青は翡翠の瞳を覗き込んで言う。
逆らえない。逆らいたくない。
そんな力がある言葉。
だから、翡翠は、こくり。と、頷いた。
「ありがと」
もう一度、ちゅ。と、一青の唇が翡翠のそれに重なる。
「ちゃんと。掴まってて?」
その言葉と、激しい抽挿が始まるのは同時だった。
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