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短編集 【L'Oiseau bleu】
遠きに在るものでなく、直ぐ其処の日常に 12
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「……あ……ぁあ」
それだけで、軽く眩暈がするくらいの何かがその場所から頭の天辺まで駆け抜けた。と、同時に立ち上がり切っていた翡翠の前からは、とぷ。と、白濁したものが溢れ出した。
「……や……ぁ……ア」
一瞬置いてから、それが快感なのだと気付く。無意識に一青のソレに快感を促すように翡翠の中が収縮して、うねる。眉を寄せて、くぐもった声を漏らして、一青はそれに耐えているようだった。
ほんの少し入っただけで達してしまうなんてはじめての経験だったから、それが、快楽なのだと気付くまでに時間がかかってしまった。そして、気付いてしまったら、それだけで動けなくなってしまった。
「……ぁ……ん」
ぎゅ。と、両手で一青の首にしがみついて身体を支える。太腿ががくがくと震えて、力が入らなくなってくる。けれど、足の力を抜いてしまったら、一青を深くまで受け入れてしまったらと想像するのが怖い。
「翡翠」
痙攣するように身体を震わせ、一青に抱きついている翡翠の耳元に一青が囁いた。する。と、その手が背中を撫でる。
「ちゃんと、息、して?」
言われて気付いた。上手く息ができない。
ただ、はくはく。と、唇だけが動いた。
「ほら。俺の呼吸に合わせて。大丈夫だから」
とん。とん。と、呼吸のスピードで一青の手が背中を叩く。耳を澄ませば、少し荒い。けれど、確かな一青の呼吸音が聞こえてきて、それに集中すると少しだけ息をするのが楽になった。
「挿れただけで、イったの?」
耳元の囁きは続く。意地悪をするような響きではなかった。純粋に驚いているようだったから、翡翠はこくこく。と、何度も頷く。
「可愛い……たまんないな。けど、このままじゃ辛いんだけど。ね。動いていい?」
状況はさっきと何も変わっていない。まだ、足は震えていて、いつ力が抜けてしまうか分からない。息をするだけで、身体は無意識に一青のソレを締め付けてしまう。
気持ちいい。ほんの先端を受け入れただけでこんなふうになってしまったのだ。もし、このまま一番深い場所まで一青を迎え入れてしまったとしたら、おかしくなってしまいそうだ。
怖い。けれど、少しだけの期待。
「……だ……め。今……ダメ」
結局、怖いという思いが勝って、翡翠は首を横に振った。
「ごめん。無理」
と、一青の言葉と同時に衝撃に近い感覚が脳髄に突き刺さった。
翡翠の腰を掴んだ一青が強引に一番深い場所まで押し進んだからだ。下から思い切り突き上げられて、肉のぶつかり合う音がした。けれど、それは翡翠の耳には届いていない。目の前にちかちかと星が散って、他の感覚なんて全て吹き飛んでしまったからだ。
「あっ。アあっん」
悲鳴のような声が喉の奥から迸る。取り繕うことなんてできなかった。
イったばかりなのに一番奥を突かれて、膝からは完全に力が抜けてしまう。そのままへたり込むのと、一度退いた一青が突き上げるのが一緒になった。
「ひっ。あああ……やっ。ああぁ」
もう、何も考えられなくなって、膝立ちすることもできずに穿たれるままに身体を揺さぶられて、さっき出したばかりの前もまた立ち上がってくる。一青の動きのままに揺れるものをどうしようもなくさらしているだけの姿は、一青の中の雄を煽り立てるには十分に煽情的だった。
それだけで、軽く眩暈がするくらいの何かがその場所から頭の天辺まで駆け抜けた。と、同時に立ち上がり切っていた翡翠の前からは、とぷ。と、白濁したものが溢れ出した。
「……や……ぁ……ア」
一瞬置いてから、それが快感なのだと気付く。無意識に一青のソレに快感を促すように翡翠の中が収縮して、うねる。眉を寄せて、くぐもった声を漏らして、一青はそれに耐えているようだった。
ほんの少し入っただけで達してしまうなんてはじめての経験だったから、それが、快楽なのだと気付くまでに時間がかかってしまった。そして、気付いてしまったら、それだけで動けなくなってしまった。
「……ぁ……ん」
ぎゅ。と、両手で一青の首にしがみついて身体を支える。太腿ががくがくと震えて、力が入らなくなってくる。けれど、足の力を抜いてしまったら、一青を深くまで受け入れてしまったらと想像するのが怖い。
「翡翠」
痙攣するように身体を震わせ、一青に抱きついている翡翠の耳元に一青が囁いた。する。と、その手が背中を撫でる。
「ちゃんと、息、して?」
言われて気付いた。上手く息ができない。
ただ、はくはく。と、唇だけが動いた。
「ほら。俺の呼吸に合わせて。大丈夫だから」
とん。とん。と、呼吸のスピードで一青の手が背中を叩く。耳を澄ませば、少し荒い。けれど、確かな一青の呼吸音が聞こえてきて、それに集中すると少しだけ息をするのが楽になった。
「挿れただけで、イったの?」
耳元の囁きは続く。意地悪をするような響きではなかった。純粋に驚いているようだったから、翡翠はこくこく。と、何度も頷く。
「可愛い……たまんないな。けど、このままじゃ辛いんだけど。ね。動いていい?」
状況はさっきと何も変わっていない。まだ、足は震えていて、いつ力が抜けてしまうか分からない。息をするだけで、身体は無意識に一青のソレを締め付けてしまう。
気持ちいい。ほんの先端を受け入れただけでこんなふうになってしまったのだ。もし、このまま一番深い場所まで一青を迎え入れてしまったとしたら、おかしくなってしまいそうだ。
怖い。けれど、少しだけの期待。
「……だ……め。今……ダメ」
結局、怖いという思いが勝って、翡翠は首を横に振った。
「ごめん。無理」
と、一青の言葉と同時に衝撃に近い感覚が脳髄に突き刺さった。
翡翠の腰を掴んだ一青が強引に一番深い場所まで押し進んだからだ。下から思い切り突き上げられて、肉のぶつかり合う音がした。けれど、それは翡翠の耳には届いていない。目の前にちかちかと星が散って、他の感覚なんて全て吹き飛んでしまったからだ。
「あっ。アあっん」
悲鳴のような声が喉の奥から迸る。取り繕うことなんてできなかった。
イったばかりなのに一番奥を突かれて、膝からは完全に力が抜けてしまう。そのままへたり込むのと、一度退いた一青が突き上げるのが一緒になった。
「ひっ。あああ……やっ。ああぁ」
もう、何も考えられなくなって、膝立ちすることもできずに穿たれるままに身体を揺さぶられて、さっき出したばかりの前もまた立ち上がってくる。一青の動きのままに揺れるものをどうしようもなくさらしているだけの姿は、一青の中の雄を煽り立てるには十分に煽情的だった。
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