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The Ugly Duckling

Epiloge Not swan,But kingfisher 3/16

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「でも……成願寺さんが助けてくれたから……」

 魔法庁はもともと強い魔光の力を持つ頭の固い官僚が幅を利かせて、通例や慣例で何もかもが決まる旧態依然とした官庁だったらしい。それを強い魔光を持ち、若く、頭が切れる上に、この国に三人しかいないSランクのスレイヤーで民衆の支持がとび抜けて高い国政が長官になって、大幅な改革が断行されつつある。言ってしまえば今回の官僚の暴走も国政にとっては不要な石頭の爺どもの首を切る大義名分を与えられたようなものだった。

「翡翠。親父を信用すんな」

 と、言うようなことを考えて、信用するな。と、一青が言っているのだと翡翠は思っていた。

「緋色には出会って3時間で手出したんだぞ?
普段は真面目くさった顔してるくせに、セックスも相当にしつこくて、激しいらしい」

 けれど、真実は違っていたようだ。
 一青はそんな小難しい理由で国政を警戒しているのではないのだ。たぶん、『一青は私を嫌っている』と、少し寂しそうに言った国政が考えているような訳とはちょっと違う気がする。

「誰からそんな話聞いたんだよ」

 ため息をついて翡翠は問い返した。
 一青の顔を見ていれば、理由なんてすぐにわかる。この親子はお互いを本気で嫌いあっているわけではないのだが、圧倒的に会話が少なすぎるだけだ。

「緋色」

 きっと、これは嫉妬だ。一青は緋色が大好きだったのだろう。だから、その心を独占している国政が気に入らないのだ。
 それにしても、息子に父親のセックスがしつこいとか、激しいとか、言ってしまう母親(?)って、どうなんだろう。できることなら、会ってみたかったと思う。おそらくは楽しい人なのだろう。

「緋色のいうことをいちいち真に受けるな」

 ため息交じりに大泉が言った。大泉は緋色のことをよく知っているらしい。そんな言い方をしているけれど、嫌っているわけでも蔑んでいるわけでもない。一青が言っていた『緋色のこと話すと、緋色を知っている人はみんな笑顔になる』、だから大泉も、ため息交じりにそう言った後に笑うのだ。『あいつは面白いやつだった』と。
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