リセット〜絶対寵愛者〜

まやまや

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第13章〜帝国編〜

次代の提案

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問題なく明日には捕虜となっているリュストヘルゼ帝国の兵達の前で寵妃の口から真実を語らせるとの報告を受ける。
ルイン達の寵妃への尋問は順調に終わった様だ。


「これで、リュストヘルゼ帝国のゴミは取り除かれるわね。」


問題は、後継者だ。
今の皇帝であるガルドフェインに子供がいる。


「魅了されていたとは言え、これだけの不祥事を起こした皇帝の子供を後継者として民は受け入れるかしら?」


反発はある事だろう。
だって、大切な者を失っている人だっているのだから。


「民達はガルドフェインと、そお家族の処刑を望むかも知れないわね。」


それだけ、民の怒りは大きい。
今まで、武力で抑圧されていただけの事。


「ロッテマリーやルルーシェルはどう?ガルドフェインの子供が次の皇帝になる事を許せる?」


2人も被害者だ。
帝室への不満や、義憤はあるだろう。


「・・そう、ですね。皇帝を諌められなかった無能者は論外ですが、まだ幼い子供まで批判する事はしません。例え、その身に皇帝の血を受け継いでいるとしても。」
「私もお嬢様と同じ気持ちです。」


2人はガルドフェインに家族全員の処罰は望まない、と。


「多分、それは厳しいでしょうね。幼いと言う事を理由にしても、ガルドフェインの血筋と言うだけで嫌悪感や拒否感を感じるだろうし。」

次代の皇帝はガルドフェインの子供達ではダメだろう。


「例えルインが後見人になっても厳しいわ。」


溜め息を吐く。
今回の功労者であるルインがガルドフェインの子供を後継者として支えても、果たしてどれだけの者が付き従う事か。


「リュストヘルゼ帝国の後継者についてディア様がご心配する事はございません。」
「そうです、ディア様には関係のない事。ご心配なされる様。」
「んー、でも、ロッテマリーとルルーシェルの大切な故郷の事だしね。他人事じゃないでしょう?」
「「ディア様!!」」


首を傾げれば、ロッテマリーとルルーシェルの2人が瞳を潤ませる。


「なんてお優しい!」
「そんなににも私達の事を思ってくださるなんて!」


あ、あれ?
2人の変なスイッチ押しちゃった?


「ディア様、分かりました!リュストヘルゼ帝国の次の皇帝はルインおじ様のご子息になっていただきましょう!」
「まぁ、良いお考えですね、お嬢様!」
「何でそうなるの!?」


変な方向へ走る出すロッテマリーとルルーシェルの2人。
恐ろしすぎる。


「何か問題でも?」
「良いお考えだと思いますが?」
「いやいや、皇帝の座を急にルインのご子息にって、無理でしょう?」


いくら功労者だからって無茶振りだ。


「ですが、ルインおじ様の家系を遡ると皇女様が嫁がれているので、血筋的には問題ないかと。」
「ルイン様のご子息なら民も受け入れやすいと思います。3人いる御子息も、ルイン様に似て優しく民を慈しむ素晴らしい方だと評判でしたし。」
「あぁ、ロッテマリー達にとって幼馴染なのか。」


皇女を嫁がせるって、辺境伯を外に奪われない為の古典的な政略結婚ですね。
隣国と接している辺境伯が自国の敵になるって情報も奪われ、国力も低下するから洒落にならないもん。


「んー、ルインが皇国の血を引いているなら、その子息が後継者って有りか?」


ルインは辺境伯として自領が有る。
なら、ルインの息子の1人を後継者として擁立してしまうのも有りかも知れない。


「まぁ、そこはルインと相談ね。」


1番、ルインの御子息が民に歓迎される後継者候補ではあるが。
私1人が推し進める訳にはいかない。


「とりあえず、ルインへ提案してみるわ。本人は固辞しそうだけど。」


肩をすくませる。
果たして、武でもって国を守る事を誇りにしている者が提案を呑むだろうか?


「うん、まぁ、国の為を全面に押し出してしまえば陥落するわね。ルインは情に厚いし、愛国心もあるもの。」


問題なし。
と言う事で、さっそく提案に向かう。


「・・は?我が愚息を次の皇帝に、ですと!?」


盛大に驚くルイン。


「ロッテマリーに聞いたところ、ルイン様の血筋に皇家の血筋が流れているとか。問題ないのでは?」
「し、しかし、陛下のお子が、」
「受け入れますか?民は、ガルドフェイン陛下のお子を次代の王として。」


私の指摘にルインは口を噤む。
彼も分かっているのだ。
ここまでの事を仕出かしたガルドフェインの血筋では民が受け入れない、と。


「民は今の皇家の処罰を望む事でしょう。それは避けられない事です。」
「・・はい。」
「ですが、まだ幼いお子もいるとか。その子を救う為にもルイン様のご子息を皇帝になさいませんか?」
「どう言う事でしょう?」


首を捻るルインへにこりと微笑む。


「正当な皇家の血筋がルイン様のご子息に家臣として恭順する。屈辱な事でしょう、本人にとっては。」


殺す事だけが罰ではない。
生き恥を晒す事も罰になるのだ。


「その姿を見て、貴族は、民は、どう思うでしょう?」


哀れむ?
ザマァみろと感じる?


「国の為とは言え、幼い命をルイン様も奪う事に抵抗が有るのでは?ルイン様のご子息が皇帝となれば、こうして救う事も可能でしょう。」
「カルロ様のお命を・・。」
「そうです、他の者が皇帝となってカルロ様のお命を守ると断言できますか?」


カルロ。
ガルドファインの末息子で、第13皇子。
まだ幼い、7歳の皇子だ。


「他のお子は年齢的にも無理ですが、カルロ様だけでも、お命を救えるかも知れません。」
「・・。」
「王命の一家臣で有るルイン様に何が出来ますか?禍根となる血筋を残す事を憂慮する皇帝をルイン様は説得し、阻めるとお考えで?」


必ずいる。
禍根となる子供を殺せと言う人は。


「なら、御子息にカルロ様を守らせるのが1番、安全で確実な方法でしょう。違いますか、ルイン様?」


悪魔の囁きと言うなかれ。
私だって、まだ幼い子供が親の責任で死ぬのは気分良くないしね。


「・・分かりました、愚息と話し合ってみます。」
「英断に感謝を。決断されたなら、私も力の限り支援とご協力をいたしますわ。」


しますとも。
ロッテマリー達の為にもね!



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