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第6章〜宮廷編〜
商談
しおりを挟む基本、この世界の裕福層の娯楽は観劇やお茶会、男性であれば狩や娼館などである。
富裕層でない階級の場合、娯楽はほとんどない。
「まず、私がルドヴィックさんへお勧めして紹介したいのはオセロですね。」
最初に提示するのは定番の娯楽品のオセロ。
オセロはシンプルで作りやすく、そのルールも分かりやすいと優れもの。
私はルドヴィックさんへオセロの形やルールなどについて語る。
「ふむ、ソウル様が言われるオセロはとてもシンプルでルールも覚えやすく、人気が出そうですね。」
「オセロの良い所は富裕層だけではなく、一般の方も遊べると言う事です。遊び方も簡単ですし、子供達の遊びにも良いかと。」
「なるほど。黒と白の駒とマス目さえあれば一般の家庭でも遊べる、と。それに子供達にもルールは分かりやすいと。」
一般の家庭でも簡単に作れるオセロ。
ようは黒と白の駒があり、簡単なマス目さえ作ってしまえば良いのだから。
「ですが、ソウル様。それだと直ぐにオセロの盗作が出回ってしまうのでは?」
「はい、そこでご私から提案です。最初にシーリン商会て作るオセロの駒全てに、この店オリジナルの刻印をされてはいかがでしょう?」
誰でもオセロは作りやすい。
が、そのお店の刻印だけは真似出来ない様にしてしまえば盗作品を見抜く事が簡単に出来る。
刻印は誰にも分かりやすい目印になるのだ。
「オセロに刻印。それなら、シーリン商会以外が作ったかどうかお客様にも一目で分かる!」
「そうです。シーリン商会のオリジナの刻印がある、即ち、それがお客様にとって盗作を見分ける目印となりますね。」
刻印がないのは全て盗作。
盗作のオセロを買うかは買い手次第。
「オセロも刻印も素晴らしいアイデアです、ソウル様!是非、我がシーリン商会でオセロのアイデアを買わせてください!」
「分かりました、オセロのアイデアをルドヴィックさんにお売りします。」
「おぉ、ありがとうございます!では、さっそく契約書の用意をーーー」
「ですが、契約書を交わす前にルドヴィックさん。次の娯楽品の紹介です。」
続く言葉を遮り、にっこりと微笑む。
ルドヴィックさん、まだ私のアイデアの紹介は終わりではないんですよ?
「は、はい?次の娯楽品の紹介!?」
裏返るルドヴィックさんの声。
動揺がうかがえる。
「まだありますよ?娯楽品のアイデア。」
「・・・。」
固まるルドヴィックさんに次々と娯楽品のアイデアを紹介していく。
それは、これ。
トランプ、将棋、チェス、ビリヤード。
の4つ。
「本日、私がルドヴィックさんへ紹介する娯楽品のアイデアはオセロと以上の5つです。」
今日ルドヴィックさんへ紹介したのは主に私が広めたい娯楽品。
他はおいおい伝えるとしよう。
全てを一気に教えるほど、まだルドヴィックさんの事を信頼した訳ではないからね。
けん玉やおはじき、あやとりや竹とんぼ。
花札など簡単な遊びのアイデアは、まだたくさんあるのだ。
「では、トランプ、将棋、チェスにビリヤードの遊び方のルールをご説明します。」
形状と遊び方。
ルールなどをルドヴィックさんへ説明していく。
「ビリヤードは一般階級の方以外の富裕層向けの娯楽品ですね。他のものは一般階級と富裕層、貴族の方達と作る素材や装飾を変えれば見栄えも良いかと。」
貴族とかは見栄が大事だもの。
豪華さや下の者よりも良い商品の方が富裕層や貴族達の購買意欲を誘う事だろう。
「トランプ、将棋、チェスにビリヤード。どれも面白そうな遊びですな。」
「どうでしょう?私のアイデアはルドヴィックさんにお気に召していただけましたでしょうか?」
「それは、もちろんです!ソウル様からいただいた全てのアイデアを是非、我がシーリン商会で商品化させたいですね!」
出だしは良いようだ。
「では、次の私のアイデアもお聞きいただけますか?」
少し自粛しろ?
はい、そんなの無理です。
「・・まだ、他にもアイデアがあるのですか?」
ルドヴィックさんが目を剥く。
「はい、あります。次は娯楽品では無く日常品のアイデアですが。」
科学の発達した日本。
その力、この世界で使わせていただきます。
「日常品のアイデアもですか!?ソウル様、そのアイデアも是非お聞かせ下さい!」
ルドヴィックさんの目が光る。
今日はルドヴィックさんと、とても長い話し合いになりそうです。
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