リセット〜絶対寵愛者〜

まやまや

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第5章〜拠点編〜

お誘いの手紙

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日本食の食事を想像してご機嫌な私がその手紙を貰ったのは、翌日のお昼過ぎの事。
アディライトが私に一通の手紙を差し出す。


「・・私に手紙?」
「はい、ハビス様よりディア様へお手紙が届いております。」
「え?ハビスさんから?」


アディライトの報告に驚きの声を上げる。
ハビスさんから私に手紙?


「ディア様、こちらがハビス様よりの手紙になります。」
「ん、ありがとう。」


お礼を言ってから差し出されたハビスさんからの手紙をアディライトから受け取る。
さて、一体この手紙の何に書かれているのやら。
さっそくハビスさんからの手紙の封を開けて、中の内容に目を通して行く。


「・・へ?」


ハビスさんからの手紙の内容に目を通した私は、変な声を上げた。
・・・これは。


「ディア様?ハビス様よりの手紙に何か?」


思わず変な声を上げてしまった私にアディライトが首を傾げた。


「んー、何かお誘い?」
「はい?」
「まぁ、アディライトもハビスさんからの手紙の内容を読んでみてよ。」


アディライトにハビスさんからの手紙を見せる。
これが一番早いし。
見られて困るような内容でもないしね。


「ディア様、私がハビス様よりの手紙の内容を読んでも良いのですか?」
「うん、大丈夫。」
「では、失礼して。」


私から手紙を受け取り、手紙の内容に目を通すアディライト。


「っっ、これは、」
「ね?ハビスさんからのお誘いの手紙でしょう?」


アディライトに私は笑った。
内容はこう。


『ソウル様が気にいるような奴隷がオーヒィンス商会にいるのですが、ご都合がよろしければご覧になりませんか?』


ーーー・・ほら、ハビスさんからのお誘いの手紙でしょう?
それにしても私が気にいるような奴隷がいる、ね。
新しく入ったのかしら?


「なら、このハビスさんからのお誘いに乗って、是非その奴隷を見に行くしかないよね?」


わざわざハビスさんが手紙を寄越すぐらいなのだから、私はその奴隷の事を気にいるのだろう。


「また、この家に家族が増えますね、ディア様。」
「ふふ、アディライトも嬉しい?新しい家族が増える事は。」
「もちろんです。それだけディア様の守りの数が増えますし、何より貴方様が笑顔でいて下さいますから。」
「・・本当、ブレないね、アディライト達は。」


アディライト達の中心は私。
そして、そんな私の中心は皆んななのだ。


「アディライト?」
「はい、ディア様。なんでしょう?」


それで良いのかも知れない。
自分達がそれで幸せなら。
ここは、私達の楽園の世界なのだから。


「膝枕して?」
「ふふ、ディア様、喜んで。」


私達はお互いがお互いを必要として、こうやって支え合っているの。
ハビスさんからの手紙を読んだ翌日。
私といつものメンバーはオーヒィンス商会へと足を運んだ。


「ソウル様、本日は当店へお越し下さり誠にありがとうございます。」


ハビスさん自ら私達を出迎える。


「こちらこそ、ハビスさん、嬉しいお手紙ありがとうございました。」
「いえ、とんでもございません。突然のお手紙、申し訳ありません。」
「ふふ、お気にせず。本日は双方に有意義なお話が出来れば嬉しいです。」
「ありがとうございます。ひとまず皆様をお部屋の方へご案内致しましょう。」


オーヒィンス商会の中へ促され、ハビスさんに一室に通される私達。
部屋の中に通され、いつもの様に私だけがソファーへと腰掛けた。
ソファーへ腰掛けた私の後ろに立つ皆んな。
皆んなは私の後ろで護衛らしい。
必要ないと思うが。


「ーー・・さて、ハビスさん。さっそくお手紙にあった奴隷についてお聞きしても?」


出された紅茶とお菓子。
まずは紅茶を一口飲み、ハビスさんより先に口を開いたのは私だった。


「実は私の懇意にしている奴隷商の所に訳ありな子がおりまして。」
「それが手紙に書いていた子の事ですか?」
「左様でございます。ソウル様は訳ありな奴隷に関心がおありの様でしたので、失礼を承知で今回お手紙を送らせていただきました。」


ふむ、その奴隷が私の欲しがるだろう子だとハビスさんは思ったって事ね。
ますます気になる。


「ハビスさん、その子はどの様な訳ありなのでしょう?」
「ーーー・・全盲の少女です。」
「全盲?」


紹介される少女が目が見えないって事だよね?


目の見えない少女。
それが今回、ハビスさんが私に紹介したい訳ありの奴隷の子らしい。


「ハビスさん、全盲と言う事は、その子は全く目が見えないのですか?」
「はい、その通りです。幼い頃に病気で視力を失ったそうで。」
「病気で。」
「はい、全盲以外は健康なのですが、しかし、彼女にはそれ以外にも少し問題が有りまして・・。」


ハビスさんが言葉に詰まる。


「問題?」
「・・その、彼女が売られる条件として、兄と共に買う事が求められておりまして。」
「はい・・?」


お兄さんも一緒に購入が条件?


「えっと、それはお兄様も買わねば、その子は売られたくないって事ですか?」
「そうなのです。少女は親に売られたのですが、兄は妹の為に自らの意思で奴隷落ちしたと聞いております。」
「・・自ら奴隷に。」


へぇ。
嫌いじゃないよ、そんな子は。


「少女は目が見えず、愛玩としてしか買う者しかおりませんが、兄がそれを絶対に許しません。」
「奴隷は理不尽な命令でも聞かなくてはならないのでは?」


基本的に奴隷は主人に絶対服従だ。
主人への殺意や命令拒否をした場合、奴隷紋が激痛をどれいに与えると聞く。


「由々しき事に兄はその命令に抗い、抵抗するのです。自分が主人の為にどんな事でもするから妹には手を出すな、と。」
「大切な妹の為に自分が犠牲になると言う事ですか。麗しい家族愛ですね。」


素晴らしいじゃないか。
私の家族になったら、妹と同じ様に他の皆んなの事も大事にしてくれるだろうか?

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