136 / 424
第5章〜拠点編〜
破廉恥な旦那様
しおりを挟む滑稽に踊ってもらいましょう。
私の掌の上で。
そして、ディオンにした事を死ぬほど後悔すれば良いのだ。
「っっ、ディア様が私の妻!?」
ディオンが顔を赤らめる。
「うん?ディオンもコクヨウも私の大事な旦那様でしょう?」
「「っっ、ディア様ッ!」」
「わっ、!?」
なぜか幸せそうな表情を浮かべたコクヨウとディオンの2人に抱き付かれる。
・・・あの、2人とも、ここ、まだ人目がある外なんですけど。
「ちょっ、いきなり2人とも一体、何!?」
何があった、2人とも?
ぎゅうぎゅうと私に抱き付くコクヨウとディオンの2人に困惑するしか無かった。
「大好きです、ディア様。」
「へ?急に何、コクヨウ?」
「私も愛してますよ、ディア様。」
「っっ、なっ、ディオンまで!?」
本当に一体、コクヨウとディオンの2人に何があったんだ?
「ーー・・はぁ、本当に無自覚なお方ですわ、ディア様は。」
「「鈍感?」」
アディライト達が呆れたように呟いていた事をコクヨウとディオンに抱き付かれていた私は知らない。
急に抱きつく2人に私はあたふたしていた。
これ、どうすれば良いの?
「っっ、アディライト、フィリア、フィリオ、ちょ、見てないで助けて!」
口は災いの元。
色んな意味で目立ち注目されていた私達は、しまいには生暖かい眼差しを周囲から頂いてしまった。
羞恥から顔から火を噴くかと思ったよ。
どんな羞恥プレイ!?
「っっ、もう、2人とも、街中で抱き付いてくるなんて一体、何を考えているの!?」
あまりのいたたまれなさに、そのまま屋敷に戻って来た私は街中で急に抱き付いてきたコクヨウとディオンの2人を、さっそく自室で叱る事にしたのけれど。
「あれは、ディア様がいけないんですよ?」
「えぇ、コクヨウの言う通りです。」
「まさか2人から責任を押し付けられた!?」
なぜか、2人は私が悪いと言う。
あれ?
これ、私が悪いのか?
思い返してみる。
のだが。
「ねぇ、私、何も悪くなくない?」
私の中に悪い事をした記憶は全く無いのだけど?
全く理不尽である。
「ひ、酷い、2人とも!私、何もしてないよ!?」
だよね?
あの時、私は2人に何かした気はないぞ!?
半泣きで私はコクヨウとディオンの2人の事を睨む。
負けるものか。
「・・ディア様、自覚がなさ過ぎです。」
呆れるコクヨウ。
「まぁ、ディア様のそこも可愛らしいのですけどね。」
しまいには、微笑ましげな眼差しをディオンから向けられる。
「あぁ、それは確かに。」
「っっ、!?」
頷き合う2人に目を剥く。
これは何の羞恥プレイですか・・?
い、居た堪れない。
「か、可愛くなんかないし、」
「ディア様、それが無自覚だと言うのですよ。」
「この世界でディア様以上に可愛らしい方がいらっしゃると?」
「世界規模!?」
「「当たり前です。」」
・・あぁ、はい、即答なのね。
2人の声もぴったり。
て、違う!
「っっ、だって、アディライトだって、フィリアだって可愛いよ!?ロッテマリーだって、ルルーシェルだって、可愛い子はたくさんいるじゃない!?」
「・・心外ですね、ディア様。僕達がディア様以外に可愛らしいと誰かに目移りするとでも?」
「アディライト達は同士で、それ以外の他の者達は眼中にありません。それなのに私達がディア様以外に心を動かされるとお思いで?」
「っっ、!?」
ヤバイ。
顔が熱を持つ。
なんなの、この2人の甘い雰囲気は!?
「・・ディア様は、僕達が他の女性を褒めても良いのですか?」
コクヨウが悲しげな顔をした。
褒める?
コクヨウが、ディオンが他の女性の事を?
「・・・ヤダ、っっ、」
胸が痛い。
他の女性を目に映しちゃ嫌だ。
私だけを見て欲しい。
「2人は私のことだけ見てなくちゃダメなの!」
なんて勝手な言い分だろう。
最低だと頭では分かっているけど、私の口は止まらない。
「なら、僕達が可愛いと思うのも、こうして愛を囁くのも、妻であるディア様だけだと理解してくださいね?」
「可愛い妻を愛でるのも、夫の楽しみなのですよ?」
「・・・妻、夫、」
あぁ、そうか。
私が2人の妻だって無意識に言ってたからコクヨウもディオンも嬉しかったんだ。
何だ、そっか、そうなのか。
「へへ、」
ふにゃりと、頬が緩む。
「ディア様?」
「どうしました?」
「コクヨウとディオンの2人に妻って言われれの恥ずかしいけど、嬉しい、ね?」
無意識に言ってた自分、凄い。
偉くない?
「っっ、本当、貴方って人はッ!」
「私達をこうして乱すのは、ディア様、貴方だけだ。」
「へ?わっ、」
コクヨウの腕に抱き上げられ、寝室へ運ばれる。
あ、あれ?
「っっ、コクヨウ?ディオン・・?」
急にどうした?
「何なの!?ちょ、降ろしてよ!」
コクヨウの腕の中で、抗議しながらジタバタと暴れる。
身の危険を感じるんですけど!?
「僕達を誘ったディア様が悪いんですよ?」
「あんな顔で笑うなんて、反則です。」
コクヨウの腕から降ろされてベッドに沈む私は2人に責められる。
どうして!?
「なっ、誘ってないよ!?」
真っ赤になりながら首を横に振って、否定する。
「ディア様、もう諦めて下さい。」
私の髪を撫でるコクヨウ。
「諦め・・?」
「私達にディア様はただ愛されてくださるだけで良いのです。」
うっそりと、ディオンが微笑む。
「~~~!!」
旦那様、やっぱり破廉恥です。
7
お気に入りに追加
2,256
あなたにおすすめの小説
旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜
ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉
転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!?
のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました……
イケメン山盛りの逆ハーです
前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります
小説家になろう、カクヨムに転載しています
異世界でお取り寄せ生活
マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。
突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。
貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。
意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。
貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!?
そんな感じの話です。
のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。
※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。
神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!
カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。
前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。
全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!
女性が全く生まれない世界とか嘘ですよね?
青海 兎稀
恋愛
ただの一般人である主人公・ユヅキは、知らぬうちに全く知らない街の中にいた。ここがどこだかも分からず、ただ当てもなく歩いていた時、誰かにぶつかってしまい、そのまま意識を失う。
そして、意識を取り戻し、助けてくれたイケメンにこの世界には全く女性がいないことを知らされる。
そんなユヅキの逆ハーレムのお話。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
皆で異世界転移したら、私だけがハブかれてイケメンに囲まれた
愛丸 リナ
恋愛
少女は綺麗過ぎた。
整った顔、透き通るような金髪ロングと薄茶と灰色のオッドアイ……彼女はハーフだった。
最初は「可愛い」「綺麗」って言われてたよ?
でも、それは大きくなるにつれ、言われなくなってきて……いじめの対象になっちゃった。
クラス一斉に異世界へ転移した時、彼女だけは「醜女(しこめ)だから」と国外追放を言い渡されて……
たった一人で途方に暮れていた時、“彼ら”は現れた
それが後々あんな事になるなんて、その時の彼女は何も知らない
______________________________
ATTENTION
自己満小説満載
一話ずつ、出来上がり次第投稿
急亀更新急チーター更新だったり、不定期更新だったりする
文章が変な時があります
恋愛に発展するのはいつになるのかは、まだ未定
以上の事が大丈夫な方のみ、ゆっくりしていってください
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる