リセット〜絶対寵愛者〜

まやまや

文字の大きさ
上 下
125 / 424
第5章〜拠点編〜

奴隷達との対話

しおりを挟む



私達の事は商会でも知れ渡っているのか、すぐさま商談の為の部屋へと丁寧に通されて数分でハビスさんが現れる。


「おぉ、これはソウル様。本日はオーヒィンス商会へお越し下さいましてありがとうございます。」
「ハビスさん、お久しぶりですね。」


にこやかに挨拶を交わす。


「お聞きしましたが、最速でSランク冒険者となられたとか。心よりお祝い申し上げます。」


おう、ハビスさんも私がSランクに上がった事を知っているのね。
さすがは商人と言うべきか。


「ありがとうございます、ハビスさん。情報が早いのですね。」
「商人は情報が武器ですから。さて、早速ですが本日は新しい奴隷を購入したいと聞きましたが?」


私の向かいのソファーへ腰を下ろしたハビスさんが話を切り出す。
このままオーヒィンス商会の代表であるハビスさん自ら、私達の対応してくれるみたい。


「はい、私達の拠点となる家を得ましたので新しい奴隷を増やそうかと。」
「左様でございますか。この街に拠点を。」


ハビスさんの瞳が細まる。


「お聞きしたいのですが、今回ソウル様はどの様な奴隷をお求めでしょう?屋敷を得たのであれば、家事の得意な者でしょうか?」
「いいえ、要望は以前と変わりません。冒険者としてやっていっても良い子をお願いします。」


あくまで冒険者になる事は必須。
他の事には頓着はしない。


「今は家事が得意ではなくても、ゆっくりと覚えていってくれれば問題はないです。家事を教える優秀な者がおりますから。」

ハイパー有能メイド、アディライトさんがね。
後輩育成に期待しております。


「ふむ、成る程。」
「それと、1つお願いがあるのですが。」
「お願い?ソウル様が私にお願いとは、どの様な事でしょうか?」
「実はーー」


ハビスさんに、あるお願いをする。
私のお願いを聞いたハビスさんは、驚き、そして楽しそうに笑った。


「ははは、かしこまりました。その様なお願いでしたら何の問題もないのでかまいません。」
「では、お願いしても?」
「えぇ、叶えますとも。お任せ下さい。」


快く私のお願いを受け入れてくれたハビスさんが呼び鈴を鳴らすと、部屋の中へ入って来た若い青年に指示を飛ばす。
それからは以前と同じ。
種族も年齢もバラバラの24人の奴隷達が部屋へ連れられて来た。
ふむ、全員の顔が強張ってるな。


「初めまして、ディアレンシア・ソウルです。」


強張る表情の彼らへ微笑む。
笑顔は人間関係に限らず、物事を円滑にする為に必要だよね?


「「「っっ、」」」


奴隷達の顔が赤く染まる。
ふむ、皆んなの緊張は無くなったかな?
偶にはこの顔も使えるね。


「少し私から皆さんに質問をさせて下さいね?」


あくまで対等に。
奴隷だからと言って、私は彼等を貶めたい訳ではないからね。
前と同様の数個の質問をしながら、彼等の人となりを見極めていく。


「ーー・・最後の質問は、魔族の子達が私の家族にいるんだけど貴方達は仲良く出来るかしら?」


最後の質問。
これが私が1番、重要で聞きたかった事。


「え・・?」
「魔族?」


彼等の顔に困惑が広がる。


「フィリア、フィリオ、コクヨウも『幻影の指輪』を外しなさい。」
「「「はい、ディア様。」」」


私の指示にフィリアとフィリオ、そしてコクヨウの3人がその指に嵌めていた指輪を外す。
その瞬間。
彼らの黒の色彩が露わになった。


「「「ーーっっ、」」」


驚愕に見開かれる、たくさんの瞳たち。
フィリアとフィリオ、そして魔族しか持ち得ない黒の色彩を持つコクヨウを見下し、傷付けるかもしれない存在を自分の内側へいれるつもりはない。
彼等の様子を見つめる。


「この通り2人は魔族の子であり、彼は人間だけど瞳に黒の色彩を持っているの。」


フィリアとフィリオ、コクヨウの3人の指に嵌められた魔道具である幻影の指輪。
魔道具の製作に夢中になった私お手製の中でとてもお気に入りの1つだったりする。
幻影の指輪の効果はこちら。



幻影の指輪
レア度:秘宝アーティファクト
機能:破壊不可、所有者制限


製作者:ディアレンシア・ソウル



幻影の指輪
幻影で相手の見ているものの認識を阻害する事が出来る魔道具



認識阻害の為の魔道具だ。
周囲からの煩わしい視線を集める事もないし、隠密や印象操作の際にとても重宝している。


「ひっ、!?」
「っっ、ま、魔族!?」


フィリアとフィリオ、コクヨウの3人の色彩が黒だと知り瞬く間に奴隷達の顔に恐怖の色が宿る。
中には涙を浮かべる者も。


「怖がらせてしまったなら、ごめんなさい。貴方達の魔族への素直な反応が見たかったから、ハビスさんに許可を得て認識阻害させてもらっていました。」


彼等が部屋の中へ入る前に、フィリアとフィリオ、そしてコクヨウの3人に幻影の指輪を嵌めさせたのは私自身。


「私は貴方達に無理強いはしません。どうしても、この子達と一緒にはいたくない、暮らせないと思う方はこの部屋から出て行って下さい。」


言った通り魔族であるフィリアとフィリオ、黒い瞳を持つコクヨウに対する目の前の子達の素直な反応が見たかったからだ。

しおりを挟む
感想 147

あなたにおすすめの小説

旦那様が多すぎて困っています!? 〜逆ハー異世界ラブコメ〜

ことりとりとん
恋愛
男女比8:1の逆ハーレム異世界に転移してしまった女子大生・大森泉 転移早々旦那さんが6人もできて、しかも魔力無限チートがあると教えられて!? のんびりまったり暮らしたいのにいつの間にか国を救うハメになりました…… イケメン山盛りの逆ハーです 前半はラブラブまったりの予定。後半で主人公が頑張ります 小説家になろう、カクヨムに転載しています

異世界でお取り寄せ生活

マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。 突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。 貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。 意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。 貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!? そんな感じの話です。  のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。 ※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。

神様の手違いで、おまけの転生?!お詫びにチートと無口な騎士団長もらっちゃいました?!

カヨワイさつき
恋愛
最初は、日本人で受験の日に何かにぶつかり死亡。次は、何かの討伐中に、死亡。次に目覚めたら、見知らぬ聖女のそばに、ポツンとおまけの召喚?あまりにも、不細工な為にその場から追い出されてしまった。 前世の記憶はあるものの、どれをとっても短命、不幸な出来事ばかりだった。 全てはドジで少し変なナルシストの神様の手違いだっ。おまけの転生?お詫びにチートと無口で不器用な騎士団長もらっちゃいました。今度こそ、幸せになるかもしれません?!

女性が全く生まれない世界とか嘘ですよね?

青海 兎稀
恋愛
ただの一般人である主人公・ユヅキは、知らぬうちに全く知らない街の中にいた。ここがどこだかも分からず、ただ当てもなく歩いていた時、誰かにぶつかってしまい、そのまま意識を失う。 そして、意識を取り戻し、助けてくれたイケメンにこの世界には全く女性がいないことを知らされる。 そんなユヅキの逆ハーレムのお話。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

皆で異世界転移したら、私だけがハブかれてイケメンに囲まれた

愛丸 リナ
恋愛
 少女は綺麗過ぎた。  整った顔、透き通るような金髪ロングと薄茶と灰色のオッドアイ……彼女はハーフだった。  最初は「可愛い」「綺麗」って言われてたよ?  でも、それは大きくなるにつれ、言われなくなってきて……いじめの対象になっちゃった。  クラス一斉に異世界へ転移した時、彼女だけは「醜女(しこめ)だから」と国外追放を言い渡されて……  たった一人で途方に暮れていた時、“彼ら”は現れた  それが後々あんな事になるなんて、その時の彼女は何も知らない ______________________________ ATTENTION 自己満小説満載 一話ずつ、出来上がり次第投稿 急亀更新急チーター更新だったり、不定期更新だったりする 文章が変な時があります 恋愛に発展するのはいつになるのかは、まだ未定 以上の事が大丈夫な方のみ、ゆっくりしていってください

[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?

シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。 クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。 貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ? 魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。 ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。 私の生活を邪魔をするなら潰すわよ? 1月5日 誤字脱字修正 54話 ★━戦闘シーンや猟奇的発言あり 流血シーンあり。 魔法・魔物あり。 ざぁま薄め。 恋愛要素あり。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

処理中です...